川崎出身の注目バンド、マカロニえんぴつが約2年半ぶりのフルアルバム「hope」を語る【前編】
横浜ウォーカー
はっとり(Vo.&G.)を中心に、12年川崎市で結成したバンド、マカロニえんぴつ。2ndアルバム「hope」の発売とKT Zepp Yokohamaを含む過去最大規模の全国ツアーを控え、勢いにのる中、はっとりと長谷川大喜(Key.&Cho.)が登場。

—みなさん川崎市溝の口の洗足音楽大学ご出身で、そこでバンドを結成したんですね。
はっとり そうですね。だからバンドの出身は川崎っていうことで。僕らそれぞれ出身は違うんですけど、ボーカルの僕の出身地で山梨っていうのも違うし、だから川崎市出身のバンドですって名乗っているのは自然な流れだと思っているんですけど。
—最初、川崎ってどういう印象でした?
はっとり 音楽の街ってうたってるじゃない。
長谷川 そうだね。駅前にも「音楽のまち・かわさき」って書いてある。
はっとり 実際、川崎駅とか、当時、路上ライブとかも結構盛んだったよね。
長谷川 2-3組やってたりしたよね。
はっとり 寛容だったんだよね。溝の口駅前でやった街をあげての路上イベントに誘われて出たりもして。
長谷川 ノクティの前で(笑)。
はっとり そんな思い出もありながら、音楽に触れやすい環境が川崎市にはあったと思います。でも、確かに川崎出身のミュージシャンって多いのかもしれない。バンドでいうと同じ事務所の先輩のsumikaもそうだし、SHISHAMOもそうだし、ヒップホップカルチャーもアツかったりするから。
—路上ライブはどんな感じでやっていたんですか。
はっとり 2013年とか2014年ごろ、ライブハウスでかなりやっていたんですけど、路上も結構やってたよね。
長谷川 大学2、3年のころかな。川崎駅でやっていました。
はっとり 寒い時期をあえて選んで(笑)。
長谷川 手がかじかみながら。あとは電池切れと戦いながらね。
—ああ、なるほど。弾き語りではなくバンドですからね。
はっとり ギターもふたりいるので。大学の先生が「路上ライブって人に見られることに慣れるための練習としてもいいし、寒い時にやると通りかかる人も同情して聴いてくれるからいいぞ」みたいなことを言ってて。
長谷川 心理をついてる(笑)。
はっとり そういうの間に受けてた気がするんですよね。がんばってる感が3倍増しくらいになるぞっていう。そういうあざといことを教え込まれてた(笑)。今、後輩が洗足で先生をやっているんですけど「マカロニに憧れて入学してきたみたいな子が多いんですよ」って聞いて、そういうのはうれしいですね。
—そういう時代を経て、19年は大きく飛躍して、今回2ndアルバム「hope」が出ますが、今のバンドの勢いが詰まっています。
はっとり 昨年、全国ワンマンツアーというのを2回やったのですが、僕らのバンド歴としてはライブをかなりやった年で、それで演奏も変わってきたし、バンドの中のグルーヴもまとまってきた印象でした。スキルがグッとあがったし、それをレコーディングで実感するというか。「ああ、ツアーやってきた感が出てる」って録りながら感じていました。賢也(高野)とかうまくなったよね。
長谷川 確かに。ライブも音作りが変わっていたし。
はっとり 特にグルーヴってドラムとベースで出るものだから、リズム隊がどんどん締まってきたなって。
—「レモンパイ」(TBS「王様のブランチ」OPテーマ)など、18年より発表してきた曲なども収録されていますが、アルバムの制作としてはどのように進んだんですか。
はっとり 既存のシングル曲が半分あってのスタートで、あとの半分をどうしようかって選曲会議みたいなものを最初に結構したよね。
—曲は結構あったんですか。
はっとり 断片的なものだったとしても、曲はストックとしてたまっていて、デモ音源とか結構あったんですよね。僕だけじゃなくて、メンバー全員曲を書けるんですけど、前作「season」はメンバー全員の曲が入ったコンセプトアルバムで、次に出す今回のフルアルバムで誰かの曲が入らないっていうのもおかしいし、全員の曲を入れようというのは最初から決めていました。それは、結果よかったよね。
—メインソングライターのはっとりさんのメロディと歌が中心にあると、他のメンバーが書いた楽曲がスパイスになって、バンドの底力を感じるというか。
はっとり 俺が作れない、作らないような曲をメンバーが持ってくるから、アルバムの印象としても、バリエーションがグンと広がったので、狙い通りになったなと。
—バンドとしての充実が伝わってきます。
はっとり そうですね。レコーディングも充実しています。ツアー中に制作していたので、スケジュールはしんどかったかもしれないけど、お客さんからもらうものも大きいし、期待されたり評価もしてもらっているからこそ、のびのびできている感じがある。だから、レコーディングもキャリアの中で一番楽しくて。純粋に音楽というものに立ち返った時に、根底にある一番大事な「楽しい」部分をナチュラルにできてると思うんです。
長谷川 ツアー中にだったから、最初はスタジオに入れなくて、リハする時間もないから、レコーディング当日にアレンジを決めたりとかあったよね。
はっとり ツアー先でもスタジオに入ったりもして。でも、時間がなかったこともマイナスにとらえることなく、結果プラスに変わって。当日まっさらな状態から、ベースとドラム以外の上物をどう組み立てて遊んでいくかって、相当集中してできた。僕らは、アレンジをデスクトップミュージックでやることもあるんですけど、みんなで「せーの!」でやったときならではの感じが出てるのかなと。
長谷川 みんなで作り上げていく楽しさがあったね。地方でスタジオに入ったときは、いつもと違う場所でやる集中力もあったりしたし。6時間くらいだったと思うけど、充実していて、あっという間でした。

山梨県出身のはっとり(Vo.&G.)、新潟県出身の長谷川大喜(Key.&Cho.)、神奈川県出身の田辺由明(G.&Cho.)、東京都出身の高野賢也(B.&Cho.)によるロックバンド。19年、初の全国ツアーが全公演完売。9月発売のミニアルバム「season」がオリコン5位を記録し、同ツアーも全公演完売。20年「hope」を携え、全国ツアーが4月18(土)より開始。
構成・取材・文=古城久美子/撮影=中村力也

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