もし我が子が染色体異常と言われたら？親としての葛藤や命の輝きを描いたコミックエッセイが話題に【作者に聞く】

イラストレーターや漫画家として活躍する桜木きぬ(@kinumanga)さん。自身の死産の体験を振り返り、その葛藤や命の輝きをリアルに描いた「わたしが選んだ死産の話」は、連載元の「ダ・ヴィンチWeb」で累計1000万PVを獲得するなど、大きな話題となっている。

※本作で紹介している内容は、個人の体験談でありすべての人に当てはまるものではありません。同様のことででお悩みの場合は医師・看護師ほか専門家に相談してください。また、センシティブな内容を含むため、閲覧にはご注意ください。

2人目を考え始めて数年が経ったある日、ようやく念願だった妊娠が発覚する。喜びもつかの間、病院の診察を受けているときに医師から「染色体異常」の可能性を指摘される。

後日、羊水検査を受け「18トリソミー」という結果が告げられる。自然流産となることが多く、無事に産まれても生後1週間以内に約60%が死亡し、生後1年まで生存する子は10%未満という。

そこから主人公は悩み、もがき、苦しんで、最終的には死産を選ぶこととなる。物語はその後も続き、最後には「あの子がいてくれてよかった」という思いに至るまでを描き、完結する。

本記事では同作品から一部を抜粋し、この漫画に込めた思いなどを桜木さんに聞いてみた。

——「わたしが選んだ死産の話」は「ダ・ヴィンチWeb」にて連載として始まったものですが、実体験でありながら非常に考えさせるテーマであり、ご自身のなかでもさまざまな感情があったかと思います。連載をはじめるに至った思いや連載時のエピソードなどを教えてください。

「当初、全然違うテーマで連載の打診を受けていたのですが、編集担当の方と雑談しているうちに死産した経験について描くことになりました。初めはあまり気乗りしなかったのですが、この10年、何度も頭の中でなぞった経験なのでアウトプットはすぐできる気がしていました。

実際2、3日でネームはできてホッとしたのですが、そのために丁寧に資料と照らし合わせながら当時のことを思い出すのはとてもつらいことでもありました。全部描き終えられるか不安だったので、すべて完成してから連載を始めていただけたのはよかったです」

——「ダ・ヴィンチWeb」での連載は累計で1000万PVを越えたとのことで、大きな反響があったかと思います。とくに印象深かったことなどありますでしょうか？

「すごくたくさん読んでいただけて驚きました。10年間ほとんど人に話さなかったことに、こんなに関心を持ってもらえるとはびっくりです。また、同じような経験をされた方が感想を寄せてくださり、『自分だけではないな』と癒やされたりもしました」

——本作品は電子書籍化も果たしましたが、今の心境を教えてください。

「連載も出版も初めての経験です。どちらも世に出るまでに、たくさんの方が携わってくれてることを知りました。私ひとりではとてもできないことなので、本当にありがたく感じています。

本の内容は死産の話なので悲しい部分も多いのですが、生まれて来なかった命や、生まれて来た命について、ちょっとみんなで考えてみたいなという、前向きな(？)雰囲気もあると思いますので、難しいかとは思うのですが、ぜひ気軽に読んでいただけるとうれしいです」

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