「親に包丁を向けられ…」貧困や病気で親の介護をする「ヤングケアラー」は小学生の15人に1人というデータも【作者に聞いた】

「ヤングケアラー」とは、家事や家族の世話などを日常的に行っている18歳以下の子どものこと。本作の主人公は、小学3年生で洗濯・買い物・料理・掃除など家族の世話を担っている。多くは家族・親族に病気や障がいがあり、彼らの介護や面倒に忙殺されている状況に。
そのため、早退や遅刻も多く、同世代の子と友好関係を築くことができない。そんなヤングケアラーの実話をフィクションとして描く水谷緑(@mizutanimidori)さんの「私だけ年を取っているみたいだ。ヤングケアラーの再生日記」(文藝春秋)を紹介するとともに、どのようなきっかけで本作を描くことになったのか、水谷緑さんに話を聞いた。
小学生の15人に1人という割合でいるヤングケアラー





ヤングケアラーを題材にした理由は、水谷さんの編集担当者が「精神障がいのある親に育てられた子どもの語り」という本を読んで感銘を受け、水谷さんに提案したことがきっかけなのだそう。「精神疾患の取材を5年ほどしていましたが、精神疾患を持つ人の子どものことを考えたことはなかったな、と思いました」と水谷さんは話した。
最初、自分が子どもを出産したばかりということもあって、子どもが可哀想な話を聞いたり描いたりするのは気が進まなかったとのこと。「でも実際に話を聞いてみると、ヤングケアラーの方々は魅力的で精神年齢が高く、達観した方が多いです。話を聞くと自分が家族を作っていく上で参考になることも多く、興味を持つようになりました」と舞台裏を明かした。
なお、本作は2年以上取材を行って執筆。水谷さんによれば、10人程度の方にオンラインや対面、メールで何度も取材。取材した方は20代〜50代、子どもの頃ヤングケアラーだった人に話を聞いたが、カウンセリングを受けたり、本を読んだりしていて、自分のことを振り返って言語化できる方が多かったようだ。
※ヤングケアラーは小学生の15人に1人という割合というデータもあり、そのため本作は10代の当事者でも読めるように全てルビ(ふりがな)つき、ヤングケアラーの支援団体なども記載されている。
取材協力:水谷緑(@mizutanimidori)