【オカルト】夕食を抜き空腹状態で眠ると将来の伴侶がわかる?19世紀に信じられていた恋占いを実践した結果【作者に聞いた】
作画:尾花せいご
(@seishoobi)
さんと監修:西洋魔術博物館
(@MuseeMagica)
さんによる創作漫画「放課後おまじない倶楽部」は、迷信研究部に入部した少年と、不思議な雰囲気が漂う顧問との日々を描くオリジナル作品だ。
緻密で精細な絵とノスタルジックな絵柄に定評のある尾花さんの作画と、西洋魔術や西洋の魔物、伝承、迷信などの著書多数の西洋魔術博物館さんが監修した多彩な迷信やおまじないのエピソードが大きな魅力となっている同作。エピソードの紹介とともに、監修の西洋魔術博物館さんに作品内で描かれる伝承について詳しい話を聞いた。
将来の伴侶を探す奇妙なおまじない?
西洋に古くから伝わる迷信や伝承を現代日本で実践してみようという奇妙な部活動「迷信研究部」に入部した栗丸君。部室である第二図書室にやってきたのは茶目っ気たっぷりな茶園さん。彼女の目的とは一体…?







監修・西洋魔術博物館さんに聞く「恋のおまじない」







――茶園薫子さんという新たなキャラクターが登場したお話でした。どうやら雨野先生のことが気になっている様子です。伝承・おまじないには恋の成就を願うものが多くあります。その中で、特に奇妙奇怪(とびきり変なもの)なものがあれば教えてください。
【西洋魔術博物館さん(以下、西洋魔術博物館)】とりわけおもしろく思われるものとしては、「カタリナ四連発」と呼ばれるおまじないがあります。
未婚の女性が11月25日に聖カタリナ関連の礼拝堂近くにある井戸で以下のお祈りを唱える。
夫が欲しいです、聖カタリナ様! それもハンサムで、聖カタリナ様! お金持ちで、聖カタリナ様! なるべく早く、聖カタリナ様!
その晩、将来の夫を夢に見るであろう。
このダイレクトな要求には聖カタリナもたじろぐでありましょう。






――1月20日は聖アグネスの前夜で、女子限定ですが、夕食を抜いて空腹状態で眠ると将来の伴侶の夢を見る、という伝承が語られていました。この話について補足解説をお願いします。
【西洋魔術博物館】このおまじないが有名になったきっかけは英国を代表する詩人ジョン・キーツ(1795-1821)の「聖アグネス前夜」(1820)という作品でしょう。恋する乙女が一食抜いて夢を見るという術式が紹介されていて、この種のおまじないの代表格となりました。主要聖人の祝祭日前夜はおまじないに絶好のタイミングとされています。





――呪詛系のおまじない、生霊召喚のおまじない、など種類が違うものが同じ日に集まっているのが興味深いと思いました。1月20日に限らず、そういったおまじないが重なっている日はほかにもありますか?
【西洋魔術博物館】万霊節前夜すなわちハロウィンが占い、おまじないの特異日として定評があります。そもそもおまじないは妖精や小悪魔、悪霊、死霊などがエージェントとなって成就するとの発想があり、煉獄の扉が開くハロウィンは彼らの活動にもってこいの時期と考えられています。







――欲張りな茶園さんは、空腹のおまじないと、服の袖に針を刺すという2種類のおまじないを実践していました。同時に複数のおまじないをごちゃまぜに実践してもよいのでしょうか?
【西洋魔術博物館】おまじないにも身につける系、実行系といろいろありますから、重複しない場合は問題ないかもしれません。しかしあまり乱発すると無節操と思われる可能性はあるでしょうねえ。










――こっくりさんなど、恋のおまじないは局所的なブームが起こりそうなイメージがあります。この時代に、こんな恋のおまじないがブームになっていた、というのがあれば教えていただきたいです。
【西洋魔術博物館】1950年代の英国で、郵便配達の車にある王家の紋章に触ると恋がかなうというおまじないが流行ったように記憶しています。1947年のエリザベス王女(当時)とフィリップ公の結婚にあやかろうというコンセプトでしょう。ロイヤルウェディングから派生する伝承は興味深い分野ですね。








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