世界の終わりが今日でも、バイト行く?短編漫画「地球最後の日バイトに出勤した」が最高にすがすがしい終わり方【作者に訊く】

「もしも世界が終わるとしたら」。そんな空想をするとき、普段ならできないことや最後だからのとっておきを考える人も多いだろう。けれど、仕事をするという選択肢だってあるもので……。

終末の日、女子大生はバイト先の先輩が出勤するかが気になり…創作漫画「地球最後の日バイトに出勤した」作:真顔逸華


真顔逸華 (@magao_1) さんの創作漫画「地球最後の日バイトに出勤した」は、pixivで2000件超のブックマークを集める作品だ。隕石の落下で地球滅亡が避けられないと誰もが知った世界で、最後の日にバイト先に出勤することを決めた、とある女子大生「物部さん」と、バイト先の同僚「設楽さん」の終末の過ごし方を描いた短編。都合よく滅びが回避されることもなく世界の終わりを迎える結末ながら、「美しいお話」と反響を呼んだ同作の制作秘話を、作者の真顔逸華さんに訊いた。

「地球最後の日バイトに出勤した」01作:真顔逸華


劇的な状況の日常を切り取った“地球最後のハッピーエンド”

――世界の終わりの、非日常の中の特別ではない二人の終わり方にはっとする作品でした。本作のアイデアのきっかけや、どんなところからストーリーを膨らませていったかを教えてください。

【真顔逸華】以前スーパーで働いていたときにこの経験を漫画に活かせないかと考え、題材にしました。そこに王道のシチュエーションである「地球の終わり」を掛け合わせてストーリーを組み立てた形です。

「地球最後の日バイトに出勤した」04作:真顔逸華


――物部さんの視点がメインに見えるからこそ物部さんから見た「深くは知らないけど何か印象的な設楽さん」の素顔が見えていく過程が、読者の見方と重なるように見えました。二人の人物像や、キャラクターの見せ方で意識した点があれば教えてください。

「地球最後の日バイトに出勤した」06作:真顔逸華


【真顔逸華】僕は「ただそこにいるだけで非日常が生まれてしまう人間」が大好きで、設楽さんにはそう見えるような行動・言動を意識して描いた記憶があります。物部さんはごく一般的な自己肯定感の低めの人間で、その少し下向きな内面が設楽さんと過ごす時間とともに段々上向きになっていく感じをイメージして描きました。

――また、物部さんの恐怖や虚無感を隠しきれない中盤までや、設楽さんとの時間でどこか吹っ切れたような表情や仕草、そして構図が印象的です。作画でこだわったポイントや、ご自身でお気に入りのカット・シーンがあれば教えてください。

「地球最後の日バイトに出勤した」25作:真顔逸華


【真顔逸華】作画でこだわったポイントは表情ですね。終末の絶望感から会話をはさんで少しずつ明るくなっていく様を表情を通して描写しました。お気に入りのシーンはやっぱり二人が帰路で吹っ切れるシーンです!このシーンは描いていてとても楽しかったです。

――真顔さんは同人誌やWEB掲載でオリジナル作品を多く制作されています。本作で挑戦したことや、これまでの作品と違うアプローチをとったということはありますか?

【真顔逸華】劇的なことは起こらないけれど少しだけ気持ちに変化が起こる、みたいな。「周りからすればとても小さなことだけど本人にとっては大きな変化」みたいなものを漫画に描き起こそうと頑張った記録です。なので終盤も劇的なことなく締める形を取りました。こういった形のハッピーエンドはかなり今までと違うアプローチだったかもしれません。

「地球最後の日バイトに出勤した」29作:真顔逸華


――本作には読者から多くの反響が寄せられました。真顔さんの作品に興味を持った方に向けて、今後の漫画制作についてなどメッセージをいただければ幸いです。

【真顔逸華】不定期で漫画を発表していますので、興味があればX(旧Twitter)などをのぞきに来ていただければと思います。最後までお読みいただきありがとうございました。


取材協力:真顔逸華(@magao_1)

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