「それくらいやってあげます」人の願いを“タダ働き”で叶えるぽんこつ悪魔がかわいすぎ!「平和な世界」なコメディ漫画に反響【作者に訊く】
「三つの願いを叶えたら魂をください」と、願い事と引き換えに人間の魂を奪おうとする悪魔の少女。けれど相手からは「腰もんでもらえる?」「暑いからアイス食べたい!」と雑な願いばかりで、悪魔なのに「そんなことに使っちゃいけません」と忠告する羽目に……。

WEB上の個人制作漫画には、プロの漫画家が手掛けたものも数多く存在する。『武蔵くんと村山さんは付き合ってみた。』(GANMA!)などの作品がある漫画家のなるあすく(
@naruasuku
)さんが発表した「あくまちゃん」もその一つだ。魂を奪う悪魔なのにお人好しすぎる“あくまちゃん”のほっこりする奮闘(?)が描かれる同作には、「可愛らしすぎる」「理解ある上司さん」という読者の声とともにX(旧:Twitter)上で4.3万件を超える「いいね」が寄せられている。
あくまちゃんの上司がメインキャラクターとなったスピンオフ「あくまさんと付き合ってみた。」もAmazon Kindle インディーズの電子書籍で3万件以上の評価を集めるなど支持を集める同シリーズ。発端となった「あくまちゃん」のあらすじとともに、作者のなるあすくさんにシリーズが生まれた舞台裏を取材した。
魂と引き換えなのにしょうがない願いばかり!?けなげな悪魔の奮闘にほっこり
人間界で魂を集めるため、人々に願いを叶えると告げてまわる主人公の「あくまちゃん」。本来なら“悪魔に魂を売る”重い契約になるはずが、あくまちゃんが声をかけた相手は日常のちょっとした欲を叶える願いばかりを挙げ、あまりの釣り合わなさに「それくらいやってあげます」と、結局無償で願いを叶えてしまっていた。


と思えば、生活に疲れた社会人から「さっさと死なせて」と言われたり、老婆に「もう老い先短いし」と魂を渡そうかと提案されると、「そんなのいけません」「長生きしてください」と励ますあくまちゃん。底抜けのお人よしな彼女は、重くても軽くても「魂と引き換えの願い」を叶えられずにいた。

悪魔としては体たらくな有様のあくまちゃんの動向は、あくまちゃんの上司にも筒抜け。だが謝りながらあくまちゃんが事情を説明すると「わかるわぁ…」「私だってそうしちゃう」と、理解にあふれる対応で許してしまうのだった。
「自分も好感が持てそう」人間味あふれるあくまちゃんが生まれたワケ

悪魔を主人公にした殺伐とした設定ながら、そうした背景とは真逆のほのぼのと優しいやり取りが描かれる同作。結果的にまるで天使のような振る舞いをするあくまちゃんに癒されるという反響が多く寄せられている。
そんな「あくまちゃん」が生まれたきっかけを作者のなるあすくさんに訊くと、「魂をもらうはずの悪魔なのにお人好しだったら、おもしろくて自分も好感が持てそう」というアイデアが発端になったとのこと。主人公のあくまちゃんも、人間味があって身近にいそうな雰囲気を意識してキャラクターを膨らませていったという。
作品内に流れる優しい雰囲気が印象的な同作。「商業作品を描かせていただくとき、アイデア出しで“刺激”や“残酷さ”といった部分をとにかく求められてしまう時期がありました」となるあすくさんは商業漫画家としての体験を語り、あくまちゃんを描く上ではショッキングな要素ではない部分を楽しんでもらえたらうれしいという思いがあったと話す。
「あくまちゃん」やスピンオフ作品の「あくまさんと付き合ってみた。」を、ともにAmazon Kindle インディーズにて無料電子書籍と公開しているなるあすくさん。電子書籍ではSNSでの公開時にはなかった追加エピソードも盛り込まれ、ともに多くの評価を集めている。
そんな反響になるあすくさんは「とにかく『みんな優しいからいい』や『みんなイイ人で好き』と言ってくださる方がとても多いのが印象的です」と話し、「日々の生活におけるさまざまなお疲れな気持ちの癒やしになってくださる人もいるようで、そういったお声をうかがえて本当にありがたく思いました」とうれしさをにじませた。
取材協力:なるあすく(@naruasuku)