プロゲーマー・どぐらに激似…?その正体は“リアル刃牙”だった!クラシックフィジーク王者・中川恭兵が語る「筋トレ×ゲーム」の親和性
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ストリートファイター6をはじめ、さまざまなタイトルで活躍し、格ゲー界で名を馳せるプロゲーマー・どぐら選手。2025年5月、ある筋トレインフルエンサーが「筋トレにハマりすぎて行く所まで行ったif世界のどぐらさん」にしか見えない、というポスト(焼きおにぎりさん@naotodayo050531)が2.7万いいね、783万インプ(2025年6月16日現在)の万バズとなり話題となった。このポストを見たユーザーからは「どぐらさん腕ムキムキになったなって思ったら別人やった」「コラ?コラじゃないっぽい」「むしろ違うんですか?ってくらい似てますねwww」といったコメントが寄せられ、格ゲーファンの脳をバグらせていた。
この「どぐら選手にそっくり」だと格ゲー界隈で注目を集めたのが、肉体美を誇る筋トレインフルエンサー・リアル刃牙KYOこと中川恭兵さんだ。
格ゲーファンをザワつかせたXのポスト
中川さんは、かつてはプロのキックボクサーとしてリングの上で戦い、現在はトレーナー、そしてクラシックフィジークの国際大会で優勝とマルチに活動。さらに、YouTubeチャンネル登録者11.9万人、TikTokフォロワー21.3万人(2025年6月16日現在)のパワーインフルエンサーなのだ。

格ゲーキャラの筋肉を分析する「ボディビルダー筋肉評」が好評を博すなど、格ゲー界に新たな可能性をもたらす中川さんに、“リアル刃牙”と呼ばれるまでにいたった軌跡や、さまざまな分野で結果を残す秘訣、「筋トレ×ゲーム」の親和性について話を聞いた。
キックボクサー、トレーナー、チャンピオン…“リアル刃牙”の肉体史
――はじめに、中川さんの活動について教えてください。
【中川恭兵】筋トレインフルエンサーとして長崎を中心に地域振興のためのPR活動をしています。トレーナーとしては“百歳まで歩ける体づくり”をコンセプトに、高齢者へ向けた筋トレや健康寿命の向上のための指導や講演会などを行っています。「座ってできる健康体操」という僕が開発した体操があって、そのDVDを希望する施設に無料でお送りしたり。
――“リアル刃牙”という肩書きが印象的ですが、現在にいたる経緯を教えてください。
【中川恭兵】原点に立ち返ると、子どものころにお寺に預けられたんですよ。そこの住職が宮本武蔵が好きで、その影響から剣道を始めて。さらに空手バカ一代(空手家・大山倍達を描いた梶原一騎原作の漫画・アニメ)を読み、その後、K-1でジェロム・レ・バンナ対マーク・ハントのすごい試合を見て、K-1ファイターになろうと決めました。
16歳で極真空手をはじめて九州チャンピオンぐらいまでにはなって、さらにキックボクシングのアマチュア全日本トーナメントに誘われて優勝しました。そしてプロとして戦っていくうちに、長崎を出ようと思って、ムエタイの本場・タイに武者修行に出て、それからハワイにも行きました。そういう経歴やファイトスタイルが少年期の刃牙とちょっと似ていたことから、“リアル刃牙”と呼ばれるようになりまして。
――もともと、格闘家としてのキャッチフレーズだったんですね。
【中川恭兵】体もバキバキだったので、「あいつ刃牙だな」みたいな感じで(笑)。試合の際も入場して背中のオーガを見せるような感じだったんですけど、SNSを始めるときに“リアル刃牙”だけだとまずいなと思って、本名から「KYO」を入れて「リアル刃牙KYO」って名前でやらせていただくことにしたんです。そうしたらなんと、TikTokでバズったときに秋田書店さんからメンションをいただいて、コラボもしていただき、刃牙30周年の際に「リアル刃牙KYO様」って書類が送られてきて。「これはもう認めてもらったことだよね」と。
――中川さんの実績を感じ取れます。その後、格闘家からトレーナーに転身したのは?
