人は変われるのか?「どちらかの家庭が壊れる漫画」に見る夫婦の変化【作者に聞いた】

三つ子の魂百までということわざがある。幼い頃の性格は、年を取っても変わらないということを指すが、これは本当だろうか?人は変われるのか、変われないのか。結果はともあれ、性格や考え方をそれまでとまったく変えるとなると、大きな労力をかける必要があり、場合によっては周りとの軋轢を生むこともあるかもしれない。










「仕事ができる」と評判のエリート・薬師寺シュウを夫に持つユイ。シュウは家事育児の一切をユイに任せっぱなしにしている。そのうえ、義母にあたるシュウの母は、約束なしで突然家にやってきたり、真剣な話を茶化したりと馬が合わない。そんなある日、シュウのスマホに「田尻モナ」という女性から着信があったことをきっかけに、モナのSNSアカウントを見つける。そこには縦読みで「しゅうあいしてる」というメッセージが…。
一方、ヤンキー主夫となった毒山(ぶすやま)ゴン。妻子のために稼ぎたいと思っていたところに「電話をかけるだけで月100万円稼げる」という仕事の誘いを受け、その話に乗ってしまう。
本作のタイトルは「どちらかの家庭が崩壊する漫画」。浮気疑惑の巻き起こる薬師寺家が崩壊するのか、それとも詐欺の片棒を担ぎそうになった毒山家が崩壊するのか、見逃せない展開になっている。作者の横山了一(
@yokoyama_bancho
)さんに、ユイのキャラクターについて聞いた。
気を遣いながら過ごしてきた専業主婦の心情を大事にしながら創作
――ユイが変わると宣言したのが印象的な回ですが、逆にどうしてユイは今まで自分の意見を言えないでいたのでしょうか?ユイのキャラクター設定の背景を教えてください。
ユイは専業主婦で、経済面をシュウがすべて担っているので、意見を言いづらいというのはあると思います。また作中でもちらりと触れていますが、ユイは叔父と叔母に育てられ気を遣いながら過ごしてきたので、周りの様子を伺ってあまり主張しない性格になってしまったのではないかなと…。
――横山さんご自身は自分の意見を言うことをためらってしまうタイプでしたか?
僕は割となんでもハッキリ言ってしまうタイプでして、むしろ歳を重ねて我慢を覚えてきたかもしれません(笑)。
――創作していて、ユイに対してイライラしたりしませんでしたか?
ユイに対して100%シンパシーを感じていたわけではありませんが、このキャラクターならこう考えてこう動くだろう、という部分をとても大事にしながら描きました。その結果同じような境遇の方に、ユイの変化が少しでも響いていたとしたらうれしいですね。
人の顔色を伺って我慢を重ねていたユイ。しかし、どんな関係性であったとしても、自分を押し殺して我慢をしていると、いつか破綻してしまう日がくる。それまで意見を主張しなかった人が変わるのは勇気がいることだが、よりよく生きるためにも大切なこと。ユイの変化を応援していきたいものだ。