透明人間への恋が叶った少女、彼女が犯した最大の間違いとは?「オチの前後で意味合い変わる」台詞が光る4コマに反響【作者に訊く】
とある少女が恋をしたのは、顔のわからない透明人間。見た目ではなく、その人柄に惹かれ告白した彼女は、「僕で良ければ…」と答えをもらえたけれど――?

SNSや無料電子書籍でオリジナルの4コマ漫画を発表しているオカトマト(
@tomatokeikakuan
)さん。2023年1月にX(当時はTwitter)に投稿した4コマ「透明人間」は、そのオチに「僕で良ければじゃないのよ」「なんで告白受けたんだ」と、2万件を超える「いいね」とともに多くの反響が集まった作品だ。今回は作品の紹介とともに、作者のオカトマトさんに4コマ漫画を描く思いを訊いた。
透明人間の少年だけが知っている、恋を台無しにする秘密とは

少女の通う学校には、透明人間の少年がいた。ある日、自分の仕事を何も言わずに手伝ってくれた透明人間の優しさに一目ぼれした彼女は、顔もわからぬ少年に「付き合ってください!」と告白する。

その告白を受けた透明人間の少年は「ぼ…僕で良ければ…」と驚きながらも承諾。晴れて恋人同士になりハッピーエンドと思いきや、告白を受けた少年には彼だけが気付いた重大な事実があった。
「この学校に僕以外にも透明人間がいる」。
少女が恋した相手と、告白した相手はともに透明人間だけれどまったくの別人というまさかのオチに唸らされる作品だ。
4コマの魅力は「気軽さ」と「果てしない奥深さ」
オカトマトさんによると、4コマ「透明人間」は、自身が主催する4コマ合同誌「闇鍋」に掲載するために制作した作品とのこと。「透明人間」のお題に複数の作家が漫画を作るというルールで、「姿かたちが見えないことによる“匿名性”という点に着目してネタを描きました」と、他の作家と被らないようなアイデアを考えたという。
オカトマトさんの作品には、ほかにも6万いいねを集めた4コマ「プレゼント」がある。監禁された少年へのサンタからのクリスマスプレゼントが「ナイフ」であるオチに、少年が“何に使うつもりでナイフをリクエストしたか”にさまざまな考察が寄せられるなど、その構成や結末を深読みしたくなるアイデアが多い。


こうした仕掛けはオカトマトさん自身も意図しているポイントだそうで、「透明人間の4コマの場合ですと、『ぼ…僕で良ければ…』という台詞が、オチの前後で意味合いが変わっています。こういったダブルミーニングのような台詞を取り入れることで4コマという限られたコマ数の中で情報量を増やしています」と、4コマの制約を活かす形で作品の練り上げている。
こうした自身の漫画制作のほか、X上で複数の4コマ作家が一つのお題で競作し優勝者を決める自主企画「ヨンバト!」も主催するオカトマトさん。
「『ヨンバト!』はもっと多くの人に4コマ漫画を描いてほしいという理由で始めました。4コマ漫画は老若男女全員が楽しめる遊びだと考えていまして、創作をしてみたいけど絵が描けない、時間がないといった方にぜひおすすめしたい創作活動です」とその理由を話すオカトマトさんは、「たった4コマで完成し気軽に始められますが、追求しようとすると果てしない奥深さがあります」と、4コマ漫画という形式の魅力を語る。
読むだけでなく、4コマ漫画を描く楽しさを多くの人に知ってほしいというオカトマトさん。「もっと幅広い層に楽しんでもらえるような漫画を目指していきたいです」と、今後の創作活動の抱負を教えてくれた。
取材協力:オカトマト(@tomatokeikakuan)