「僕を食べて欲しい」男性に言われると無性に食べたくなってしまい…全部完食すると?ラストを読んで納得!作品の裏側を聞く【作者インタビュー】

目覚めると知らない男が「僕を食べて欲しいんだ」と言う。女は「なぜだがわからないけれど、食べなければ」と思い、男性が自ら調理した肉を食べる。「食べるとは受け入れること」「生きる覚悟と責任を持って前に進もうとしてる」などのコメントが届く、練/選分つかむ(@kamaboko_tarou)さんの創作漫画「『僕を食べてほしい』という男と、言われた女」は、一体何を描いているのだろうか?著者に本作の背景や着想についてインタビューした。


「僕を食べて欲しい」と言う男性。終始、女性が食べる姿をずっと見つめていて?

君の血肉_005画像提供:選分つかむ(@kamaboko_tarou)

女が目覚めると、上下不覚になりそうな真っ白な部屋にいた。目の前にはテーブルと見ず知らずの男性。男は詳しいことは話せないけれど「僕を食べて欲しい」と言う。目の前に料理が出されると、不思議とよだれが出てきた。

君の血肉_008_009画像提供:選分つかむ(@kamaboko_tarou)

夢中になって食べる女性は、これは夢だと気づいた。なぜなら、女性は少食でこんなにたくさんの肉を食べることができないからだ。

君の血肉_011画像提供:選分つかむ(@kamaboko_tarou)

すべての肉を食べ終えると、椅子の上に男性の頭だけが残った。それが何を意味するのかは、女性が目覚めて初めてわかる。

命に直結する「食べる」ことで、「生きたい」という魂の叫びをのせた


【漫画】「僕はおいしい?」と聞くのはなぜ?画像提供:選分つかむ(@kamaboko_tarou)

――まずは本作を描いたきっかけを教えてください。

幼稚園児のときに園長先生がお話をしてくれた「どうして月にうさぎがいるのか」という話があります。うさぎは「自分を食べてくれ」と火に飛び込み、身を捧げますが、主人公(帝釈天)はうさぎを食べません。子どもながらに「どうして食べてあげないんだろうな」という釈然としない気持ちがこの話のベースになっています。このお話を描くちょっと前に「命」について考える機会があり、自分なりに「生きる」と「食べる」を描くことで、幼少期の気持ちを解消したのだと思います。もちろん、お話の論点がそこではないことは理解していますが(笑)。

君の血肉_002画像提供:選分つかむ(@kamaboko_tarou)

――夢の中の描き方にホラー感があって、続きが読みたくなります。描くうえで、気をつけたポイントやこだわったところがあれば教えてください。

初手からグロテスクな内容を想起させる言葉を使うので、あまり過激な印象を与えすぎないように、雰囲気や表情、他の台詞回しなどに気を遣いました。食べ物は調理済みで、皆さんが味をイメージできる身近なものを選出しています。

君の血肉_007画像提供:選分つかむ(@kamaboko_tarou)

――彼女が食べたくないはずの肉を見た途端、食べてしまうシーン。ラストまで読むとあれは「生きたい」ということだったのかなと思いました。漫画に描かれていない裏設定(伏線)などがあれば教えてください。

おっしゃる通り、あれは生きるための意思を表現しています。伏線というよりも、部分部分で暗喩として意味を散りばめています。黒い服は死をイメージさせ、男性には白いシャツを着せることで、2人の存在する位置が違うことを表現しようとしました(できているかは微妙ですが)。

君の血肉_010画像提供:選分つかむ(@kamaboko_tarou)

――そのほかにどのような漫画を描いていますか?

ジャンル的にこれ!と特定するのはかなり難しいのですが、人の感情や生きている感じがとても好きなので「感情と生」がメインかもしれません。今回一緒にご紹介いただいている「一途」もそんな感じです。

また、現在「くらげバンチ」にて読み切りを掲載いただいています。今後も載せていただく機会があったりなかったりするので、よければXなどで気が向いたときに私の名前で検索して、漫画を読んでいただけると幸いです。


夢から醒めた女性は、男性の肉を食べたことで自分が生きていることに気づく。与える側と与えられる側を描いた考えさせられる話だ。

取材協力:練/選分つかむ(@kamaboko_tarou)

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