98歳が妊婦に席を譲る!?「あたしゃ長生きしたから悔いはないけど、あんたが転んでお腹の子に何かあったら」老いを笑顔に変える愉快な老人【作者に聞く】
電車の中で妊婦さんに席を譲ったのは、98歳の老人。「そんな譲っていただくわけには!」と妊婦さんが恐縮するなか、人生を長く生きたみや子さんの言葉が周囲の人を動かした。戦争や震災、夫との死別、シングルマザーを経て100歳までポジティブに生き抜いた
“最強おばあ”
みや子さん。今回は、きよまろ(@sobomiyako98)さんが描く『祖母・みや子100歳~年を取るって楽しく愉快だ!~』のなかから『どうぞ』を紹介する。
「見方によっては嫌味にもなりがちなことを、周囲をクスッと笑いに変えてしまう」絶妙な言い方


今回は、通院中にあった出来事。「かかりつけ医には基本月1回ほど通院しておりました。田舎の市民病院で長い間通院していたので、知った顔も多かったと思います。何より人間観察が大好きな祖母はどこに出かけても、そこで見聞きしたおもしろおかしい人間ドラマを聞かせてくれましたね」と話すのは、孫のきよまろさん。
移動中の電車で、妊婦さんに「どうぞ」と席を譲ったみや子さん。「そんな譲っていただくわけには」と、強く遠慮する妊婦さんに「あたしゃ98年生きたから悔いはないけど…あんたが転んで腹の子に何かあったら死んでも死に切れんよ」と、返した。「カッコいいというか、そつがないんですよね。言っていることはその通りですし、でも見方によっては嫌味にもなりがちなことを、周囲をクスッと笑いに変えてしまう。当意即妙というか言葉の魔術師だなぁと思っていました」一緒にいたきよまろさんは、そんな風に思ったという。そのあと「98年で死にきれないとか!!あたしゃいつまで生きるんだ」とセルフつっこみをするみや子さんに「おれが譲るからばぁさん座れよ」と隣の男性が譲るなど好意の連鎖が起きた。

長く通院していると、いろいろな患者さんとの出会いもある。入院中の子どもに「バン!」と撃たれたみや子さん。撃たれたフリをして、「うっ」と胸を押さえた。すると隣に座っていたおじいさんが、看護師を呼んで大騒ぎに!このあと、医師にも𠮟られてしまった。
「病院はどうしてもネガティブになりやすい場所だとは思います。『老い』や『病気』は誰でも訪れますし、受け入れがたいもの。でもそんななかにも『笑い』があり、そして、その笑いが少しでも老いていく自分を愛することにつながればと思います。『老い』やそれに伴う病もまた個性だと思えたら、と思うのですが、なかなか祖母の域まで達観するのは難しいですね(笑)」100歳まで生きた“最強おばあ”、祖母・みや子さん。いくつになっても「自分らしさ」を追い続ける姿は、歳を重ねていく我々に勇気と導きを与えてくれる。
取材協力:きよまろ(@sobomiyako98)
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