取れかけたボタン「先に気づいておけ!」着たまま針を使うのは縁起が悪いと妻を叱った夫の後悔【作者に聞く】

日本の伝承に基づいた短編『アルマ骨董堂のふしぎ夜噺 』や『古書店ミチカケ 心晴れぬ日はいまを忘れてひとやすみ』など不思議でちょっと温かい話を描く、漫画家のかんさび(@kansabi_kk)さん。今回紹介する『外套とまじないの話』は、「服を着たまま針を使って縫い物をすると縁起が悪い」そんな古くからの言い伝えをもとに、おまじないを唱えながら縫うという習わしを題材に描いた創作作品。X(旧Twitter)に投稿すると、1.7万いいねを獲得した(2025年7月14日時点)。


取れかけたボタンくらい「先に気づいて直しておけ!」妻に怒ったことを後悔している

外套とまじないの話11画像提供:かんさび(@kansabi_kk)

取れかけたボタンを縫いながら、代々伝わるおまじないを口ずさんだ女性。昔の人は、服を着たまま針でほころびを直すのは縁起が悪いと信じていた。その夜、おまじないの意味を知ったある男性が後悔を抱えて現れる。その男性は、妻がほころびを直すときに口ずさんだおまじないの意味を知らずに「先に気づいて直しておけ!」と𠮟ってしまったというのだ。

「日本の習俗や民間伝承に興味があり、それをもとに物語を考えることが多い」というかんさびさん。「今回もさまざまな資料を調べている中で、日本に今も伝わるおまじないの言葉に出合いました。自分の幸せだけでなく、他人の幸せや魔除けを願って使われてきたおまじないが古くから伝わり、形を変えながらも現代に息づいていることに人の優しさを感じ、お話にしたいと思いました」と制作のきっかけを話す。

外套とまじないの話12画像提供:かんさび(@kansabi_kk)

本作は、衣服を身に着けたまま針を刺すのは縁起が悪いという考えから生まれたおまじない。漫画を投稿すると、さまざまな古くから伝わるおまじないの話がコメント欄に届いた。「私がこの外套の物語で紹介したおまじないが、ほかの地域でも少しずつ形を変えて存在していることを知り、とても興味深くうれしく感じました。衣服を身に着けたまま針を刺すのは縁起が悪いという考えには、他人への思いやりや気遣いといった日本人らしさが表れていると思います。コメントでたくさんのおまじないを教えていただき、それらが科学の発展した現代でもなお存在していることに、なんだかうれしくなりました」と、かんさびさん。

外套とまじないの話03画像提供:かんさび(@kansabi_kk)

この物語は、書籍『アルマ骨董堂のふしぎ夜噺』にも掲載されているという。「ほかにも日本の民俗学からヒントを得た物語を収録しています。また、同時期に『古書店ミチカケ』という本も発行されました。こちらは不思議な力を持つ店主が営む古書店の物語です。どちらの漫画も、ほっこりとした気持ちになっていただけるよう心を込めて描いています。少しでも癒やしになればと思いますので、ご興味のある方はぜひ手に取っていただけるとうれしいです」


取材協力:かんさび(@kansabi_kk)

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