本を読まず読書感想文を書くズルの方法が斬新でダイナミック⁉︎斜め上をいく行動に度肝を抜かれる【作者に聞く】

読書感想文――。それは夏休みシーズン後半になればなるほど、全国各地で学生たちに悲鳴をあげさせる恐ろしい存在。頭の片隅に常にあり、手をつけなければいけないと理解しつつも目を背け続けた結果、人はじりじりと追い詰められていく…。もはや怪談よりも怖い、夏の風物詩だ。今回、誰もが悩まされた思い出を持つ読書感想文をテーマにした漫画「未読書感想文」をお届けする。
「未読書感想文」は、「DAYS NEO」にて累計約1万6000作品から名作9編に選ばれ、「DAYS NEO傑作選Vol.1」として書籍化もされた作品。作者であるりんご(
@ringo_san_
)さんは、「モーニングゼロ」での奨励賞受賞や、歴史と実績ある青年漫画の登竜門「ちばてつや賞」入選などの経歴の持ち主だ。今回、りんごさんに本作について話を伺ってみた。
「順序を逆にする」発想法から生まれた、架空の本の読書感想文



夏休み最終日、主人公の藤井は読書感想文が書けず、白紙の原稿用紙を前に青ざめていた。「こんな本の感想なんて140文字で収まってしまうわ」と毒づくが、今さら他の本を読む時間はない。そんな時、藤井は「自由図書」の説明を見つけ、架空の本をでっち上げて感想文を書けばバレないのではとひらめく!
それからは、藤井の想像は膨らみ、テロリストの襲撃、異世界転生、バトルロワイヤル、ハーレム展開といったジャンルレスな物語が頭の中で展開し、筆が乗った!しかし、これでうまく乗り切れたと思ったのも束の間!藤井には本当の試練が待ち受けていた。感想文を提出して1週間後、読んでいない本の『未読書感想文』が原因で、思わぬトラブルに巻き込まれることに。一体どんな展開が待っているのか…?
作者のりんごさんは、夏休みに「読書感想文で悩む高校生」の姿を思いつき、本作の着想を得たそうだ。また、りんごさんは当時「『順序を逆にする』発想法にハマっており、本来なら本があって読書感想文が書かれるわけですが、その順序を逆にして、『本より先に読書感想文がある』とどうなるだろうと思い、そこから『未だ書かれていない本の読書感想文を書く』話になりました」と教えてくれた。
りんごさん自身は、読書感想文について「あまりにも苦手で、高校生のときの夏休みの宿題で、読書感想文か小説かを選べたので、小説を書いたことがあります。内容は忘れてしまいましたが、このときの実体験が『未読書感想文』での主人公の行動に影響しているのかもしれません」と語った。
取材協力:りんごさん(@ringo_san_)