独居老人問題→「高齢受給者証ってなに?」全裸で倒れた父のことを病院で聞かれるも、娘は父の個人情報がわからない!【作者に聞く】

右耳難聴や子宮内膜症など、自身の体験をコミカルな漫画で描くキクチさん(@kkc_ayn)。彼女の作品の中でも、母親の自宅介護と看取りをテーマにしたコミックエッセイ『20代、親を看取る。』は、自宅介護の現実や、親との死別と向き合う中で揺れ動く感情が描かれ、大きな反響を集め、2023年には書籍化された。
母を看取ってから約2年後、今度は父が病に倒れてしまう話だ。母の介護・看取りを経たことで落ち着いて対応できることは増えたものの、あのときとは違い、一人っ子として頼れる家族がいないなかで、さまざまな決断を迫られることになるキクチさん。今回は、病院で直面した父の個人情報がわからなくて困った点について聞いた。
「夜の病院」で待つ孤独な1時間…父の笑顔と不安な心




偶然にも、普段からお世話になっている病院に搬送されることになった父は、依然として予断を許さない状況が続いた。キクチさんと目が合いホッとしたような様子を見せてから、再び意識が遠のく父親を見て、キクチさんは複雑な表情を浮かべる。
「父は意識が朦朧としているなか、私と目が合ってにっこりと笑うと、すぐに眠ってしまいました。私もにっこりと笑いましたが、内心は不安が大きくてうまく笑えてなかったような記憶があります」
病院に到着して安堵したのも束の間、ただただ待つことしかできずにもどかしい時間が流れていく。夜の病院で1人で待っている時間は特に長く感じられただろう。「病院に着いてから初めて看護師さんに話しかけられるまで1時間は待ちました。救急の待合はとても静かでしたが、同じく待合で診察を待っている方が咳の症状があって、その咳の音だけが響いていました。私は携帯の充電が少なくなっていて、モバイルバッテリーもなかったので、なるべく携帯も使わないようにしていました。ぐるぐると不安だけが頭の中でいっぱいになって、孤独を感じながら待っていました」と、当時の心境を語る。
「頭がパンクしそう」…一人っ子が直面する初めての壁
病院の受付で父に関する情報を聞かれても、離れて暮らしていたこともあり、即座には応えられなかった。自宅介護で母を看取った経験はあったが、入院の手続きは初めてだらけでてんやわんやするハメに…。
「一番困ったのは患者情報の記入です。本人、もしくは普段から同居していないとわからないような質問事項ばかりで困りました。項目は、健康診断の問診で聞かれるような生活習慣や持病、アレルギーなどです。ただでさえ頭がパンクしそうなのに、さらに脳に負担がかかりました。家系図も、父の家系が少し複雑で把握できてない部分も多かったので『これは何のために必要でどこまで書いたら良いんだろう』と悩みました」と、当時の苦労を明かす。
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