コロナで過当競争か? ウーバーイーツ配達員の真実(リアル)を聞いてみた。

東京ウォーカー(全国版)

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今年初めから深刻化したコロナショックと4月からの緊急事態宣言に伴い、街では飲食店の多くが休業し閑散とする反面、大きなリュックを背負って走り回るデリバリーサービスの配達員たちが目立つようになった。

営業自粛を強いられる中、売り上げの減少を少しでもカバーすべくデリバリーに活路を見いだす飲食店と外出を控える消費者、それぞれのニーズが一致する形で、今注目を集めるサービスだが、最前線に立つデリバリーサービスの配達員って、どういう風に仕事をしているのだろうか?

デリバリーサービスの中でも知名度が高い「UBEREATS(ウーバーイーツ)」の配達員のひとりが、大阪市内で編集部の取材に応じてくれた。
(なお、取材はテレビ電話で行いました。)

おなじみの配達用リュック。なお、リュックは時期によっていろいろな形があり(緑色のものも存在する)、これは比較的初期のバージョンとなる


配達員に必要なスキルを聞く

―ウーバーイーツの配達員を始めたきっかけは?


知人が始めたのを見て興味半分で話を聞いて、それなら自分にもできるかなと。昨年の1月から始めて、現在まで1年半近く続けています。

―配達員になるためには、具体的にどういったものが必要ですか?


免許証など、身分証明になるものとスマホがあれば大丈夫です。公式サイトから名前の入力や顔写真の添付など必要事項を送信して配達員(ウーバーイーツでは「配達パートナー」と呼ばれる)の仮登録を行い、配達員用の専用アプリをスマホにインストール。仮登録後に、各都市ごとに設置されたウーバーイーツの事務所を訪問して対面での本人確認(※注)とリュックを受け取れば完了です。

その際、リュックの保証金として数千円程度が必要(その場での支払いは必要なく、働いた後の報酬から少しずつ差し引かれる)になりますが、これは配達員を辞める時にリュックを返却すれば戻ってきますので、初期費用も実質ゼロです。

配達用車両は自転車かバイクを自分で用意する必要があります。ただ、それらを持っていない場合でも、ウーバー側で提携しているシェアバイクのサービスを安価に利用することができます。

※注:現在は新型コロナウイルス感染拡大防止のため事務所での対面による手続きは行わず、電話などを使った非対面の手続きで登録を完了させる特別対応を取っているとのこと。

配達員の安全確保のため、最近になってウーバーからマスクも支給されるようになり、感染対策も実施されている


―その後、実際に配達をするには?


活動できる時間にアプリを立ち上げておくと、自分がいる場所に応じて近隣の店舗から配車の通知があるので、アプリの指示に従い店舗へ出向き、料理を受け取って依頼者の元へ届ける。これの繰り返しです。難易度もそれほど高くはありませんし、何回かやればすぐに慣れますよ。

アプリ上で配車を待機。スマホのGPSと連動しており、地図上に自分の待機場所が表示される

配車があると画面が切り替わり、指示された店舗へ向かう


―1回の配達でどれくらいの報酬になりますか?


例えば1キロから2キロの間が平均的な配達距離で、それだと大阪では350~400円程度、これを基本に時間帯やエリアに応じて一定の加算があります。
僕の場合は本業の仕事を終えた後、夜のディナータイムに活動することが多いので、その場合は一回500円前後になることが多いです。配達に必要な時間は概ね15~20分程度で、ざっくりと1時間に2回配達できれば時給1000円、3回できれば1500円というイメージですね。もちろん待ち時間のロスもありますので、常にこの通りになるわけではないですが……。
さらに、「クエスト」と呼ばれる「○日間で○件配達すれば○円加算」といったボーナスも別途用意されており、それらを上手く組み合わせながら稼いでいくことになります。

オレンジ色のエリアで配車を受けると、1回の配達に付き一律150円が加算される

「クエスト」の例


大手チェーンはマニュアル化しているので配達しやすい。


―配達の収入を上げるコツは?