【中川恭兵】格闘家時代に右膝が反対に曲がるような大けがをして、トレーナーになろうと。このときの師匠が福岡ソフトバンクホークスのトレーニングアドバイザーをしている高西文利さんで、ミスターアジア(アジアボディビル選手権優勝)のボディビルダーだったんです。そこで師匠から「フィジーク(※ボディビルとは異なる方向性で肉体美を競うフィットネス競技)に出なさい」と言われ、FWJという国内団体の大会で8位になりました。
先日はマッスルコンテスト東京という大きな国際大会で、ナチュラル部門が初開催されたんです。ボディビル業界の一部ではステロイドが流行っていることもあり、ステロイド撲滅のためにドーピング検査が行われるというものです。そのなかのクラシックフィジークという部門で初代チャンピオンとなりました。ボディビルってやはりちょっとマッチョなイメージが強いんですけど、クラシックフィジークは芸術性のあるボディービルディングを求められる競技となっています。
――すごい!さまざまな分野で結果を残していますが、その秘訣は?
【中川恭兵】突き詰めると根性ですね。ただ、まずは情報収集から始まるんです。格闘技を始めたときも、古本屋で格闘技入門や強い筋肉を作るための指南書を買い漁って、それを読んでいく。ただ根性で進むんじゃなく、ちゃんと正しい方向に努力していくのが結果的にはどの分野でもある程度上のほうに行くコツなのかなと。
――なるほど。その考え方はインフルエンサーの活動にもつながっているんでしょうね。

【中川恭兵】そうですね。動画でも、今まで本で読んだ内容をちょっとアレンジしてやったりしています。ただ、本の内容をそのまま出すのは芸がないと思うので、やっぱり自分なりのアレンジを加えて出すことを信条にはしていますね。
格ゲーには疎いけれど…体作りを支えていたのはゲームだった!?
――格闘技やボディビルといった業界、筋トレインフルエンサーとして既にご活躍されてきた中川さんですが、先日プロゲーマーのどぐらさんに似ていると格ゲー界隈で話題となりました。そのときの率直な感想は?
【中川恭兵】本当に驚きました。自分の写真が知らないところでバズっていて「何なの?」と。どぐらさんを存じ上げなかったので「どなたですか?」って投稿したら、いろんな方からどぐらさんの写真が送られてきて、けっこう似てるじゃんと思って(笑)。ちょっとおもしろくなっちゃって、どぐらさんの真似して写真を撮ったらまたバズって。
――その後ストリートファイター6も買われたそうですが、格ゲー界隈のことはほとんど知らなかったと。
【中川恭兵】最近はめっきりやっていませんでしたね。小学生のころ、「スト2」や「餓狼伝説」はやっていたと思うんですけど。ただ、もともとゲームは大好きで、僕のなかでトレーニングとゲームは切り離せないんですよ。
――どういうことでしょうか。
【中川恭兵】朝と夜、脂肪が燃焼する有酸素運動としてエアロバイクをゆっくり漕いでるんです。けど、その間なにもしないと暇じゃないですか?だからゲームをしながら漕ぐんです。
――ニンテンドースイッチのような携帯機や、スマホゲームを?
【中川恭兵】PS5です。テレビの前にバイクを置いて、PS5のコントローラーを持って漕ぎます。去年は3本のゲームでプレイ時間が100時間超えだったので、少なくとも300時間ぐらいはゲームしながらな漕いでたことになりますね。ゆったり漕いでいるので、ゲームしながらならいくらでも行けますよ。だから僕にとっては、ゲームは切っても切り離せないボディーメイキングの相棒なんです。
――今はコスパを求められる時代なので、別の何かを掛け合わせるってすごく大事ですよね。
【中川恭兵】大事ですね、やっぱり。ただゲームしているだけだと「時間がもったいない」とか言われたりもするじゃないですか。でも、ゲームしながらエアロバイク漕いでたらそんなこと言われないですから!
トレーニングの専門家による「キャラの筋肉評」とは?格ゲーとの再会で新たな企画も
――ちなみに、バズったあとにどぐらさんから何かコンタクトがあったりは?
