西川貴教は〝引っ越したいほど大阪LOVE〟 公演中止の「バーン・ザ・フロア」は新日程で調整中
関西ウォーカー
新型コロナウイルスの感染拡大を受け、多くのエンタテインメントが延期、中止となっている。「バーン・ザ・フロア -BE BRAVE. NO LIMITS.」も中止になった。出演者もスタッフも海外組のため、来日自体が難しいだろうとは思っていたが…残念。

過去10回の来日公演で50万人を熱狂させてきたダンスエンタテインメント「バーン・ザ・フロア」。競技ダンス出身の世界トップレベルのメンバーが鍛え上げた肉体から繰り出すダイナミックなパフォーマンス。その圧倒的なパワーとダンステクニックは、他のダンスショーとは一線を画す。多彩なジャンルの音楽に乗せ、スタイリッシュにドラマチックに魅せるステージだ。
西川貴教は、中止になった「バーン・ザ・フロア」に日本人初参加のシンガーとして登場予定だった。
今回は2年ぶりの上演で、テーマは“ロックとクラシックの融合”。彼らのダンスに負けない歌声を持つ歌手として、日本人初参加のシンガー・西川貴教が登場する、はずだった。

そして、なんとクイーンの「ウィ・ウィル・ロック・ユー」、「ボヘミアン・ラプソディ」、さらに「仮面ライダーゼロワン」の主題歌、J×Takanori Nishikawa「REAL×EYEZ」(リアライズ)を歌う、はずだった。あ~残念!
最近はドラマや舞台など、ジャンルを超えて活躍の場を広げ、注目されている西川。そのせっかくのインタビューまで掲載中止するのはしのびなく、彼の意気込みや舞台に向かう姿勢、“再度住みたい”と願う関西への熱い思いを紹介する。
「中止をしっかり受け止めて、できることをやっていく」
西川は今回の「バーン・ザ・フロア」中止の知らせを受け「決まったことは決まったこと! しっかり受け止めて自分にできることをやっていくぞ!」と、ツイッターで想いを表明していた。
このプロジェクトは新たな日程で調整中、決定次第発表される。お楽しみは、もう少し先に延ばそう。きっと、また、会える。

西川に聞いた「バーン・ザ・フロア」の魅力
―「バーン・ザ・フロア」の魅力とは?
ダンスカンパニーとしてキャリアも長く、世界中を回っている。ただ、知ってはいても観たことがないっていう人はまだ多いんでしょうね。今は義務教育の必須科目にダンスがあるぐらいなので、ヒップホップやロックは身近だと思うんですけど、社交ダンスや競技ダンスって、“クラシカルなもの、敷居の高いもの”という印象があると思うんです。
でも、「バーン・ザ・フロア」を観ると、その印象が多分大きく変わると思います。みんなアスリートみたいで、スポーツを観ている感覚に近い。競技ダンスの概念を大きく覆してくれる作品だと思います。フロアに降りて来てくれたりね。だから、一緒にその動きに合わせて立ち上がって踊るぐらい楽しめるものにできたらいいですね。そういったコール&レスポンスも実際にあるので。

―あのダンスに歌で勝負を挑む?
そうなると思います。ダンサーのみんなのパフォーマンスの中で歌うので。ダンサーの方たちに観客の皆さんの視線を奪われすぎないように頑張りたいです。ま、“僕のお抱えダンサーみたいに踊ってください”という気持ちになれたら…そこまでいければね(笑)。身体も負けないように鍛えて、見劣りしないように頑張ろうと思っています(笑)。
―クイーンの曲を歌うんですね!
学生の頃はバンドで洋楽のカバーをやったりしていたんですけど、まさかこんなに人前でクイーンを歌うことになるなんて想像できなかった。とにかく名曲、ワールドスタンダードじゃないですか。皆さんの頭の中にはフレディが歌うナンバーが響いている。だから、そこと戦うというよりも、彼の遺伝子というか、彼の想いを少しでも日本に伝えられるといいなと。今自分が出せる最大限のリスペクトを込めて、フレディと歌で共鳴することができたらいいなと思っています。

