うちの子が車を傷つけた!?古い外車で修理代は60万円!!トラブルを巡り、4人のママ友の本質が露わになっていく【著者に聞く】
同じ園に通い、同じ社宅や近所に住むママ友たち。バス通園で帰宅時間が同じということもあって、そのまま周辺で遊ぶことも。そんなある日、子どもたちが駐車場の車に落書きをしてしまう。よく見るとドアには傷もついていて…。古い外車ということもあり、修理代は60万円かかるという。子どもの起こしたトラブルからママ友の人間性が見えくる、漫画家ゆむい(@yumuihpa)さんの「犯人は私だけが知っている」を紹介するとともに制作の経緯を聞いた。
子どもが起こしたトラブルで、4人のママのそれぞれの人間性が露わに!当たりさわりのない距離感だったママ友グループが崩れていく

おっとり系の月村家、一軒家に住むおとなしい雪田家、気さくで温厚な西井家、エリートでマウントを取りたがる高見家、同じ園に子どもを通わせ、同じ園のバスの集合場所で顔を合わせる4人のママ友たち。子どもが起こしたトラブルから物語は始まる。

4人がいつものようにバスの集合場所でおしゃべりしていると、子どもたちが社宅の駐車場にある一台の車に落書きをしてしまう。よく見ると、ドアには傷が。「この傷は誰が…?」

子どもから目を離してしまった責任もあり、ママたちは車の持ち主へ謝罪に向かう。被害にあった人は「子どもがやったことだから」と、穏便に事を収めてくれた。しかしその後、修理の見積もりを取ると古い外車ということもあり、修理代が60万円はかかるという。保険だけでは修理代をまかなえず、ママたちは「差額を私たちが弁償するの?」と、息を呑んだ。

その翌日から雪田さんは、バス停に現れなくなる。「なんで?」といぶかしむ月村さんと西井さん。すると、高見さんは「雪田さんは、息子さんが車を傷をつけたことを認めて、自分だけで賠償金を払うと言った」と、話す。突然の出来事に2人は驚く。本当にやったのは、雪田さんの子どもなのだろうか?

本作は、ゆむいさんの体験談も含まれているという。「数年前、大規模な集合住宅に住んでいたことがありました。そこで子育てをしていると、風の噂でママ友トラブルの話が聞こえてくることがありまして…。そういう話を聞いていると、『ママ友』の距離感の難しさに共感するようになりました。子育ての戦友でもあるけど、場合によっては敵にもなりうる。しかも、子ども同士の関係もあるので、思い切った行動にも出ずらい…。あっちとこっちで主張も違う…。これは、もはやミステリーだな!?と思い、いつか、そんなもどかしさをテーマに漫画を描いてみたいと思ったのがきっかけです」(ゆむいさん)

とくに、ゆむいさんがキャラクター設定でこだわったところは、「みんな『ママ』ではあるけど普通の人間なので、あえて抜けているところや、都合よく捉えてしまう思考を取り入れてみました。“親としてよい人間であろうとしているけど、ちょっと嫌な面が滲んでしまった人”を意識しています」と、話す。どこにでもいそうなママ友グループだが、裏ではどう考えているかわからないところも見ものである。

「自分もこういうトラブルに巻き込まれるかもしれない」という身近な問題であり、トラブルを通して新たに見えてくるママ友の本質も怖い。ゆむいさんが気を付けたことは、「全員、子ども想いな親であるという点は外さずに描きました」という。「だからこそ、トラブルが大きく発展していくと思うので」子どもを守りたいという思いで、4人のママがさまざまな行動を起こす。

構成でこだわったのは、ラスト。「灯台下暗しと言いますか…。『え、そこ?』というような終わりにしたいと思いました。うまく表現できていたらいいのですが…!ぜひラストまで読んでいただけるとうれしいです!」驚きの結末に「怖い!ぞっとした」などの声も届く。

ゆむいさんはほかにも、収入のない妻を見下す夫との関係を描いた「夫の扶養からぬけだしたい」や「親になったの私だけ!?」などの書籍も大好評発売中。また、我が子が友達を刺してしまう衝撃展開の「
手が出るわが子を止められない
(Benesse)」や平凡な主婦に怒涛のごとく襲い掛かる幸・不幸を描いた「
わが家に地獄がやってきた
(レタスクラブ)」のほか、ブログ「
ゆむいhPa
」では日常エッセイを公開中。
取材協力:ゆむい(@yumuihpa)