「聞き取れない」「聞き間違いが多い」実は、聞き取り困難症(LiD)だった…?そんな生活を送る高校生を描いた漫画に共感の声【作者に聞く】

「聞こえている」のに「聞き取れない」「聞き間違いが多い」など、聞き取るのが困難な症状を「聞き取り困難症(LiD)」もしくは「聴覚情報処理障害(APD)」という。この症状は通常の聴力検査では異常が発見されず、難聴ではないとされる。しかし、耳から入った音の情報を脳で処理、理解する際に、なんらかの障害が生じている状態で言語として認識できない状態だ。
そんな生活を送る高校生を描いた、雨桜あまおう(
@amaousansan
)さんの創作漫画「聞き取りが苦手すぎる男子の日常」を紹介する。
親友の助けで気づいた「聞き取り困難症」の現実とは



雨桜あまおうさんは聞き取り困難症や聴覚情報処理障害をテーマにした漫画を制作し、大きな反響を呼んでいる。このテーマを選んだのは、自身が感じている「日本語が理解できない謎の言語のように聞こえる」という体験がきっかけだったという。その感覚を物語として描いてみようと思い立ち、作品が誕生したそうだ。
雨桜あまおうさんはもともと聴覚や嗅覚に対して敏感であり、それに関連する情報を集めるている中で障害についての知識を得たという。そうした状況を題材にする際、作品が重くならないように心がけコメディ調で描くことを大切にした。雨桜あまおうさん自身、苦しみを抱えている人々を否定する意図はないが、明るく軽やかな表現で読者が楽しみながら共感できる作品を目指している。
作中での「ほにゃらら」とした文字表現は、実際に本人が聞き取りにくい感覚を視覚的に表現したものだ。読者にとっては一見わかりにくい部分も、続け字のフォントを使用することで、聞き取り困難な状態を巧みに再現している。
漫画は多くの共感を呼び、17万以上もの「いいね」がついた。「1対1は大丈夫。1対多は難しい。でもちゃんと耳は聞こえてる」、「他にも同じ悩みを抱える人がいて勇気づけられた」といったコメントが相次いで寄せられている。雨桜あまおうさんはこの反響に感謝の意を表し、続編の制作にも意欲的だ。「世の中にはさまざまな感覚を持った人がいることを知ってほしい」としつつ、読者それぞれが自由に楽しんで解釈してほしいと語る。
取材協力:雨桜あまおう(@amaousansan)