小学3年生で洗濯・料理・掃除…すべてを担う!?殴られる痛みや苦しみから心を閉ざす“ヤングケアラー”の実情【作者に聞いた】

「ヤングケアラー」とは、家事や家族の世話などを日常的に行っている18歳以下の子供のこと。本作の主人公は、小学3年生で洗濯・買い物・料理・掃除など家族の世話を担っている。多くは家族・親族に病気や障害があり、彼らの介護や面倒に忙殺されている状況にある。そのため、早退や遅刻も多く、同世代の子と友好関係を築くことができない。そんなヤングケアラーの実話をフィクションとして描く水谷緑(
@mizutanimidori
)さんの「私だけ年を取っているみたいだ。ヤングケアラーの再生日記」(文藝春秋)を紹介する。
小学生の15人に1人の割合でヤングケアラーが存在している



母親が統合失調症という心の病を患っており、娘のゆいは8歳にして家事全般や家族の世話をも担っている。学校帰りにスーパーへ寄り、急いで帰宅し食事の支度をしている。情緒の安定しない母親はゆいへ物を投げたりすることもあり、そんな時は押し入れに身を隠して母親が落ち着くのを待つのだった――。
家庭に無関心な父親、認知症の祖父、特別扱いされる弟らに囲まれ、ゆい自身が精神的に追い詰められてしまうというヤングケアラーの実話を描いた「私だけ年を取っているみたいだ。ヤングケアラーの再生日記」の作者、水谷緑さんに話を聞いてみた。
本作を描くきっかけは編集者さんからの提案だったという。子どもを出産したばかりで子どもがかわいそうな話に気が進まなかったそうだ。しかし、「ヤングケアラーの方々に話を聞いてみると、とても魅力的な方が多く自分の子育てにも参考になることが多いと感じた」と心情の変化があったという。
取材時のことを振り返り「子どもの頃にヤングケアラーだった人たちに話を伺ったのですが、大人になってから本を読んで勉強したり、カウンセリングを受けたりして、自分の経験してきたことを振り返り言語化して伝えてくれる方が多くおられました」と話してくれた。
ヤングケアラーは小学生の15人に1人という割合で存在しているといわれ、身近な問題だ。そのため、本作は10代の当事者でも読めるように全てルビ(ふりがな)がついている。またヤングケアラーの支援団体なども記載されているので、気になる人はぜひ読んでみてほしい。
取材協力:水谷緑(@mizutanimidori)
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