「1000本描けばきっとおもしろい漫画が」爆笑オチから感動ネタまで作風豊かな4コマ作家の舞台裏【作者に訊く】

普段はその態度にいらだつばかりの上司。けれど、許せてしまう「特別な日」もあるもので……?

仕事を残して早上がりする上司にいらだちを隠せない部下。けれど、ある光景を見てその怒りは氷解し…タイトルにニヤリとする4コマ「特別な日」画像提供:津夏なつな(@tunatu727)

X(旧Twitter)で4コマ漫画を投稿する津夏なつな( @tunatu727 )さんの作品は、意表をつく感動オチやはたまたブラックなネタまで、幅広いユーモアでSNSで反響を呼んでいる。

「4コマ1000本ノック」と銘打ち、毎日新作の4コマを公開することを目標に日々創作活動に取り組む津夏さん。現在公開された作品は700点以上を数え、作品への「いいね」は時に数万件を超えるが、「4コマ1000本ノック」を始める前は漫画制作は未経験だったという。そんな津夏さんの代表作の紹介とともに、制作の裏側を取材した。

上司の妻の誕生日、部下にとってはなんでもない日が「特別な日」に…

2021年9月にアカウントを開設し、4コマ漫画の投稿をスタートした津夏さん。「4コマ1000本ノック」の622本目にあたる「特別な日」は、5.7万件を超える「いいね」を集めた人気作品だ。

622本目「特別な日」1画像提供:津夏なつな(@tunatu727)


片付ける仕事が山積みなのに「悪いんだけど今日は先にあがらせてもらうからな」と電話で告げる上司。妻の誕生日だと理由を説明されても、部下にとってはいつも通りの勤務日。「ふざけやがって」と車の中で上司へのいら立ちを隠せずにいた。

信号待ちの最中、横断歩道を渡る上司を見つけた部下。すると彼は、「まあいいか」とため息交じりにつぶやく。

622本目「特別な日」2画像提供:津夏なつな(@tunatu727)


部下が見たのは、大きな花束とお祝いのケーキを両手に足取りも軽やかな上司の、夫としての姿。その光景を見た部下にとっても、許せてしまう「特別な日」になった……、というオチに、読者からは「なんか救われる」「確かにこれは許しちゃう」と多くの感想が寄せられた。

「1000本描けばおもしろく」形に残る趣味としてスタート

こうした感動的な4コマを描く一方で、実験の失敗で弾むボールになってしまったという博士というギャグのような導入から助手に「殺してくれ」と切実に頼む「ボール博士」や、2022年のサッカーW杯で一躍注目を集めた「VAR」を題材にした「命運を分ける1ミリ」など、ブラックな笑いや時事ネタまで多彩な題材で4コマを発表する津夏さん。作品はAmazon Kindleインディーズマンガにて無料の電子書籍 「よりぬき4コマ1000本ノック」 としても公開されている。

473本目「命運を分ける1ミリ」1画像提供:津夏なつな(@tunatu727)

473本目「命運を分ける1ミリ」2画像提供:津夏なつな(@tunatu727)


4コマ漫画を描き始めたのは「形に残る趣味が欲しい」と考えたのがきっかけだそうで、「1000本も描けばきっとおもしろい漫画が描けるようになっているに違いない!」という思いから「4コマ1000本ノック」を目標に掲げたとのこと。

それまでは作品として漫画を描いた経験は一切なく、漫画修行を兼ねて毎日の4コマ投稿を始めた津夏さん。現在では数万件の「いいね」を集める作品も複数あるものの、初期はなかなか読者に認知されず、津夏さん自身も「手探りで描いていた初期の作品はあまりに下手くそなので直視できなくなりました(笑)」と話す。

潮目が変わったのは、スタートから8カ月ほど経った頃。243本目に投稿した「ボール博士」が5000件の「いいね」を超え、「この1本がバズったおかげで、急激にたくさんの方に読んでもらえるようになりました」と振り返る。

そんな津夏さんは、日々のアイデア出しは仕事をしている最中にアイデアを思いつくことが多い」そう。「なかなかいいネタが思いつかないときは、ほかの方が描いた4コマ漫画を読んだりします。自分には思いつかないようなネタはとても刺激になりますし、このテーマだったら、自分ならどういうオチをつけるかなぁなんて考えながら、ネタの構成を考えることもあります」と、さまざまな角度からネタ作りのノウハウを吸収しているという。

552本目「卒業」1画像提供:津夏なつな(@tunatu727)

552本目「卒業」1画像提供:津夏なつな(@tunatu727)


そうして続けてきた1000本ノックも折り返しを過ぎ、800本目も間近に迫ってきた。「自分のために始めたことでしたが、今はたくさんの人に楽しんでもらいたいという思いの方が強くなりました」と津夏さんは感謝を表す。

「とにかくとにかくおもしろい漫画、そして多くの人に読んでもらえるような作品を今後も目指して描きたいと思っています。今まで挑戦したことのないジャンルにも挑戦していきたいですし、本数を重ねるごとにステップアップしていき、よりたくさんの方に読んでもらえるようになっていることが今の目標です」と、創作活動のその先を教えてくれた。

取材協力:津夏なつな(@tunatu727)

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