「フラれた立場の気持ち、すっごく参考になる!」デリカシーのない友人にイラつきながらも友達でいる…複雑な友情とは?【作者に聞いた】

大学の友達・夕子が、元カレと付き合い始めた。夕子は「私は恋愛したことないからいい機会」「今は別れて友達なんでしょ?」とデリカシーのないことを言う彼女の態度にイラつきながらも、“私”は友達でいる――。そんな複雑な友情を描いた、宮子玲子(
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)さんの「フローティング・夕子」を紹介するとともに、制作の経緯を聞いた。
「相手のすべてが好き」ではなくても、一緒に喜んだり友情を育むことはできる



「フローティング・夕子」は、周囲から浮いている青峰夕子と、その親友・若葉を描いた作品。独特な夕子は、かつて若葉を付き合っていて、今は自分の恋人の男性を交えて、3人での食事を提案したりする。そんな夕子を中心とした関係性が反響を呼んだ。
作者の宮子玲子さんは、本作のタイトルについて「周りから浮いている人」がテーマだったので、「浮いている=フローティング」を採用したという。夕子の独特なキャラクターは、過去の同僚をモデルにしたそうだ。宮子さんは「その人もやはり、独特な話し方や振る舞いで周りから少し浮いていましたが、仕事熱心な人で、言いにくいことも必要であればはっきり言ってくれるので、信頼していました。その人物をヒントに、漫画っぽくわかりやすいキャラクターに落とし込んでいったのが夕子です」と、キャラクター誕生の経緯を明かしてくれた。
漫画で表現したいことは、友情の難しさと大切さだという宮子さん。「私は、どんな人に対しても心からわかり合える部分とわかり合えない部分の両方があると思っています。『相手のすべてが好き』というのは難しくても、相手にうれしいことがあれば一緒に喜んだり、友情を育むことはできると思います」と、複雑ながらもお互いを認め合える関係を描きたかったそう。
1.3万いいねがついた本作の反響については、「『わかりやすくキャラクターが描けたな』とは思っていましたが、こんなに反響がもらえるとは思ってませんでした。いまだにこのようにインタビューのお声がけなどをいただけて、ありがたいかぎりです」と驚いた様子だった。
デリカシーのなさにイラつきながらも、いつも真っすぐな夕子に憧れの気持ちも抱いている若葉と、空気が読めず、周りからは引かれているのに、どこか憎めない夕子。こんな気持ちや人物像に、誰しもが思い当たる部分があるのではないだろうか。
取材協力:宮子玲子(@015_3625)