優秀な妹に劣等感を抱き「親の期待外れ」と自分を卑下する姉。寄り添うきょうりゅうさんがかけた言葉とは【作者に聞く】
自身がうつ病になったときのことを描いた「入社1ヶ月でうつ病になった話」や「元カレに浮気された話」などのエッセイ漫画や、オリジナルキャラクターのきょうりゅうさんが登場する創作漫画「そばにいてくれるきょうりゅうさん」などをSNSやブログで発信しているはんなみ(@yowai_daihyo)さん。辛い経験を赤裸々に描いた作品に、「救われた」「私だけじゃなくて安心した」「休む勇気が出ました」などのコメントが寄せられ、優しい絵のタッチに癒やされる読者も多い。
ウォーカープラスでは、はんなみさんがこれまでに体験したり、感じたりしたことをベースに描かれた創作漫画「そばにいてくれるきょうりゅうさん」を完全リメイクし連載中。SNSやブログで発信してきたストーリーを踏襲しつつも、新しいエピソードを入れ込みながら展開していく。

第7話となる今回は、女性(せつな)ときょうりゅうさんが花見から帰宅するシーンから始まる。せつなに「きょうだんおるん?」と聞くきょうりゅうさん。「あーーうん、いるよー」と歯切れの悪い返事をするせつなの想いとは―。作者であるはんなみさんのコメントと共に紹介する。
短所と長所は紙一重
――はんなみさんはせつなのように、ごきょうだいやご友人などに引け目を感じて悩んだことはありますか?
「私、姉がいて二人姉妹なんですけど、彼女が頭が良くて絵もうまくて。姉妹で昔から絵を描くことが好きだったのですが、姉よりうまく絵を描ける自信はいまだにないです(笑)。でも劣等感や引け目を感じたことはあまりなかった気がします。美術や音楽のような感性に寄り添う娯楽って、絶対に一番なんてないからおもしろいと思ってて。めっっっちゃくちゃ凄い人がいても絶対にその上をいく人っているんです。だって感性って人それぞれ違うから。そう考えると、劣等感や嫉妬心って『負けたくない』ってエネルギーにも変えられるし、考え方次第では悪いことではないなって思っています」

――きょうりゅうさんがせつなに「せつなの優しさはわいの自慢や」と言ったように、はんなみさんも誰かの特別になれたと感じたことはありますか?逆に、この人は特別だと思っている人はいますか?
「はんなみとして活動していると、私の絵や漫画を見てくださる方々の『特別』に少しなれたのかなって思います。自惚れかもしれませんが、『救われました』『元気が出ました』って言っていただけたときはこっちまで涙が出ちゃいそうなくらい『やっててよかった』って思うんです。そう言った点で言えば、はんなみにとっての特別は『私の絵を見てくださる全ての方』だと思っています」

――きょうりゅうさんの言葉を受けて、「そんなこと言われたのはじめてだ」とせつなが感じたように、はんなみさんも初めて言われてうれしかったことはありますか?
「言われてうれしかったこととは少し違うかもしれませんが、鬱になったときに友人がかけてくれた『私はあなたがいてくれてよかったしあなたにこれからも生きていてほしい』って言葉が今でも強く心に残っています。本当に本当に本当にどん底に落ちていたあのとき、あのタイミングのあの言葉で少しずつ這い上がれた気がします。良くも悪くもあのときの辛かった経験が、今の私に生かされていると感じます」

今回の話で読者のみなさんへ伝えたいことを尋ねると「人間誰しも引け目や苦い過去があると思います。でもそれを生かすも殺すも自分次第っていうことを伝えたいです。短所と長所は紙一重。考え方次第で良くも悪くも輝くと思うので、どうか少しでもいい方向に考えられますように」と話してくれた。