我が家のカーテンを切り刻んだうえ、好みのカーテンを勝手に購入し代金は我が家へ請求。義母の“嫌がらせ”の目的とは?【作者に聞いた】
これでもかと嫁をイビリまくる毒義母に、一見優しそうだけどドケチで超自己中な夫…そのリアルすぎるストーリーが話題を呼んだ漫画『義母クエスト』。それらのエピソードがさらにパワーアップして、昨年末、漫画『
義母クエストリターンズ ~ヤバすぎる義母との負けられない30年戦争~
』として帰ってきた!

前作に引き続き、『義母クエストリターンズ』の内容はAmeba公式トップブロガー・かづ(@kadu0614)さんの実体験に基づいたもの。今回は、壮絶な人生を生き抜いてきた原案者のかづさんと、迫力ある作画でストーリーの魅力を引き出している、漫画担当の赤星たみこ(@tamikong)さんに話を聞いた。
2人の息子が独立し、現在は夫と猫と穏やかで満ち足りた生活を送る還暦を迎えた主婦・かづさん。しかしこの幸せな生活を手に入れるまでには、壮絶な闘いの日々があったという。
看護学生だったかづは、病院実習中に出会った秋彦から好意を寄せられ、付き合い始めてすぐに結婚を決意。幸せな結婚生活を夢見たのも束の間…結婚直後から義母による、まさかの嫁イビリがスタート!その壮絶なイビリに、かづは立ち向かっていく!!


かづさんと赤星さんに話を聞いた
コミック『義母クエストリターンズ』の原案者であるかづさんと、漫画を担当した赤星たみこさんの両者に話を聞いた。
――結婚後、かづさんは秋彦さんのお母さんからイビられる日々を送ることになりますが、かづさんは秋彦さんのどういうところに魅力を感じてご結婚されたのでしょうか?
【かづ】自分が結婚できるとは思っていませんでしたし、向いているとも思っていませんでした。交際直後に夫から結婚前提だと言われたときは、「11歳年上だから焦ってんだろうな」としか思わなかったんです。ところが毎日の電話と休日には迎えに来るし、友人と遊びに行くと言うと「車出すし全額出すから一緒に行く!」と言うし…という状況で。
友人たちからは「あんなに想ってくれる人はいない!捨てたら人でなし!」と言われ、母からも「想うより想われる方が幸せになる」と言われるしで、当時19歳の私は「そんなもんかなぁ」と思ったんです。外堀を埋めて来られました(笑)。それに親を捨ててでも私と結婚したいと言った夫のことを信じたので、そこまで想われているのなら幸せだなぁと、恋に恋して頭がお花畑だったんだと思います。もちろんタイムマシンがあったら、過去の自分を殴ってでも止めます。目を覚ませ!と(笑)。
――義母は、秋彦さんの手取りなども聞いてきたというシーンがあります。手取りを知っていて、カーテンを切り刻んで新しいもの(しかも高級カーテン)を買い、秋彦さんとかづさんの家計から払わせたというのは、義母はそれが秋彦さんを苦しめることになるとは思ってなかったのでしょうか?
