警察に連れて行かれたヤンキー夫!義母から離婚を勧められた妻の決断は?【作者に聞いた】

パートナーが警察に連れて行かれるような事態になったとき、パートナーが罪を犯していないと信じられる人はどれくらいいるのだろか?
いかにもヤンキーという風体の毒山(ぶすやま)ゴン。ギャンブル好きで、仕事が続かず無職だったが、主夫として家事育児に励むことになる。しかし、妻子のためにお金を稼ぎたいという思いから、「電話をかけるだけで月100万円稼げる」という誘いに乗ってしまう。出向いた先にいたのは、読者のほとんどが予想したであろう通り詐欺グループ。ゴンは「こーいうヤツら(サギ師)が一番嫌ェなんだよ…」と詐欺師相手に大暴れ、警察に詐欺グループもろとも連行されてしまう。動揺する妻の海(マリン)にゴンの母は「ウチのバカ息子と別れた方がいいんじゃない…?」と提案してくる。











本作はX(旧Twitter)で活躍する漫画家・横山了一(
@yokoyama_bancho
)さんの「どちらかの家庭が崩壊する漫画」。ゴンがギャンブル好きで無職という状態ではあったものの、妻子のことを大事にしており、マリンとゴンの母との関係は良好、家庭崩壊からは縁遠いと思っていたものの、ここにきて暗雲が立ち込める。
一方、毒山家と対比して描かれている薬師寺家。仕事はできるが妻に家事育児を投げっぱなしな夫、アポイントなしで突然やってくる人の話を聞かない困った義母という家庭崩壊に向けて強烈な布陣がそろっている。しかし、控えめな性格だった妻のユイは、マリンのアドバイスもあり、「我慢せず、おかしいと思ったことははっきりと言う、自分の意見を伝える」ようになった。崩壊回避か?と思いきや、「義母とは気が合わない」とユイが伝えていたにもかかわらず、夫のシュウは義母との同居を勝手に決めてしまっていたのだ。
マリンが「あーし…別れません、ゴンちゃんのこと…信じているから!」とゴンと共にある未来を向いているのに対し、ユイは「一緒になんか住まない」とシュウにノーをつきつける。薬師寺家が崩壊する、それがわかった決定的な瞬間だ。毒山家、薬師寺家それぞれの夫婦の何が決定的に違っていたのか。作者の横山さんにインタビューした。
夫婦の信頼関係をどこで作り上げていくか?対等であることの難しさ
――マリンは義母から離婚を勧められても断っていますが、どうしてマリンはこのような決断ができたと思いますか?
ゴンは基本的に子煩悩なので、貧乏でもそこでの信頼感が強かったのかなと思います。うちも息子が小さい頃は似たようにお金がない状況でしたが、育児を通して夫婦で信頼感があったので、なんとかここまで続いたのかも…(笑)。
――ユイは「義母と距離を置きたい」とシュウに伝え、それに対してシュウも一度はわかったと言っているわけですが、結局同居の話を勝手に決めてしまいました。シュウにとって、ユイの意見というのはどういう位置付けのものだったのでしょうか?
妻の意見は一応聞くけど最終決定権はない、という関係性だと思います。同じような家庭は結構多いのではないかと…。この頃のシュウは仕事も上手くいっていて自信に満ちふれていて、折れるということができないんですよね。
もとは他人だった夫婦。しかし、家族という共同体になったとき、違いを認めてつつも大きな決定のすり合わせができなければバラバラになってしまうものだろう。どう伝えればいいのか、どこで折り合いをつけるのか。その話し合いができる夫婦が長く家族でいられる条件なのかもしれない。