念願の2人目に染色体異常がわかり、迫られた選択!!「これから赤ちゃんを天国に送ります」その後押せ寄せる大きな後悔と自責の念【作者に聞く】

妊娠出産にいたるまで、妊婦さん一人ひとりにはそれぞれのドラマがある。つわりや貧血などの体調不良。メンタルの不調などさまざまだ。今回は、我が子に染色体の異常が見つかった桜木きぬ(@kinumanga)さんのWeb漫画「わたしが選んだ死産の話」を紹介するとともに当時の話を聞く。死産を選ぶまでの母親の葛藤、その後押せ寄せる大きな後悔と自責の念。つらい経験談をリアルに描くその理由は?


「早くに異常がわかったメリットを活かして」と医師は言うけれど「そんなのはイヤだった」

死産1話_001画像提供:(C)桜木きぬ/KADOKAWA


長男ウタが5才になり、「そろそろ2人目は?」と言われることが多くなった。欲しいとは思っているが、長男も結婚6年目でようやく授かった子ども。その前にも、流産を経験。もう少し時間はかかるかもしれないが、いつかできるだろうと思っていた。そんな折、園で妊娠ブーム。次々とママ友達たちの懐妊の報告が!「その波に乗れたらな~」と思っていた桜木さんも、念願の2人目を妊娠することができた。

死産1話_002画像提供:(C)桜木きぬ/KADOKAWA

里帰り出産の予定で、年末年始の帰省ついでに長男を出産した婦人科を受診。すると、そこで「この赤ちゃん難しいかもしれません」と言われる。首の後ろが膨らんでいるように見え、そこが分厚いと染色体異常の可能性があるという。

死産1話_003画像提供:(C)桜木きぬ/KADOKAWA

確実なことは羊水検査をしなければわからない、と言われかなりのショックを受けた桜木さん。一度流産を経験していた桜木さんは、何としても子どもを産みたいと思った。そこで、羊水検査までに染色体異常について勉強した。

死産2話_004画像提供:(C)桜木きぬ/KADOKAWA

本書は羊水検査から染色体異常がわかり、その後の処置までリアルに描かれる。ここまで赤裸々に漫画に描いた理由を聞くと、「始めは、将来子どもが読んでくれたらいいなと思って描き始めましたが、描き終わってみると、ちょっと恥ずかしいなと思っています」と、桜木さん。

死産2話_005画像提供:(C)桜木きぬ/KADOKAWA

18トリソミーという染色体異常は重い疾患があったり、治療が困難なことも多いという。本作を描くうえでこだわったところを聞くと、「始めはただ起きた出来事を綴ろうと思っていただけなのですが、描いているうちに、同じような経験をされた方や、今まさにそのような立場になっている方が読んだ時につらいだけでは終わらないようにしたいと考えるようになりました」と、ラストにいたるまでの描き方を変えたという。

死産3話_006画像提供:(C)桜木きぬ/KADOKAWA

生まれる前から異常がわかり、無事に生まれるかわからない。生まれてからも元気に生きられる可能性も低い。そんななか親として赤ちゃんを産むか産まないか選択を迫られる場面など、読者としても感情を揺さぶれられる。

死産1話_011画像提供:(C)桜木きぬ/KADOKAWA

本作を描いてからと描き終わってからの心情の変化について聞くと、「自責の念が強すぎるという感想をいくつかいただいて、はじめて自責の念が強い事に気づきました。死産の話は他人にほとんど話すことがないので、客観的な言葉を受け取る機会が少なかったんだなと思います。人に伝えるために描いたことで、自分の経験を俯瞰して見られました。今はあまり自分の事を責めないように気を付けられるようになりました。描く前に比べ、思い出してつらくなることが減りました」という。死産を選んでしまった自分を責める桜木さんを長男のウタ君が勇気づけてくれるシーンは、思わず涙が溢れる。

死産3話_007画像提供:(C)桜木きぬ/KADOKAWA

本作はダ・ヴィンチWebで連載され、大きな反響を呼んだ。「長々とつらい話を読んでいただきありがたいやら申し訳ないやらです。どなたの出産にもそれぞれの逸話があると思います。少し珍しい病気にはかかりましたが、この話も幾多の出産の中の一つのエピソードにすぎません。どんな出産の話も、たとえ残念な結果のお産でも、腫れ物にしすぎることなく周りの人と語り合えたらいいなと思います」と、桜木さん。

死産3話_008画像提供:(C)桜木きぬ/KADOKAWA

わたしの選んだ死産の話 」は、ダ・ヴィンチWebで読めるほか、電子書籍化も決定。また、Xに投稿されている日常漫画も非常に人気で、kindleでまとめて読むこともできる。なかでも子育てをして初めてわかった「親としてのレベル」には、4.4万いいね、交通事故にあった「内臓破裂メモリー」は4万いいね(2025年2月11日時点)がつく。「今は新連載に向けて準備中です。Xも変わらず日常のエッセイ漫画を載せていきたいです!よければフォローして待ってくれるとうれしいです」今後の展開も楽しみだ。


取材協力:桜木きぬ(@kinumanga)

この記事の画像一覧(全100枚)

Fandomplus特集

マンガ特集

マンガを読んで「推し」を見つけよう

ゲーム特集

eスポーツを「もっと知る」「体験する」

ホビー特集

「ホビー」のトレンドをチェック

注目情報