【手だけの霊に遭遇】恐怖に怯える優しいネイリスト…彼女のピンチに“手”がお返しした「優しさ」が尊すぎる【作者インタビュー】

モーニング月例賞で期待賞を受賞した「君の死は」などで注目を集める漫画家・早々乃曜七(
@kakesichi67
)さんが、SNSに公開した作品
「爪のお礼」
が話題だ。「壁から手が生えている」という特異なシチュエーションから、ネイリストである主人公がネイルを塗ってあげるという展開に、読者からは「優しい気持ちになった」といった感想が寄せられた。今回、作者の早々乃曜七さんに話を伺った。
クライマックスは「『手だけ』というキャラクターだからこそ、生きる場面だと思います」



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冒頭から強烈なインパクトを放っている本作を描いたきっかけについて、早々乃さんは「
昔読んだ『今昔物語集』という古典文学の中に『子どもの手が柱から出てきて人を招く』という話がありまして、それが元ネタかもしれません。
怪異譚などを読むとき、『この得体の知れない怪異と実はコミュニケーションが取れたらどうなるだろう』と考えてしまいます。その理由は、自分が凄く怖がりだからです。手だけの霊に遭遇してしまったら、凄く怖い。ならば、そういう霊が怖くなくなるような話を描いてしまおう、という発想につながりました
」と、1コマ目を考えると「怖くない」作品となった理由を明かす。
霊の「手」しか見えない理由を尋ねると、「
『表情の読めない』キャラクターが好きです。無口や寡黙なキャラという意味ではなく、ピクサーの『ウォーリー』に登場するロボットたちのように、そもそも人間の顔を持たないキャラクター。
そういうキャラが、身振り手振りで必死に感情を表そうとする姿に『萌え』を感じます。手だけの姿なのに、戸惑いや喜びといった感情が伝わってくるキャラクターを描いてみたいと思いました
」と、その意図を語ってくれた。
本作でこだわったポイントについては、「
『手だけ』という個性をどのように読者に印象づけるのかを意識しました。手だけのキャラは何をされたらうれしいのか。どうやって主人公のことを助けるのか。背中に指で文字を描いて感謝を伝えるのも、『手だけ』というキャラクターだからこそ、生きる場面だと思います
」とのこと。そこを踏まえて読むと、さらに優しい気持ちになりそうだ。
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取材協力:早々乃曜七(@kakesichi67)