女性ばかり行方不明となる事件発生!“あずかり屋”の青年は記憶喪失の少女をあずかるが…!?【作者に聞く】
薄暗い森の中を逃げる女性。それを追う黒い影。そんな不穏なワンシーンからこの漫画はスタートする。女性はなぜ追われているのか?彼女の安否やいかに…?

のどかな田舎町で、相次いで若い女性が行方不明となる事件が多発していた。懸命な警察の捜査をあざ笑うかのように、手がかりは一切なし。女性たちはどこへ消えてしまったのか?そんな中、「あずかり屋」を営む青年は、森の中で倒れている女性を発見する。女性は全身ケガだらけだったものの命に別状はなく…ただ、記憶をすべて失っていた!!

本作「縁(よすが)のあずかりもの」を描いたのは、漫画家の湊月(@mizunashi1025)さん。大学在学中に漫画雑誌に出した作品が賞を受賞。社会人になってからウェブ漫画にシフトし、「氷のような夏は恋に溶ける」(コミックスマート)でデビューした。そんな湊月さんに本作について話を聞いてみた。

――本作は、のちに湊月さんのデビュー作となる「氷のような夏は恋に溶ける」のプロトタイプ(※原型となる作品)とのことですが?
はい。これを描いたのが2019年(描き上げたのは翌年)で、その年に観た映画から着想を得て、さわやかな空気感と訳ありな少年少女や疾走感のあるお話が描きたいなとふんわり思ったのがきっかけでした。
この読切作品が直接デビューに繋がったわけではなかったのですが、2年ほど経ってから「GANMA!」(コミックスマート)の当時の担当さんと作っていた別企画が落ちてしまい、どうしようと思っていた時期にこの作品の存在を思い出しました。設定をブラッシュアップして、キャラデザインと共に企画書をお送りしたところ担当さんが気に入ってくださり、打ち合わせを重ね、会議を通過し連載へと繋がりました。
――設定やストーリー展開は異なるんですよね?
はい、ストーリー展開は異なります。ただ「事件が起こる夏の田舎町」「家出少女とお店をしているお兄さんが出会う」という設定と登場人物の名前は同じです。変更した点は、軸となる事件と登場人物の設定です。登場人物を増やすなど、ほかにも変更した点はあります。
読切版に登場するお兄さんも、本当はミステリアスで飄々とした感じに描きたかったのですが、ただの優しいお兄さんになってしまったことが心残りだったので、連載版では本来描きたかった姿を描けてよかったです。
――そうやって生まれた「氷のような夏は恋に溶ける」は2024年2月に発行された5巻が最終巻と聞きました!
爽やかさと事件を巡るスリルが味わえる一作で、最終巻は登場人物たちがそれぞれ自分を取り巻く問題と向き合う1冊となっています。電子書籍限定の描き下ろしもおすすめです!

書籍化された作品の原型となる本作「縁(よすが)のあずかりもの」、そしてそのデビュー作「氷のような夏は恋に溶ける」。この機会に2作品をいっきに読み比べしてみてはいかがだろうか?
取材協力:湊月(@mizunashi1025)