“社会の規格”から外れたら何の役にも立たないの…?落ち込む私に希望をくれた規格外ズッキーニのソテー「心曇る日は ご自愛ごはんを」【作者インタビュー】
東京ウォーカー(全国版)
つらくても「食べる」、「食」を通じて心の病から少しずつ自分を取り戻していく、そんな経験を描いたコミックエッセイ「心曇る日は ご自愛ごはんを」。連載第3回目は、巨大ズッキーニのソテーを紹介。規格外だけれどもおいしさはスーパーに並ぶ野菜と変わらない…、新たな可能性を教えてくれる一皿だ。
会社員として忙しくも充実した日々を送っていたある日、ふとした仕事のミスをきっかけに体調を崩してしまった作者のうめやまちはる(
@umeyama_chi
)さん。病気がもとで退職したあと、結婚。専業主婦をしながら回復に専念するも、なかなかよくならないことに不安を感じていた。病気の症状とわかっていても「あたりまえにできていたことができない」せいで、どんどん自信を失っていく。そんなとき、そっと寄り添ってくれたのは毎日の「食卓」だった。生きるために食べる。食べるために料理をする。そのささやかな繰り返しに、少しずつ心がほどけていく。
うめやまさんが自身の経験をもとに綴った本作は、第11回新コミックエッセイプチ大賞を受賞。「食」を通して取り戻していく日常の中に、大切な何かをきっと見つけることができるはず。
何の役にも立たないの?規格外の野菜にモヤモヤ…
朝早く目が覚めたうめやまさんは、医者のすすめもあり思いきって散歩に出かけてみる。駅から離れた方向へ歩いていくと、大きな畑を発見する。そこには、熟れたピーマンやオレンジ色のゴーヤ、手の平より大きいオクラなど、いわゆる規格外の野菜たちが取り残されていた。
「規格から外れたものは何の役にも立たないの?」うめやまさんはそんな規格外の野菜たちに会社を退職した自分を重ねてしまい、なんだかモヤモヤした気分に――。
普通から外れてしまっても「自分にできることを見つけていけばいい」
道の駅で買ってきた巨大ズッキーニは、決してスーパーに並ぶことはない。しかし、いざ焼いて食べてみると普通においしくて、むしろお得感さえある。規格外野菜の可能性を発見したことで、自身の生き方にも希望を見出していく。規格外野菜をテーマにした今回のエピソードについて、うめやまさんに聞いた。
――この作品はどんな人に届いてほしいですか?
私は自分が普通ではなくなってしまったと感じて落ち込んでいたのですが、もし同じように感じてしまう人がいたらこの話を読んでみてほしいです。
――道の駅はいろいろな野菜や、地元の食材に出合うことができて楽しいですね。よく利用されるのでしょうか?うめやまさん流の道の駅の楽しみ方があればぜひ教えてください。
道の駅など産直スーパーに行くのは大好きです。珍しい野菜を見かけたら必ず買います。どんな味がするんだろう…?とワクワクします。
――「規格外」という言葉が今回のキーワードとなっています。今でもそう感じてしまうことはありますか?
多くの人には当たり前にできることが自分にはできない…というのはひしひしと感じます。でも、自分にできることを見つけていけばいいんだなという気持ちでいます。
料理が得意な人も、そうでない人も、ふと作ってみたくなる、食べてみたくなるような心に沁みるレシピが登場する「心曇る日は ご自愛ごはんを」。今後も連載形式でお届けしていく。
取材協力:うめやまちはる(@umeyama_chi)
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