夫婦で更年期!?だるくてやる気のない夫を見て、妻はイライラ!人それぞれ違う症状も「不安が希望に」なる更年期お守りバイブル【作者に聞く】
めまい、頭痛、イライラ、火照りなど、40代をすぎた女性に起こりやすい更年期症状。それぞれ9人の向き合い方を描いた、漫画 原あいみ(@aimihara)・監修 関口由紀さんの「私の生理のしまい方」を紹介する。ソファでゴロゴロする夫を見て、イライラが募る妻。「疲れた」と夫が一言言えば「私だって疲れてるのよ!」と突然怒り出す。一度不満を口に出してしまうと、もう止まらない!そんな姿を見て「そこまで言わなくても」「なんか変」と言われる。自分のことなのに原因がわからず、家の中がどんより…。

それってもしかして「更年期?」言葉は知っているけれど、症状や対策など、イマイチわからないという人も多いのでは?本作では、体調不良から始まり、やりたいことがなくなって自分が空っぽになってしまった女性や夫婦ともに更年期を迎えた実際の体験談を描く。
50歳を過ぎて落ち込んだり、ゴロゴロする時間が増えた夫。47歳在宅ワーク、小1の息子の育児をこなす妻

50歳を過ぎて、目に見えて元気がなくなってきた夫のシンさん。週2回、小学1年の息子とお風呂に入る約束をしているが、食後はソファにゴロンとして横になり、眠ってしまう。そんな姿を見て、イライラが募る妻。「お風呂の時間だよ。入らないとどんどん寝るの遅くなるでしょ。それでこの前ユウキが体調崩したじゃん!!」

お怒りモードに気づいた夫は「わかった、わかった」と、そそくさ息子と風呂に向かう。その間も「一日家にいるけど、私だって仕事して疲れてるの!それでも、ユウキが寝るまではエンジン切らずにがんばってるの!」と、怒りは止まらない。

妻は怒りが収まらず、一旦気持ちを落ち着かせるために外出。本屋で気分転換をしていると、男性の更年期(正式には、加齢性腺機能低下症)について書かれている雑誌を見つけた。そこには、眠い、だるい、やる気がでない、気持ちが憂鬱になることが多い、と書かれてあり、まさに夫の最近の態度と同じことに気づく。

そこで妻は夫と更年期について話し合う時間を作った。夫は更年期外来を見つけて通院し、ホルモン注射を受けて体調の改善をはかった。お互いが更年期であることを認めると、相手を労る気持ちが生まれてきたという。

例えば、PCなどの電化製品を夫に任せたり、運転を頼ったり、妻は料理ができて当たり前、子どもの面倒は任せるという空気があったが、勝手に役割決めつけていたことを反省し、話し合って解決するようになった。これも日頃のイライラや体調不良の原因を「更年期」というワードのせいだけにしないで、きちんと受診し、向き合った結果だ。
年齢による不調は男女ともにやってくる。症状がない人もいれば、とても深刻な状態になる人も
今回は、9人の方々に取材し、それぞれの更年期の症状や乗り越え方を描いた原さんに詳しく話を聞いた。

――まずは、本作を描くきっかけを教えてください。
元々、女性のココロとカラダに関するお仕事が得意で、ずっと自分の年齢と共に、その時々で興味があるジャンルのイラストや漫画を描いて来ました。自身もちょうど46歳となり、日に日に体力の低下を感じていまして、「更年期」を意識するようになりました。そんな時に編集担当さんと出会え、同年代だったこともあり、自分たちが今一番興味があること!ということで、「オトナ女性」の不調をテーマにしようと、割とすぐに気持ちが固まりました。

――生活環境が違う9名の更年期の体験。実際取材をして感じたことはありましたか?
「症状や受け止め方が人によって、本当にさまざまである」ということに驚きました。既に苦しかった時期を乗り越えられた皆さんは、ご自身の経験を振り返り、ときに笑いも織り交ぜながら明るくお話くださって…、とても不安が軽くなりました。
皆さんそれぞれに症状が軽くなるための工夫や、上手な気持ちの切り替え方などを見つけられていて、自分自身もこれから50歳を迎えるに当たって、いろいろなヒントを教えていただけた気がします。また多くの方が「気になることがあったら自分で判断せず、早めに婦人科に行った方がいいよ!」と言っていたのが印象的でした。

――本作の見どころをお願いいたします。
実際の取材を元に物語にした本ですので、“隣にいる普通の人々”のエピソードを覗き見るように読んでいただけるところが、この作品のよさだと思っています。普段、身近な友人にも話しづらいような話題(セックスレスや高齢処女など)に触れている話もあります。さまざまな女性の心の葛藤をぜひ、見ていただきたいです。

――原さん自身も更年期に入り、今、どのよう感じていますか?
私はまだ更年期の入り口に立ったばかりでして、そこまで症状が深刻ではありませんが、監修の関口先生や取材対象者の皆さんのアドバイスに従い、今のうちにかかりつけの婦人科を見つけておこう!と思い、受診をしてみました。
更年期をご専門にした先生がいらっしゃる、よいクリニックを見つけることができ、血液検査もして、女性ホルモンの値も実際に目で見ることができました。いざ、症状が出てから病院を探すとなると、きっと大変だと思います。「何かあったらここに行けばいいんだ」という準備ができたことで、これまた不安が軽くなりました。

また、監修の関口先生に「更年期が過ぎれば、自由でハッピーな30年が待っている!」と言われたのも強く頭に残っていまして。そのために、今から「自分のココロとカラダにしっかりと耳を傾けて、ちゃんと適度な運動もして備えよう!」と前向きに思えています。

――本作で男性更年期があると知り、驚きました。原さんは、ご存知でしたか?
なんとなく聞いたことはありました。この本を制作中に、うちの夫が「もしかしてそれ更年期かも?」と思う症状があったので、受診を勧めてみました。私が更年期のことに関心を寄せているので、夫婦でもいろいろと抵抗なく話ができてよかったなと思っています。

――最後に読者の方にメッセージをお願いします。
正直に言うと私も40代以降の女性特有の不調については、なかなか人に話しづらかったり、そもそも話題にしていいものか気を遣ったりする、という印象がありました。「更年期」というワード自体も、ちょっとした陰口的なものとして使われるというネガティブな印象がまだまだ残っているのが現実だとも思っています。
でも私は、この本を作ったことで年齢による不調というものは、男女ともに誰にでもやってくるもので、「症状がない人もいれば、とても深刻な状態になる人もいるんだ」ということを知ることができました。きちんと知識を得たら、変な不安や恐怖感はなくなり「更年期」というワードにも全く抵抗がなくなりました。

ぜひ、多くの方に「更年期」について知っていただきたいと思っています。そして、もしも、自分や家族などにつらい症状が出てしまったときも、誰もが普通に、この頃の不調について話せる、そんな世の中になるといいなと思います。この本が、家族や友人など身近な人と「更年期」について話すきっかけになったらうれしいです。
本書のなかには、女性医療クリニックLUNAの関口由紀先生の監修のコラムもあり、ホルモンの変化と不調の関係性、行きたいけど勇気が持てない婦人科の探し方から受診の流れも紹介。タイプ別で取り入れたい漢方やホルモン治療、自宅でできる骨盤ケアまでをナビゲートしている。
相談できずにいる人、更年期に悩む人、更年期を控えて不安になっている人、そのパートナーなどに読んで欲しい一冊。「原因や体の仕組みなどもわかり、不安が希望になりました!これからの更年期のお守りのような本です」とのコメントも届く。
取材協力:原あいみ(@aimihara)