社長が社員を罵倒→「220人の会社に5年居て160人が辞めた」ブラック企業の舞台裏がエグイ【作者に聞く】

社長が社員を緊急招集し「無能の集まり」「給料が低いと愚痴ばっか」と罵倒。さらにその後、「始業30分前に出社して“自分たちの何が悪いのか”を毎日話し合え」と言い出す始末……。その発言で退職者が続出する職場に、作者・かっぱ子さん(@kappacooooo)は、なぜ5年間も働き続けたのか。





▼この社長、やってるわ…
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本作『220人の会社に5年居て160人辞めた話』は、かっぱ子さんが実際に体験した“ゆるブラック企業”での出来事をもとに描かれた話題作。投稿後、多くの読者から「自分の会社にも似ている」「辞めたいのに辞められない気持ちが痛いほどわかる」といった共感の声が寄せられた。
「描いたきっかけは、『なんで5年も続けられたの?』ってすごく聞かれることが多かったからです。ブラックってひとことで片付けられることもあるけど、辞めなかった理由も自分の中にちゃんとあって。それを整理するように描きました」とかっぱ子さんは語った。
作中では、社長による厳しい叱責や、社長の息子・副本部長による指導体制、さらには“ベンチャー社員”と呼ばれる新卒社員たちの言動など、理不尽な場面がユーモアを交えて描かれている。
「毎朝30分前に来て、“自分たちのダメなところ”を発表する時間が本当にあったんです。誰も成長しないのに自己反省だけがループして、精神的にきつかったですね……。でもその異常さを“ギャグっぽく”見せることで、ようやく自分でも消化できたというか」(かっぱ子さん)
特に印象的なのは、評価されず低賃金に苦しみながらも、「後輩たちが困らないように」「ネコ美先輩が戻ってくるまで」と自分を押し殺し続けた主人公の姿だ。
「私は“辞めたい”と思ってからが長かったタイプです。実際には何度もチャンスはあったけど、そのたびに『このタイミングで辞めたら誰が困るかな』って、他人のことばかり考えてしまって…。でも今は、辞めたほうがいいって背中を押す側でいたい。だからこの作品は、自分の中の“区切り”でもあり、“誰かの出口”になればいいなと思って描きました」(かっぱ子さん)
“ブラック企業”という言葉にくくられることの多い職場のリアル。しかし、その中にも人間関係や責任感、希望と諦めが混ざり合っている。かっぱ子さんの作品は、そうした複雑な感情の揺れを、あくまで“笑い”を交えながら描いているのが特徴だ。
共感と皮肉、そして温かさが同居する本作は、今もXで多くの反響を呼び続けている。
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取材協力:かっぱ子@ゆるブラック企業漫画(@kappacooooo)