ズバリ「ハズレ」を引かないことです。名指しはしませんが、配車を受けていざ到着しても料理が出来上がるまで平気で20~30分待たせたり、広いエリアから注文を受けて配達員にとんでもない距離を走らせる店舗が時々あるんですよ。

もちろん、経験を積むと自分の頭の中にそれらの “ブラックリスト”ができ上がりますし、今ではそんな店舗からの配車は全部拒否しています(配車のオファーがあっても必ず受ける必要はなく、拒否もできる)。配達員側から見ると、大手チェーン系飲食店からの配車が一番楽ですね。良い意味で現場対応もマニュアル化されていて長時間待たされることはまずないし、近隣に系列店がたくさんあればあるほど遠距離の配達となる確率も低くなりますから。

ちなみに配達の行き先は、店舗で料理を受け取るまでわからないシステムになっていて、その時はちょっとしたガチャを引くような気分です。

―ちなみに、大阪市内のどのあたりで主に活動されているんですか。


具体的な場所はちょっと勘弁してほしいですが……僕の場合、普段は自宅近くのとある駅前が拠点です。大手チェーン系飲食店が数軒固まっていて、効率のよい立ち回りができます。ただ、地蔵にまでなる気はないですけどね。

―〝地蔵〟って何ですか?


時間帯を問わず注文が頻繁に入る店舗、たとえばみんな知ってる某ハンバーガー店とかには、店舗の前に“付け待ち”して居座る配達員がだいたい何人か溜まっていまして…。そういう行為をする人を同業者の間では〝地蔵〟って呼んでいるんですよ。
詳しくはツイッターで「ウーバー 地蔵」とでも検索していただければ(笑)。

【写真】配車を待つ〝地蔵〟と呼ばれる配達員たち (写真と本文とは関係ありません。一部画像を加工しています)


コロナ禍で〝デリバリー特需〟はあった!?


―新型コロナの影響で〝デリバリー特需〟とも言われていますが、実際はどうなんでしょうか?


一連の営業自粛を機にデリバリーを始めた飲食店が増えているのは確かでしょうが、それ以上に配達員の数も爆発的に増えています。飲食店に限らずさまざまな業種で営業自粛や閉店に追い込まれる店舗が増える中、それらで仕事を失った人たちが流れ込んでいますし、営業の場を失った飲食店主が配達員になる例も珍しくありません。一人あたりに割り振られる配達の数はコロナ以後もそれほど増えていない、いやむしろ少なくなっている感覚です。

あと、僕のように夜間の配達が中心だと、緊急事態宣言のダメージは大きかったですね。夜8時以降もデリバリーとテイクアウトのみで営業を続ける店舗はありますが、全てがそうじゃないから、夜の配車はどうしても少なめになる。そんな時は、もう早めに仕事を切り上げちゃいますが。

―うーん……。でも、ぼやきながらも案外長続きしているじゃないですか。


自分のペースや都合に応じて働ける点では悪くないシステムなので、そのメリットを活かせる環境の方ならやってみる価値はあると思いますよ。ちょっとした運動にもなりますし。

最後に、自転車で活動する場合は特にですが、長続きさせようと思ったらあのバカでかいリュックを背負わずに済ませる方法を早めに考えておくことですかね。あれ、中身が空でも結構重たいので、特にこれからの季節、長時間背負い続けていると体力と水分をすぐに消耗しますよ。

―え? あのリュックを背負わないでどうやって荷物を運ぶと?


こういうことです。

ある意味合理的ではあるが、見た目は少し無理矢理感が…



―な、なるほど……。でも、あまりカッコ良くはないですね……。


カッコ良さだけでお金にはならないので(苦笑)。
最後に配達員の皆さん、お互いに交通マナーを守って楽しく配達していきましょうね!

取材を終えて:配達員の方にエールを贈りたい。


配達員について少しは理解いただけただろうか。今コロナ禍でデリバリー・サービスを利用した方も多いと思われる。取材に応じてくれた方はもちろん、現在全国活躍している配達員の皆さんには、くれぐれも体調に気をつけてがんばっていただきたいとエールを贈りつつ、本稿を終わりたい。

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