煩わしい日々に嫌気がさす男子高校生!?クラスの女子に告白されて日常が一変、予想外な展開に【著者インタビュー】

大学生の頃に漫画を描き始めた乃田ユウキ(@nd___yk)さんはX(旧Twitter)を中心に漫画を公開し、くらげバンチにて「人魚は帰らない」を掲載。洲崎君は勉強に専念するために父の勧めでサッカー部を辞めるも、心のどこかで続けたかった気持ちが残る。煩わしい日々を送っていると、ある日クラスメイトの近江さんから告白されて予想外のストーリーへと展開していく。本作が誕生した経緯や洲崎君の心情などについて、乃田ユウキさんに伺った。

――本作はどのように誕生しましたか?
くらげバンチ様に持ち込みをした際に、「何か一緒に作りましょう」とお声がけをいただいたのがきっかけです。私が好きな漫画に人魚をモチーフにしたキャラが出てくることが多く、いつか描きたいと思っていたので、その旨を担当さんに伝えたら「ぜひそれで進めましょう!」と言ってくださり、そのまま企画が進みました。

――主人公の洲崎君が近江さんに告白されて「駆け落ちしよう」言われたとき、洲崎君はどんな気持ちだったのでしょうか?
最初は「何を言ってるんだろう」と思ったんじゃないでしょうか。私も「駆け落ちしよう」と言われたら困惑するだけですし…。ただ、そのあとに海の中で近江さんに投げかけられた疑問に対する答えを考えていくうちに、駆け落ちという選択肢が現実味を帯びていったのではないでしょうか。

――近江さんは自分のために生きたくて人魚になったようですね。乃田さん自身、自分のために生きることは難しいと感じることはありますか?
あります。というより、私は自分のためだけに生きるのは無理なんじゃないかと思っています。誰しも社会の中で生きているので、他人とつながりを持ちますし、他人の価値観に影響されるんじゃないでしょうか。

――洲崎君はどのタイミングで自分も人魚になろうと決心されたのでしょうか?
父親にサッカーの道具を捨てられたタイミングです。洲崎君の人生の中で、学校や勉強、進路は自分で決めたことではなく他人や社会に強制されたもので、唯一自分のための人生のエッセンスがサッカーだったので、それを断たれたときに糸が切れたんだと思います。

――自分のために生きたいと思っている読者の方にメッセージをお願いします。
前述のとおり、私は誰しも自分のためだけに生きることは不可能だと思っていますし、時々自分を取り巻く社会が鬱陶しくなり、つらくなってしまうこともあると思っています。そんなときにどんな選択をするか、正解はないんじゃないでしょうか。読者の皆様には自分が持っている正解を大事にしていただければ何よりです。
人魚になって煩わしい気持ちから解放された洲崎君。学生の頃はさまざまな葛藤や思いから解き放たれたい気持ちが強いのかもしれない。乃田ユウキさんは「かわいそうな私たち」という女子高生が主人公の漫画も公開しているので、気になる人はぜひ読んでみて!
取材協力:乃田ユウキ(@nd___yk)