「インターホンを執拗に押してきたり、ノックを執拗にしてくる全身真っ赤な女性には注意してください」投函されたビラを見た男は?【作者に聞く】
冬休みに突入してゆっくり自分時間を満喫したい人に贈る、ウォーカープラス年末企画!たっぷり読める、おすすめ漫画を紹介したい。
本作は、毎週土曜日23時から配信中の怪談ツイキャス「
禍話
」で語られた「赤い女のビラ」を大家(@ksyjkysk)さんがコミカライズした作品である。マンションのポストに「赤い女に気を付けろ」という注意喚起をうながす奇妙なビラが投函されていた。一体、どういう意味なのだろう?
交際相手に殺された女性が犯人の男を探している!?そんなビラが投函されていて

一人暮らしの大学生が暮らすマンションの集合ポストに、奇妙なビラが入っていた。それは、便箋に「赤い女に気をつけてください」と手書きで書かれたものだった。

注意喚起かと思い内容を読んでみると、そこには「赤い女に気をつけてください。インターホンを執拗に押してきたり、ノックを執拗にしてくる全身真っ赤な女性には注意してください」などと書かれている。

不気味なのは、投函されたビラがすべて手書きで書かれており、漢字やカタカナが混ざっていて、日本語が怪しい。管理人に話すと、ビラの投稿をやめるようにポストの近くに張り紙をしてくれたが、いつの間にか剥がされ、また投函されるというイタチごっこが始まった。

男はある日、バイト仲間にこのビラの話をした。すると、「マンションを見たい!」と言い出し、みんなで自宅に向かうことになった。到着したマンションで自分のフロアを見上げると、赤い服を着た女がウロウロしている。もしかして「ビラの犯人じゃないですか!」と、バイト仲間は急いで走り出した。

しかし、フロアにはすでに誰もいない。階段を駆け上ってきたのに誰ともすれ違わず、エレベーターは動いていなかった。そんな不思議な体験があった。

それからまた、しばらくはビラが投函される日が続いた。バイトで多忙を極めていたある夜、深夜に帰宅すると、隣の玄関に人が座っている。切れかけの電灯がチカチカ光る薄暗い暗闇の中から、少しずつこちらに近づいてくるのは、赤い女だった。

それに気づいた主人公は、慌てて部屋に入る。すると、すぐさまドンドンドン!とドアを叩く音とピンポンを執拗に連打された。そして「赤い女に気をつけてください。インターホンを執拗に押してきたり、ノックを執拗にしてくる全身真っ赤な女性には注意してください!」と、ビラに書かれていたセリフを大きな声で叫んでくる。

ビラに書かれたことと同じことをされていると気づいた男性。そのビラの続きには「ドアを開けると隠し持っていたナイフで殺されます。どうにかするには――」と書かれてあり、ドアの向こうから女が同じセリフを叫ぶと、主人公は恐怖に立ち尽くした。
禍話ファンのなかでも人気の高い話を凝縮させた

本作は、オカルト・怪談界隈で大人気の怪談ツイキャス「禍話」がコミカライズされた「禍話 SNSで伝播する令和怪談」の1話「赤い女のビラ」だ。

作画を担当したのは、大家さん。「最初は複数の作家さんで…というアイデアもあったのですが、私から、単独の著者で、出来れば大家さんでやってほしいと無茶なお願いをしました」と、禍話のかぁなっきさんの強いオファーがあってのコラボとなった。理由としては、「すでに大家さんが独自に描いてネットで公開していた「アイスの森」「扇風機の家」が素晴らしい出来だったので……」と、かぁなっきさんもまた大家さんの漫画のファンでもあった。

怪談ツイキャスで語っていたものが「漫画」となって出来上がってきたことについては、「期待通りというか、それ以上でした。毎回、下書きを読ませて頂いたのですが、そのたびに圧倒されていましたね。とくに『で、どうする?』という話は、禍話には珍しい因果応報の話なのですが、大家さんの表現力でもとの話に忠実な流れでありつつも、正直、元より怖い話になったんじゃないでしょうか。『お化けになった友人との距離感』がこんなに自然に表現できるなんて、『とんでもない人だなぁ』と思いました」と、かぁなっきさんは言う。

作画の大家さんに「赤い女のビラ」についてのこだわったところを聞くと「本作のキーワードである“赤い女”を特徴的な見た目にせず、『もしかすると自分の近くにも…』と思ってもらえたらいいなと考え、どこにでもいるような風貌にしました」と言う。あまり表情が見えない、ただの女性の姿というのも恐怖を煽る。

また、漫画化にあたり「各話のお化けは、漫画化する上でツイキャスで放送時よりも細かい部分の見た目をお伝えして描いてもらっている」という。「漫画版を読んだ方は、体験者と同じ感覚でお化けと遭遇できるわけです」イメージの具現化だけでなく、より怖さ倍増するようこだわって制作された。漫画には、禍話で語られた400以上の怪談のなかからファンのなかでも人気の高い「赤い女のビラ」「で、どうする?」「9人いるぅ…!」など11話が収録されている。
取材協力:かぁなっき(@magabanasi)・大家(@ksyjkysk)