戦国屈指の“悪役”、ここまでやったら清々しいかも?裏切り重ねた武将「松永久秀」の壮絶すぎる最期【作者に訊く】

戦国時代は謀反や下剋上の時代でもあった。主君を裏切り、また追い落とし地位を得た武将は数知れないが、そうした裏切りの代表格とも言えるのが松永久秀だ。さまざまな悪行を重ね「残忍な悪役」のイメージが強い久秀だが、その最期は意外にも清々しいもので……?

裏切りに次ぐ裏切り…窮地に立たされ「切り札」を持った久秀の選択が潔い!?希代の「悪役武将」の生涯作:徳永サトシ

あまたの英雄・豪傑がしのぎを削った戦国時代。華々しい活躍をした戦国大名から知る人ぞ知る武将までその生き様に惹かれる人は多いが、その半生はあまり知られていないもの。そんな戦国のスターからマイナー武将まで、戦国武将の生涯をYouTube漫画として描いているのが漫画家の徳永サトシさんだ。

日本史を題材にさまざまな漫画をYouTube動画として配信する作品の中には100万再生を数えるものもあるほど人気を博す徳永さん。とりわけ反響が大きいのが戦国時代を舞台にしたもの。今回は「松永久秀の生涯を11分で簡単解説!」の紹介とともに、作者の徳永さんに戦国三大梟雄の一人・松永久秀を描いた思いを取材した。

裏切り、焼き討ち、また裏切り…戦国屈指の「悪役」が選んだ最期の形

その出自ははっきりとしないものの、室町幕府の実質的な権力者となっていた三好長慶に仕えていた松永久秀。政治のみならず城郭建築や茶の湯と多方面に才覚を発揮した久秀は、とんとん拍子に出世を遂げていく。

作:徳永サトシ


そんな“優秀な家臣”が“戦国三大梟雄”となるのは、主君である長慶がこの世を去ってから。久秀は三好家の重鎮である三好三人衆と当初は結託し、まだ若い後継者を後目に権勢を広めるが、その後三人衆とも対立。異説は多数あるものの、久秀は戦の中で三人衆が陣を構えた東大寺を大仏ごと焼き払ってしまう。

作:徳永サトシ


そんな事態を収拾したのが、京に上洛した織田信長。機を見るに敏な久秀は、あっさりと降伏して臣下に下るもそこに忠義はなく、後年多数の勢力が参加した信長包囲網に武田信玄が加わると主君である信長に敵対。だが、包囲網の要だった信玄が急死して以降、包囲網は連戦連敗。寝首をかこうとうかがっていた久秀の目論見は潰えることとなる。

作:徳永サトシ


しかし、意外にも信長は久秀の裏切りには寛容だった。その理由の一つとも言われるのが、久秀の所有していた茶器「古天明平蜘蛛」だった。最初に久秀が降伏して以来、信長は名品中の名品である平蜘蛛をことあるごとに欲していたのだ。

そんな切り札ともいうべき平蜘蛛を抱えたまま、久秀はなんと再び信長を離反する。その後すぐ信長に包囲された久秀は「平蜘蛛の釜と我らの首と2つは信長公にお目にかけようとは思わぬ」と言い放ち、茶釜を叩き割った上で城に火をかけ壮絶な最期を遂げるのだった――。

作:徳永サトシ


「こんな松永久秀が見てみたい」終盤にこめた思い

権力を虎視眈々とうかがい、劣勢でも助かる目はまだあったにも関わらず、切り札を自ら砕いて死を選んだ松永久秀の生涯。その最期を知ると、どこか自分の信念に殉じたようにも感じられる。徳永さんの歴史漫画の中でも初期に描いたという本作について、久秀を題材に選んだ理由やその描き方の狙いを訊いた。

――戦国三大梟雄として知名度の高い松永久秀ですが、取り上げようと思った理由を教えてください。

【徳永サトシ】初期作品の一つです。まだまだ戦国時代の知識がなかったときでしたが、松永久秀については知っていました。取り上げようと思った理由は、松永久秀を表すキャッチコピーの多さです。「戦国三大梟雄」のほかにも、その死に際の伝承から「戦国のボンバーマン」などさまざまなキャッチコピーに魅力を感じて描きたいと思いました。

――いかにも「悪役」的な序盤から、武田信玄急死以後の翻弄されていく姿が対照的です。このような構成にした狙いはありますか?

【徳永サトシ】漫画の中の松永久秀を魅力的にするため、そのような構成にしました。大筋は史実に沿っていますが、ときに有頂天になったり、ときに翻弄されたりする表情があった方が漫画としておもしろくなるのではという意図です。

――そんな久秀が作中、「一番悪い顔」をしているのが信長に平蜘蛛を渡さないと決めたときというのも印象的でした。このシーンにこめた思いを教えてください。

【徳永サトシ】「こんな松永久秀が見てみたい」という自分のイメージで描きました。松永久秀は、何度も信長を裏切り、自分の信念に基づいて生涯を生きました。その最期もやはり、自分の信念に基づいて、納得というか満足して逝ったのかな…と想像しました。

取材協力:徳永サトシ(@tokunaga0621)

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