一度は拝みたい名品が京都国立博物館に集結!特別展「皇室の名宝」に潜入

関西ウォーカー

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2020年11月23日(祝)まで、京都国立博物館にて天皇陛下の御即位を記念した特別展「皇室の名宝」が開催中。宮内庁諸機関が管理する日本屈指の名品約80件を含む約100件が、皇室ゆかりの地・京都で見られる貴重なチャンスだ。本展の見どころやその全貌をレポートする。

特別展「皇室の名宝」ポスター。宮内庁諸機関が管理する名品を宮廷で培われた文化と共に紹介している

京都国立博物館外観(撮影:北嶋俊治)


皇室に受け継がれた数々の名宝を京都で公開

この特別展の最注目ポイントは、皇室に納められたさまざまな作品を収蔵している「宮内庁三の丸尚蔵館(さんのまるしょうぞうかん)」の名だたる品々が見られること。三の丸尚蔵館の名品が東京以外の場所でまとまって紹介されるのは、史上初のこととなる。

京都国立博物館・平成知新館の3階から展示が始まる

東京都千代田区の皇居東御苑内にある「宮内庁三の丸尚蔵館」


「宮内庁三の丸尚蔵館」は平成5年に皇居東御苑内に開館し、皇室に代々受け継がれてきた歴史的価値の高い絵画や書・工芸品などの美術品類約6000点に、皇族や宮家の寄贈品を加えた約9800点の美術品類を収蔵。それらの美術品を管理・研究し、展示公開を行っている。

令和7年度のリニューアルに向けて、昨年秋に改修工事を開始。その間に「できるだけ多くの方に収蔵品をご覧いただく機会を作ろう」という思いで、この特別展の開催が決まったそう。

展示替えにより、前後期共に足を運びたくなる内容に!

本展は「皇室につどう書画 三の丸尚蔵館の名宝」「御所をめぐる色とかたち」の2つのテーマに沿って構成されている。会場の前半(2・3階)には三の丸尚蔵館に収蔵される書画の逸品が並び、後半(1階)には、かつて京都御所で行われた皇室の儀式が追体験できる、さまざまな作品や美術品が展示されている。

会期は、前期の10月10日(土)~11月1日(日)と後期の11月3日(火)~23日(祝)に分けられ、前期と後期では約7割の作品の展示替えが行われる。

喪乱帖(そうらんじょう) 王羲之(おうぎし)筆(搨本) 唐時代・7世紀 宮内庁三の丸尚蔵館 前期展示(10月10日~11月1日)

蒙古襲来絵詞(もうこしゅうらいえことば) 後巻(部分) 鎌倉時代・13世紀 宮内庁三の丸尚蔵館 通期展示(後巻は後期展示:11月3日~23日)


ちなみに展示物のうち国宝は4件、重要文化財は3件。意外に少ないことに驚くかもしれないが、それは宮内庁諸機関で管理されている作品が「別格の存在」であり、国宝や重要文化財といった文化財指定を受けていないため。格付けから離れた作品ではあるものの「教科書で見たことがある」「名前は聞いたことがある」というような、日本文化を代表する名作ばかり。関西ではめったに見られない作品が並ぶので、この機会に目に焼き付けてほしい。

平安・鎌倉・江戸時代に描かれた名作が目前に!

2・3階の「皇室につどう書画 三の丸尚蔵館の名宝」では、書や絵巻、近世絵画などを展示。

なかでも、絵巻「春日権現験記絵(かすがごんげんげんきえ)」は、鎌倉時代のものでありながら20巻のうち1巻も欠けることなく今に伝えられる極めて重要な作品。美しい色で着色された「やまと絵」と詞(ことば)が交互に描かれ、鎌倉時代の歴史や美術を今に伝える。(前期は巻三、十一、二十、後期は巻一、十五、十九と目録を展示)

春日権現験記絵 巻一(部分) 高階隆兼(たかしなたかかね)筆 鎌倉時代・延慶2年(1309)頃 宮内庁三の丸尚蔵館 通期展示(巻一は後期展示:11月3日~23日)


また、狩野永徳(かのうえいとく)や海北友松(かいほうゆうしょう)、俵屋宗達(たわらやそうたつ)、伊藤若冲(いとうじゃくちゅう)など、桃山時代から江戸時代にかけて活躍した個性豊かな絵師の作品が見られるのも本展の魅力の一つ。