【中川恭兵】どぐらさんのアカウントとは別に、広報スタッフの方のアカウントがあって、そちらで取り上げていただきました。今は僕のほうだけでも勝手に盛り上がってますね。どぐらさんに似ているというだけのおじさんの僕がスト6を買ったという投稿の表示数が100万近く行ったり(笑)。
――不思議な縁で始めたスト6はいかがですか?
【中川恭兵】もうこの年齢で格ゲーを始めるのはなかなか難易度が高いなと思っていたら、なんとモダンシステムというものがあって。これなら僕でもできるわ、と思って始めたんです。今はワールドツアーを回っていて、キャラは何人か使ってみて、ルークが今のところは使いやすいなって感じです。接近戦で戦う能力がまだ低いので練習中ですね。
――もしどぐらさんに弟子入りしたら、スト6でも一気に成長しそうな気配です。
【中川恭兵】そういうのありなんですね。実は僕のほうにも「どぐらさんにストリートファイター教えてもらってください」とか、逆に「どぐらさんに筋トレを教えてください」みたいなDMがめちゃくちゃ来るんですよ。おもしろそうですね。
――実現するのが楽しみです。ちなみに、中川さんの活動で格ゲーを取り入れるアイデアはお持ちですか?
【中川恭兵】Xでボディビルダー筋肉評というのを投稿して、これが今またけっこうバズっていまして。キャラクターの筋肉を見て「このキャラクターはこんな感じだ」って分析しているんです。
たとえばマリーザですと「圧倒的な筋肉量。特に上腕二頭筋の発達が圧巻。相手を引き込むことが得意なグラップラーだろうか?大腿四頭筋、外側広筋を発達しているので、蹴り技も強いと思われる。2代目霊長類最強は彼女で決まりだ」と。そうしたら「まさに前蹴りがめちゃくちゃ強いキャラです」ってコメントがあって、どうもカプコンさんも筋肉にかなり精通していて、各キャラクターの特性にあった体をデザインしているみたいです。これをYouTubeの企画としてもやりたいなと思っていますね。
――おもしろいです。中川さんがまだスト6にそこまで詳しくないからこその、先入観のない意見がいいのかもしれませんね。
そうですね。僕はテリー・ボガードが好きなので、早く書きたいなと思っていますが、スト6のテリーの体はあえて見ないようにしてます。僕がちゃんとテリーを見て使っていたのって小学1年生ぐらいのころだと思うので、今のテリーの体を見てどう感じるか、ファーストインプレッションを大事にしたいので。
「ゲームはやっぱり体力」eスポーツと筋トレがつながる可能性
――中川さんの活動とゲームの掛け合わせでいうと、高齢者に向けたeスポーツも親和性が高そうです。
【中川恭兵】そんなことやってるんですか?僕と方向性が同じじゃないですか。
――指を動かす、頭を使うというのが刺激になると。60歳以上のスポーツ・文化イベント「ねんりんピック」で「太鼓の達人」がeスポーツ種目として採用されてもいます。
【中川恭兵】まさに僕が目指そうとしていることですね。ものすごく意味があると思います。僕の健康体操も、始めた当時90代で杖歩行だった方が、7年ぐらい続けて今では杖なしで歩けてますから。高齢者への取り組みはかなり大きな効果を感じているんです。たとえばDVDの映像より、ゲームとして一緒にできるようになったらもっといろいろなことができそうですし、eスポーツの分野も何か挑戦していきたいですね。
――今の話とも重なりますが、トレーニングとeスポーツの世界、それぞれに向けて中川さんの思いを教えてください。
【中川恭兵】まず、自分でやっていてずっと思っているのが、やっぱりゲームってどのジャンルでも体力なんですよね。ゲームを続けるために、筋トレで体力を高める。そして筋トレは一点集中するようなものが多いから、その集中力も鍛えられる。より快適に行うために筋トレをするというのも、ゲームを楽しむうえで大事なんじゃないかと。
ゲームに関連して、たとえばコスプレだったり、憧れのキャラに近づきたいという思いにも、筋トレが「そのキャラみたいな体」に近づけると思います。“筋トレ×ゲーム”は本当に親和性が高いと思っているので、より豊かにゲームを楽しむためにも筋トレで体力をつけるのはいかがでしょうか?
取材協力:リアル刃牙KYO(@real_baki_kyo)
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