【ホラー漫画】コレ、田舎あるある→狭いコミュニティ内でのマウント合戦や嫌がらせ… そんな苦い体験を自身の漫画に昇華【作者に聞く】
2024年10月30日、サイバーエージェントが運営する縦読み漫画スタジオ「STUDIO ZOON」の縦読み漫画
「嗤う村」
が、ピッコマにて3話無料、15話までリリースされた。
LINEマンガ4冠を達成した「ヒトグイ」に続く新たなパニックホラー「嗤う村」の魅力を探るべく、本作の原作者・荒井チェイサーさんにインタビューを実施。創作活動で影響を受けた作品や、主人公が抱えるトラウマの影響など漫画制作の舞台裏を聞いた。
目指したのは、横読み漫画では体験できない没入感
――「嗤う村」のような独特な雰囲気の漫画を描く上で、影響を受けた作家さんや作品があれば教えてください。
【荒井チェイサー】作品で言えば貴志祐介先生の「天使の囀り」です。また、昨今の田舎で起きている“住民の追い出し事件”などから影響を受けています。これらをすべて混ぜ合わせてこの作品が出来上がっていると感じています。
――主人公の今泉伸介が抱える「罪の意識」や「トラウマ」は、作品全体にどのような影響を与えていきますか。
【荒井チェイサー】伸介の持っている「罪の意識」と「トラウマ」は、物語を進めていくうえで「越えなければいけない壁」として出てきます。「ただ逃げる」という恐怖だけでなく、主人公の成長の物語としての影響も与えています。
――「村」という独特な“閉鎖空間“で暮らす村人たちの不気味さが印象的です。ご自身で「閉鎖空間」にまつわるエピソードがあれば教えてください。
【荒井チェイサー】現在、割と中途半端な田舎に住んでいるのですが、狭いコミュニティ内でのマウント合戦や嫌がらせを受けたことがあります(現在は解消していますが)。田舎ですので、近所のどうでもいい情報はすぐに取れるのですが、世間の情報には疎い部分がありまして、かなり閉鎖的な空気を生んでいます。閉鎖的な町で過ごしていると人間もこんな風に奢っていくのだと思いましたね。
――今泉が抱える心の葛藤や、日常が異常に変化していく恐怖は非常にリアルです。こうしたリアルな恐怖感の表現をするうえで、心掛けている演出や作劇法はありますか?
【荒井チェイサー】「とにかく嫌なことを書く」だと思います。「こんなことをされたら絶対に嫌」というのを組み込むことで恐怖感が増すと思っています。
――「嗤う村」の読者に伝えたいメッセージやテーマがありましたらお聞かせください。
【荒井チェイサー】「うまい話には裏がある」「絶望的な状況でも諦めないで」というテーマを掲げています。絶望的な状況にあっても伸介のようにもがいてほしいと思っております。
「嗤う村」(C)荒井チェイサー/しみず三/STUDIO ZOON