「ライブはまた今度…」深夜の打ち合わせで休日返上が決定…働くことのむなしさに共感と1.5万いいね【作者に聞く】

働き方改革が進んだとはいえ、いまだに深夜の打ち合わせはあるし、残業は減らない。そんな職業は存在する。22時からクライアントとの打ち合わせ。土日の仕事が確実となり「何のために頑張っているのだろう」と、むなしさと葛藤を抱えた夜を描く、大町テラス(
@te_rra_ce
)さんの漫画「ご自愛ください」に1.5万のいいねが集まった。
テーマの「自分が受けた理不尽をどう還元するのか?」に、しっかりと反応してくれる方が多くてうれしい!



広告制作会社で15年働く主人公が、金曜22時の打ち合わせで「月曜のゴゴイチくらいに一旦もらえれば…」と言われ、土日の稼働が確定。土曜日、部下が結婚式参加後に手伝うと言うが、彼女の負担を避けるため自分で方向性を仕上げることに。新人時代、好きなバンドのライブを逃した苦い経験から、後輩には同じ思いをさせたくないと考えるが、自分一人で抱え込むことも美徳とはいえない。答えのない葛藤に悩む夜を描く。
2021年に「チャンピオンRED」(秋田書店)で読み切りとして発表された本作だが、当時は反響が少なかったという。作者自身も「地味な話だしな…」と思っていたそうだが、「Xに載せたことでたくさんの方に届いて、うれしく思っています」と話す。作品制作時は、マスク着用が一般的だったため、大町テラスさんは、現代劇を描く際には「コロナのことを無視できない」と考え、編集のリクエストに応えつつ、「コロナ禍の閉塞的なムードの中でそれでも働く主人公の話にしようと思いました」と、本作を描いたきっかけを教えてくれた。
本作は「自分が受けた理不尽をどう還元するのか?」をテーマにしている。「『パワハラを断ち切るために、頑張る美学』を描いていることに気づいてくださっている読者の方が多くいたことに励まされました」と振り返る大町さん。その一方で、「主人公の行動が過度に自己犠牲的で不快だ」という批判もあり、それを受けて「続編にあたる『私ことで恐縮ですが』でアンサーを描いていますので、ぜひそちらも読んでいただきたいです」と語った。
取材協力:大町テラス(@te_rra_ce)