影山貴彦のテレビのホンネ。若手のトーク力を磨け! 小籔千豊の優しさ光る
関西ウォーカー
トーク力とは、まさに芸人の「命」。 命を際立たせたコンセプトが感動を生む

3/29深夜に放送された、「コヤブとムリヤリ経験団~今日は隣の客の話がやたらとオモロイ~」(カンテレ)の試みが、本当にオモロかった。
芸人にとって、トーク力は「命」といっても過言ではない。同じ経験をしたとしても、喋り手が優れていれば、そのエピソードは数段面白くなる。当然、逆も真なりだ。今回の企画が出色だったのは、若手芸人たちにさまざまな場所でロケを敢行させ、非日常的な経験をさせた事ではない。その経験をいかに臨場感あふれる形でより面白く伝えることができるか、トーク力をしっかり磨かせたところにあったのだ。
3組の若手芸人たちと小籔千豊が居酒屋でたまたま隣り合わせ、彼らの話を小籔がなんとなく横から聞くという設定で番組は進行した。視聴者は、ロケの模様の一部をVTRとして見ることができたが、出演者たちは皆、一切映像を見ることはできない。あくまでも、自らのトーク力のみで聞き手を惹きつけることが要求されるというコンセプトが斬新だった。
セルライトスパ、ツートライブ、そしてスマイルの面々が繰り出す、天草四郎の財宝を探した経験や、「レッドモンスター」なる巨大生物を捕獲しに行った話、あるいは競艇好きの蛭子能収に同行して、彼の独特な素顔に迫ろうとした涙ぐましい努力?を語る姿は、感動的でさえあった。
居酒屋のバイト店員に扮した舘山聖奈アナウンサーは、2020年4月の関西テレビ入社だ。すなわち、収録・放送時点では、まだカンテレアナウンサーではなかった。こうしたキャスティングも面白い。芸人たちの話を反射神経あるリアクションで聞いていた。勘がいい。今後活躍が楽しみだ。
折に触れ場を和ませ、笑いを増幅させていた小籔が大いに光っていた。若手たちは大いに勉強になったはず。演者、スタッフの優しさに溢れた番組だった。
■今回の紹介番組
「コヤブとムリヤリ経験団~今日は隣の客の話がやたらとオモロイ~」
(カンテレ 3/29放映済み)

【著者プロフィール】影山貴彦(かげやまたかひこ)同志社女子大学 メディア創造学科教授。元毎日放送プロデューサー(「MBSヤングタウン」など)。早稲田大学政経学部卒、ABCラジオ番組審議会委員長、上方漫才大賞審査員、GAORA番組審議委員、日本笑い学会理事。著書に「テレビドラマでわかる平成社会風俗史」(実業之日本社)、「テレビのゆくえ」(世界思想社)など。

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