【かづ】息子の収入を知っているからこそ、少ない給料で嫁が苦しむと思っていたんですよ。それで音を上げて出て行けば、願ったり叶ったりですもの。それだけの買い物をさせてもお金に苦しむのは嫁だけだと思っているので、息子が困るなんて全く思いません。毎週金曜の夜から日曜の夜まで義実家に泊まりがけで行かなければならなくなったのも、食費と生活費が浮くから息子を助けていると義母は思っているわけなんですが、私は義実家で、掃除洗濯炊事に育児で…苦行でしかなかったです。そしてその浮いたお金で貯金でもできるなら私も割り切れるんですが、浮いたお金はそっくりそのまま夫の服や靴やカバン代として消えていきます。義母は「嫁がやりくり下手だから息子が可哀想。うちに来れば浮いたお金で息子が好きな物が買える」と思っているので、それこそあの手この手です。
カーテンや下着や食器だけでなく、玄関やリビングの照明器具を勝手に自分の行きつけの電気屋に頼んでシャンデリアに交換しようとしたこともありました。電気屋に玄関口で「支払うお金がない」と言って帰ってもらうと、「恥をかかせた!今から土下座しに来い!」と怒鳴り散らした電話がありました(行きませんでしたが)。
父の日や母の日のプレゼントは、私たちに無断で勝手に百貨店で取り寄せて請求書だけこちらに回ってきたり、それこそありとあらゆる…です。つば広の帽子やスカーフやバッグを「欲しくもない物をもらってもしょうがないからこっちで決めた」と言ってましたね。ちなみにそれらは義母亡き後、物置の一番奥の隅にズタズタに切り刻まれてゴミ袋に詰められ、ガムテープでぐるぐる巻きになって出てきました。何から何まで一貫して嫌がらせでした。これだけ嫌がらせがよく思いつくものだと驚き呆れますが、義母にとってはすべて正義ですからね。
――作中で「息子が稼いだお金をあんたが自由に使えると思ってるのかっ!?」という義母のかづさんへの言葉がありますが、やはり当時の雰囲気としては、夫が稼ぎ妻は家に入る…さらに、そのお金は妻が自由に使うのはご法度、という感じだったのでしょうか?
【赤星たみこ】そういう雰囲気の家庭もあったようですが、割合としてはそんなに多くはないんじゃないかな、という印象です。当時、ダブルインカムノーキッズという言葉も流行りました。夫婦の両方に収入があり、子どものいない夫婦…というのは、互いが自由に自分のお金を使えるので理想の形態だと言われていました。これはお互いに収入がある場合の話です。
逆に、私の姉の家のように、会社員の夫とほぼ専業主婦の姉(たまにパートで働いていた)、娘3人という家庭ですが、姉の夫(私の義兄)がいい人で、給与はすべて姉に渡して姉がやりくりして家のローン、学費、帰省費用、娘の留学費用など、すべてうまく割り振っていました。義兄は料理も洗濯もするという人で、昭和でもそういう人がいました。
しかし現在、SNS(特にThreads)を読んでいると、「夫が稼いだ金を妻が使うのは許せん!」と思っている男や義母がまだいるとのこと。そんな昭和脳の人がまだいるなんて!と驚きました。日本はそういう人たちがどうも絶滅しないで生き残る土壌があるみたいですね。早く絶滅してほしいです。
――本作では「夫婦」の在り方についても考えさせられるところがあります。赤星さん流の、夫婦円満の秘訣を教えてください!
【赤星たみこ】うちは、とりあえず1年は頑張ってみよう!と決めました。そして、1年経ったときに、2人で「1年経ったねえ、次どうする?」「そうだね、また1年やってみるか」と、結婚をまた1年更新しました。そうやって、1年ごとに次の1年どうする?と話し合って、今のところ39回更新しています。まあ、10回か15回更新したあとは、なんとなくなれ合いで契約更新日(結婚記念日)のことも忘れていますが。私たちの結婚は、「この人と一生添い遂げよう!」と頑張るのは無理だから、とりあえず1年間は頑張ってみるか、という軽い気持ちでスタートしました。ほぼ40年近く、途中で嫌になることもありましたが、まあ、嫌なことは相手に伝え、それを聞いて反省したり、考えを変えたり。基本は話し合いで解決してきましたね。
壮絶な状況に立ち向かうかづさんの行動力と人間力、さらにそれを臨場感あふれる絵や展開で表現している赤星さんの漫画…2人の強力なタッグにより、読み応え抜群の漫画となっている『義母クエストリターンズ』。まだの人は、ぜひ読んでみて!
取材協力・画像提供:かづ(@kadu0614) 赤星たみこ(@tamikong)
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