ガリガリの放浪犬「吠えるし噛むし、殺処分の可能性も」そんな暴れ犬に触れてみたら?「本当は人間に甘えたくて助けてほしくて仕方なかった」【著者に聞く】

ある日、知り合いの保護団体から「放浪犬を一時的に預かって欲しい」と連絡が入った。保護したものの「吠えるし噛むしで、このままだと殺処分の可能性も…」と言う。「とりあえず2日間だけ」という約束で引き受けたが、迎えに行くと犬はオリから脱走!周囲は一面血だらけで――!?ヨシモフ郎(@yosimofurou)さんが出会った放浪犬との交流を描いた「茶々のお話」をお届けしよう。

「とにかく吠えるし、噛む」危険度100%の放浪犬を預かることになった!?

保護犬茶々のお話【第1話】(2)画像提供:(C)ヨシモフ郎/KADOKAWA

役場で放浪犬を保護した。しかし、土日は役場も閉まってしまうため「2日間だけ預かって欲しい」と、ヨシモフ郎さんのところに知り合いの保護団体の人から電話があった。2日間なら「いいですよ」と犬を引き取りに向かう。

保護犬茶々のお話【第2話】(2) 画像提供:(C)ヨシモフ郎/KADOKAWA

放浪犬は「すごく吠えるし、噛む」と聞いていた。迎えに行くと、室内からギャンギャンと吠え続けている犬の声が。ドアを開ける前には、噛まれたときのケガを防ぐ「皮手袋いる?」と聞かれる。「そこまで激しいのか…」と覚悟を決めてドアを開けた。

保護犬茶々のお話【第3話】(2) 画像提供:(C)ヨシモフ郎/KADOKAWA

中に入ると、ドアも床も血まみれ…。入れたいたゲージのオリは開けられていて、革紐のリードは千切られていた…。犬は、一体どこに行ったのか?と思えば「ヴヴヴヴ~」と低い唸り声。暗闇の中で血だらけで唸る放浪犬がいた――。

保護犬茶々のお話【第3話】(4) 画像提供:(C)ヨシモフ郎/KADOKAWA

威嚇は激しいものの、痩せ細っていて体は小さい。「挨拶してみよう」とヨシモフ郎さんは座って、ゆっくり手を出してみた。放浪犬はビクゥ!と驚き、そして唸った。そのまま少しずつ近づいてみると――?

「キライ、コワイ」唸っていた放浪犬を撫でてあげたら…?ちょろかった(笑)

放浪犬だった茶々を保護し、その後4カ月一緒に暮らすことになるヨシモフ郎さんにそのころの思い出を聞いた。

保護犬茶々のお話【第4話】(1) 画像提供:(C)ヨシモフ郎/KADOKAWA

――保護犬を預かって欲しいと連絡が入りますが、どのような経緯からですか?

以前からご縁のある保護団体さんから「数日でいいから預かって欲しい」とご連絡がありました。たまたまその日、時間に余裕があったので対応させてもらいました。自分が飼ってる犬は「ドベとノラ」の2匹だけです。犬猫の預かりも基本的にしてないのですが、今回のようにご縁があったりする場合は短期間だけ預かることもあります。犬は今まで6頭ほど、猫は13頭ほど保護したことがありますが、半分以上はノラが拾って来た子たちです。

保護犬茶々のお話【第4話】(2) 画像提供:(C)ヨシモフ郎/KADOKAWA

――保護されていた場所は、血だらけで茶々も相当興奮(怯えていた?)様子でしたが、対面したときの気持ちを覚えていますか?

現場の惨状も相まって、牙むき出しで、声も大きかったので普通に「怖いな」「噛まれたらイヤだな」と思いました。挨拶してみたらただ怖くてどうしたらいいのかわからなかっただけのようで、想像以上にちょろかったです。

保護犬茶々のお話【第4話】(3) 画像提供:(C)ヨシモフ郎/KADOKAWA

――茶々がすぐに懐いてくれてどのような気持ちでしたか?

「そんなにちょろくていいの?」と思うと同時に「絶対人間に飼われてた子だな」とも感じました。「吠えてたけど本当は人間に甘えたくて、助けてほしくて仕方なかったんだな」と。

保護犬茶々のお話【第4話】(4) 画像提供:(C)ヨシモフ郎/KADOKAWA

――茶々が捨てられた背景を想像したり、置き去りにされたトラウマが出ちゃうシーンを読むだけで胸が切なくなります。犬を保護することについて、ヨシモフ郎さんなりのご意見があれば聞かせてください。

犬を保護するのはお金も手間もかかるので正直面倒なのですが、自分に余裕があるときはできる範囲、無理のない範囲で「できることができたらいいな」と思っています。普段から犬や猫の保護活動をされている方には、本当にすごいことだなと深い尊敬の念を抱いています。そのお手伝いが少しでもできればうれしいです。

保護犬茶々のお話【第11話】(3) 画像提供:(C)ヨシモフ郎/KADOKAWA

――本作を通して伝えたいことがあればお願いします。

世間では、保護犬の里親になる関心が高まっていますが、保護犬が新しい家族を見つけるまでにどうやって過ごしているのか、意外と知らない人も多いのかな?と思い、描かせていただきました。たくさんある家族のなかのたったひとつのご縁の話ではありますが、読んでいただければ幸いです。書籍には、5匹の保護猫「ほごねこーず」のお話も収録されていますので、猫好きの方も、どうぞよろしくお願いします。

放浪犬は茶色い犬だったことから「茶々」と名付けられた。触るとすぐに懐いてきたことから、放浪する前は飼い犬だったことを知る。茶々は飼い主に「捨てられた」トラウマを抱えていて、ヨシモフ郎さんが見えなくなると、激しく鳴いたり、吐き戻すようになる。茶々に新しい家族が見つかるまで――切なくも温かい茶々との話は、Xで投稿されているほか、著書「ドベとノラ」(2巻)に収録されている。

取材協力:ヨシモフ郎(@yosimofurou)

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