【感想すべてがネタバレに】膨大な伏線で反響呼ぶ創作漫画「台本のない同棲生活」に引き込まれる【作者に訊く】
年末年始のお休みの間、帰省やおでかけの隙間時間に、はたまた巣篭もりでゆったり過ごすときにも、スマートフォンやタブレットで気軽に読める電子書籍は格好のお供。相田カンナさん
(@aida_kanna)
が無料公開している電子書籍「相田カンナのTwitter集」は、Amazon上で1000件以上の評価を集める人気作だ。

ウェブ漫画の制作をはじめ、「ハイパーコンプライアンサー岩子」(漫画・兎月メイ)の漫画原作、シナリオ脚本を手がける相田さんは、「相田カンナのマンガ集」としてオリジナル作品の電子書籍も数多く発表している。第3巻にあたる「相田カンナのTwitter集」はタイトルの通りTwitter(現:X)で公開した作品を収録したもの。


その中の一作「台本のない同棲生活」は、“嘘つきな女優”の異名をとる幼馴染と、押しかけてきた彼女を正体不明のストーカーからかくまう青年を主役としたミステリーで、Xでの公開時には7800件を超える「いいね」とともに、緻密に張り巡らされた伏線とその回収劇に「感想言いたいけどネタバレになりまくる」「この短い中によくもまあそんなに伏線が」と驚きを集めた。今回は作者の相田さんに、そんな同作を描いた舞台裏を訊いた。
「作家性をなるべく出さないように」緻密な構成と作家としての試み
相田さんによると、同作は漫画家の有志による自主企画で、共通のお題をもとにSNS上に公開するための作品として描いたものだという。
「そのときのお題は『セクシー』だったのですが、私はストーリーを重視する作品を描こうと思いました。恋愛×ミステリーものがいいかなと考え、“ストーカー男から逃げる女優と秘密の同棲生活”という物語が生まれました」

そんな同作は、ミステリーとして容疑者候補のキャラクターが多く登場するため、「キャラクター数はカットできなかったので、全コマ伏線もしくは意味を持たせる内容になるよう心掛けました」と、極力無駄を省いた構成を意識したと話す。
さらに、この作品では自身の作家性をなるべく出さないように意識したと語り「ミステリーと恋愛、自分の好きなことや一般的に好かれているものを織り交ぜて、その掛け合わせにどのくらいの反響があるのかを探る感覚で描いてみました」と本作ならではの挑戦を試みたという。
また、一方の“セクシー”というテーマの通り、本作のヒロインである文乃は本心の読めない蠱惑(こわく)的なキャラクターに仕上がっている。人物造形では「目や表情を描くことはとても楽しく、大切にしている気がします。造形以外にも行動原理にもなる“キャラの欲求”は必ず設定して描いているかもしれません」と、こだわりを教えてくれた。
取材協力:相田カンナ(@aida_kanna)