実話だから描けた「戦争の臭い!」元傭兵が語る、腐臭と体臭に満ちたリアルな戦場とは?【作者インタビュー】

にしかわたく
(@denguma4989)
さんは「日本人傭兵の危険でおかしい戦場暮らし 戦時中の軍隊の真実編」の書籍を発売して注目を集めている。元傭兵の高部正樹さんから聞いた話をもとにリアルな戦争の現状がよくわかる作品だ。戦場では兵士の体臭や死体の処理、生き延びるための工夫など日常生活では考えられないようなことばかり。本作が誕生したきっかけや裏話などについて、にしかわたくさんにインタビューした。
戦争という人類の病いと向き合うための手がかり



本作「日本人傭兵の危険でおかしい戦場暮らし」を描くきっかけについて、作者のにしかわたくさんは、「本作は実話であり、毎回元傭兵・高部正樹さんにインタビューを行い、その内容を漫画として描いています」と話す。高部さんの体験談を漫画化するにあたり、編集担当者から声をかけられたことが、この作品誕生のきっかけとなった。
本作では、戦場での死体の片付けや兵士の体臭といった、常人には想像もつかないような過酷な体験が描かれている。そうしたリアルな描写について、にしかわさんは「毎回『嫌だな〜』と思いながら描いています」と率直な思いを明かす。なぜ高部さんが好き好んでそんな過酷な戦場に身を置くのか、その心情はいまだに「1ミリもわかりません」としながらも、「こういう仕事が得意な人が世の中に確実に存在することだけは、わかりました」と語っている。
にしかわさんは、高部さんから戦争体験を聞く機会を重ねるなかで、戦争に対する見方が変わったと話す。「僕らはラッキーなことに平和な国に生まれ、できることなら死ぬまでぬるま湯の中で生きていきたい」と語る一方で、高部さんのように遠く離れた戦場へ自ら赴き、戦争に関わっていく人物の存在を目の当たりにすると、「戦争は他人事」と簡単に割り切れなくなり、困惑を覚えるようになったという。
本作で、にしかわさんが最も印象深いと語るのは「死体片付け」の話だが、今回は「腐臭」「体臭」など、生物的な臭いに関する話が多くなったという。戦争は人間が行う以上、そこには必ず臭いが伴う。この作品の価値は、そうした現実を描く点にあると、にしかわさんは語っている。
取材協力:にしかわたく(@denguma4989)