―ご自身の曲「REAL×EYEZ」(リアライズ)も歌われると?
カンパニーの皆さんから、“せっかくなので自分の持ち歌とかも歌ってみませんか”っていうお話をいただいて。今回の「バーン・ザ・フロア」の参加を受けて、昨年、彼らの韓国公演を観にうかがいました。
その時に、「バーン・ザ・フロア」は“ダンスって最高!”みたいな感じの作品だよね“と思っていたのが、ダンスの素晴らしさはもちろん、そこにストーリーやドラマがあったり、また、ダンスのジャンルによって見せ方がまったく違う。得意とするダンスのスタイルを持った、それぞれのジャンルのナンバーワンダンサーたちが、代わる代わる出てくる。形は違えど、ヒーローショーみたいな印象だったんですよ。そこからインスパイアされて、今僕が歌っている「仮面ライダーゼロワン」という作品の主題歌を、ぜひみんなに踊ってもらいたいなと思って、「REAL×EYEZ」(リアライズ)になりました。
スピード感もありますし、すごくシンプルな楽曲なんですけど、あのダンサーのみんなが、どんな動きでこの曲を踊るのか…。今回の「バーン・ザ・フロア」のスタイルって、グルーヴというか、しなるような動きがすごく魅力的だなぁと思ったんです。でも、この曲は斬り付けるみたいな縦のナンバーなので、そういった楽曲とみんなの動きがどう合わさるのか、本当に楽しみです。
―歌のパワーを持続する秘訣は?
僕はもともと体がすごく華奢で、体力的にもそんなに優れているわけじゃなかったので、そこをいかに補っていくかが課題でした。ミュージカルもこういった舞台もそうですが、チケットを買ってご覧いただく皆さんにとっては、生まれて初めての舞台かもしれないし、一生に一度の舞台かもしれない。そういった方たちに「今日イマイチだったなぁ」と思われるようなライブはしたくないんですよ。
だからこそ、100%のパフォーマンスをする。それで気に入らないって思われたら、それで納得なんですけど、納得できないのに「なんかイマイチ」って言われたりして終わってしまうのはすごく悔しいので。だから常に高いアベレージでパフォーマンスするために準備しておくということを続けて来た結果が、こうなっているんだと思います。
「やりたいと思ったことをできるだけ形にしていきたい」
あとは、僕は欲張りなので、やりたいと思ったことをできるだけ形にしていきたい。音楽から始まりましたけど、今はドラマや映像とか、いろんなことをやらせていただいて。そこでいただいた刺激が、きちんと次の何かに変わっているんですよね。
お芝居をやらせていただいたことで、歌はメロディと言葉があるから歌なんじゃなくて、語ることが歌になり、歌うようにまた語るということが分かった。自分の想いを伝えたいと思った相手に、そのコミュニケーションの中で伝えたい想いが音楽になる。音楽の世界を出ていろいろな演出やご指導をいただき、伝えたいものが、またまったく別のものに影響を受ける。
そんなふうに自分を磨く作業を怠らないようにし続けた結果が今あるんだとすると、“西川貴教”というエンタテイナーとして今ここに居させてもらえているのは、本当に皆さんに作っていただいたおかげなのかなと思います。

―意気込みをどうぞ。
韓国でリハーサルを拝見したんですけど、みんなびっくりするぐらいポジティブで明るくて、本当に心からダンスをすることが楽しいっていう気持ちが、すごく伝わってきました。舞台に向けていいものを魅せたいという、「バーン・ザ・フロア」のメンバーであることのプライドもすごく感じて。だからこそ「バーン・ザ・フロア」というカンパニーの名誉を傷つけないように、短い期間ではありますけども、僕も一員となる限りは、その覚悟で臨みたいと思います。
日本人がシンガーとしてカンパニーに入るというのは初めてだとうかがったので、“やっぱり西川に頼んでよかったね”って言ってもらえるように、来てくださった方の記憶にも、そしてこのカンパニーのみんなの記憶にも残るようなパフォーマンスができたらと思います。

滋賀県出身、関西への思いも聞いてみた。
―関西に来た時は何をする?
そうだなぁ~。滋賀には、ちょこちょこ帰っています。みなさんが思っている以上に滋賀には結構帰っています。家族もいますし、今年はお正月も大阪や滋賀で過ごしていました。
僕、元々大阪にも住んでいたんですよ。滋賀から出て来て、大阪で組んだバンドでデビューするために上京したんです。その時はお金も無かったし、バイトとバンドのことだけで毎日必死だったので、ゆっくり大阪の街を見てなかったんですよね。
今、大阪で何日かゆっくりしたり、舞台で滞在することがあったりすると、ちょこちょこ外に出ているんですよ。大阪に住んでいた頃って、本当にお金が無かったので、“こんなにおいしいところあったんだな”っていうのを再発見したりして。東京って元々川があったところを塞いで道路にしているところが多いので、水辺が少なくてね。でも、大阪は中之島辺りもそうですけど、川があって…なんかすごく落ち着く、と思って。
音楽活動をするにはある程度東京にいないといけないと思うんですけど、もう一度関西で暮らしたいなって真剣に思うぐらい、去年ぐらいからだいぶやられてるんですよね。こういったインタビューだからとかじゃなくて、本当に真剣に考えています。具体的に、どこかいいとこないかなって探してるぐらいです。今はバタバタしているから、大阪万博が終わって落ち着いたぐらいにね。
※この記事は新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言発出前に取材したものです。
<西川貴教プロフィール>
にしかわたかのり●1970年、滋賀県生まれ。96年、ソロプロジェクト T.M.Revolutionとしてシングル「独裁 -monopolize-」でデビュー以降、数々の大ヒット曲を連発。99年にはミュージカル「リトル・ショップ・オブ・ホラーズ」に主演するなど舞台も多数出演。滋賀県から初代「滋賀ふるさと観光大使」に任命され、大型野外ロックフェス「イナズマロック フェス」を主催、毎年滋賀県で開催している。18年から西川貴教名義での音楽活動を本格的にスタート、19年には西川貴教としての1stアルバム「SINGularity」をリリース。俳優として、同年9月から今年3月まで放送のNHK連続テレビ小説「スカーレット」に出演した。柿澤勇人とWキャストで主演を務めるミュージカル「スクール・オブ・ロック」が2020年8月22日(土)~9月20日(日)東京建物 Brillia HALL、2020年9月26日(土)~10月4日(日)新歌舞伎座にて上演予定。
取材・文=高橋晴代(演劇ライターはーこ)
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