「産後一年間は記憶がほとんどない」当時は追い付かなかった感謝を少しずつ返していく【アラフォーまきこの「ごゆるり家事」】
東京ウォーカー(全国版)
TwitterやInstagramなどで、日雇い漫画など日常の風景を発信している柿ノ種まきこさん(
@kakinotane_m
)。オフビートでゆるい空気感ながら、なぜか心に残る作風で人気を呼んでいる。自身の恋愛模様を描いた「アラサーが恋をした話」は多くの人から共感が集まった。ウォーカープラスではそんな柿ノ種さんが、日常(主に家事)を通じて感じる、何気ない喜びや驚き、発見を漫画にしてお届けする。題して「アラフォーまきこの『ごゆるり家事』」。
連載第16回となる今回は産後のお話。想像以上に壮絶な日々が待っていたそうで。
――作中にある「正直産後一年間は記憶がほとんどない」というのが壮絶さを物語っているように思いました。出産前と出産後で子育てに関するイメージは相当違ったということでしょうか。
「産前は、子育てをするイメージが全く湧かなかったんです。具体的になにが大変なのか、どういうスケジュールで動くのか、全然わからなくて『産後も在宅なら仕事できるかも〜』なんて思っていました。甘かったですね…。
まず基礎体力が無さすぎました。学生時代をオール文化部で過ごし、運動習慣も無い私が産後(一般的には交通事故患者と同レベルのダメージと言われていますよね)の体で、3キロの赤ちゃんを一日の大半抱っこをして、血液から作られる母乳を放出し続け、眠りたくても細切れ睡眠をさせられ、それに加え頻回のオムツ処理や沐浴を行う…。
自分の体力の配分を完全に誤っていました。自分の風呂さえままならないので、身なりを整えたりする余裕もなかったですね。しかし産後一ヶ月は外出することもなかったので、その点では楽でした(ひどい姿でしたが)。出産だけでなく、産後もこんなにもエネルギーがいるとは全く予想外でした」
――夫のサトルさんはじめ家族に支えてもらったとのことですが、どんなサポートがありがたかったですか?
「体力の無さが災いして、起きている間は頭が回らずぼーっとしてしまいがちだったので(貧血気味だったのかもしれませんね)、義母や実母が色々と動いてくれたのには本当に感謝しています。
義母は近くに住んでいるので、夕飯のおかずを毎日届けてくれたり沐浴をしに来てくれたり、本当に助かりました。実母は少し離れた場所にいますが、毎週のように来て色々と買い物をしてきてくれたり、家事をしてくれたりしました。サトルさんもミルク作り(母乳とミルク両方飲ませていました)やオムツ替えは日常的にしています」
――これから出産にのぞむお母さんたちにアドバイスをお願いします。
「産前は色々と不安ですよね。わたしは安産になるというお灸をしてみたり、臨月では階段の昇り降りをしてみたり、母乳に良いという高いハーブティーを飲んでみたり、会陰クリームなどいろいろしていましたが、結局出産も2日がかりで会陰切開・吸引分娩、母乳も軌道にのるまで時間がかかり3回も乳腺炎になり苦しみましたし、色々と準備しても、実際は産んでみないとわからない事ばかりでした。
なので、不安でしょうけど思い切って『なんもしない!』が良いと思います。なにかしても「あれだけ頑張ったのに…」と産後わたしのように落ち込む事になりかねないので。あ、でも自分が心地よい程度の腕や足の筋トレ(安定期に)はおすすめします」
今回はちょっと切実だった柿ノ種さんの作品。今後もどんな日々の暮らしを見せてくれるのか楽しみだ。
取材・文=山田孝一
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