源氏物語図屏風(げんじものがたりずびょうぶ) 左隻 伝狩野永徳筆 桃山時代・16~17世紀 宮内庁三の丸尚蔵館 後期展示(11月3日~23日)

扇面散図屏風(せんめんちらしずびょうぶ) 右隻(部分) 俵屋宗達筆 江戸時代・17世紀 宮内庁三の丸尚蔵館 後期展示(11月3日~23日)

動植綵絵のうち老松白鳳図(ろうしょうはくほうず) 伊藤若冲筆 江戸時代・明和3年(1766)頃 宮内庁三の丸尚蔵館 前期展示(10月10日~11月1日)

旭日鳳凰図(きょくじつほうおうず) 伊藤若冲筆 江戸時代・宝暦5年(1755) 宮内庁三の丸尚蔵館 後期展示(11月3日~23日)

浜松図屏風 右隻 海北友松筆 桃山時代・慶長10年(1605) 宮内庁三の丸尚蔵館 前期展示(10月10日~11月1日)


伊藤若冲の代表作「動植綵絵(どうしょくさいえ)」は全30幅のうち、前・後期で各4幅を展示。植物や鳥、昆虫、魚貝などが丹念に描かれた花鳥図で、生命感にあふれた迫力のある描写には吸い込まれそうな奥深さがあり、時間が経つのも忘れて見入ってしまうことだろう。

100年の時を越えてよみがえる京都御所のしつらい

1階の「御所をめぐる色とかたち」では、京都御所での即位の風景が描かれた「霊元天皇即位図屏風(れいげんてんのうそくいずびょうぶ)」や、五衣裳唐衣装束(いつつぎぬからぎぬもしょうぞく)に代表される宮廷装束、平安時代から鎌倉時代の天皇を描いた絵巻など、幅広い美術品や工芸品を展示。しばし日常を離れ、江戸時代以前の御所の様子に思いを馳せながら、その当時にタイムスリップしたかのような不思議な時が過ごせそうだ。

霊元天皇即位図屏風(部分) 狩野永納(かのうえいのう)筆 江戸時代・17世紀 京都国立博物館 後期展示(11月3日~23日)

雲紙本和漢朗詠集(くもがみぼんわかんろうえいしゅう) 巻上(部分) 伝藤原行成(ふじわらのゆきなり)筆 平安時代・11世紀 宮内庁三の丸尚蔵館 通期展示(巻替あり。この場面は後期展示:11月3日~23日)

天子摂関御影(てんしせっかんみえい) 天子巻(部分) 藤原為信・豪信(ふじわらのためのぶ・ごうしん)筆 鎌倉~南北朝時代・14世紀 宮内庁三の丸尚蔵館 通期展示(巻替あり。この場面は前期展示:10月10日~11月1日)

五衣唐衣裳装束のうち唐衣・表着 東福門院御料 江戸時代・17世紀 京都・霊鑑寺 通期展示

松喰鶴蒔絵螺鈿二階厨子飾り(まつくいづるまきえらでんにかいずしかざり) 飛香舎調度(ひぎょうしゃちょうど)のうち 江戸時代・19世紀 東京国立博物館 通期展示

御即位記念 特別展「皇室の名宝」展示室風景。「御所をめぐる色とかたち」では、天皇の后妃が暮らした殿舎の一つ「飛香舎(ひぎょうしゃ)」を飾った襖絵や調度品も展示されている


昨年秋に行われた令和の「大饗(だいきょう)の儀」の際に飾られた「令和度 悠紀(ゆき)・主基(すき)屏風」も公開されているので、こちらもしっかりと観賞したい。

主要18作品の見どころをわかりやすく解説してくれる音声ガイド(600円)が用意されているのもうれしいところ。1階にあるミュージアムショップには、展覧会公式図録(2800円)をはじめ、カレンダー(1650円)や一筆箋(550円)、A4クリアファイル(440円※すべて税込)など展覧会オリジナルグッズが並ぶので、おみやげを探しに立ち寄ろう。

オリジナルグッズが並ぶミュージアムショップも要チェック


プレスプレビューの観覧時間は限られたものだったが、時間を気にせずに1作ずつもっとゆっくり観賞したかった…というのが、筆者の本音。特に伊藤若冲の動植綵絵4幅は、まさに息をのむ美しさで、筆遣いの一つ一つまで目で追い続けたくなる衝動にかられた。

この動植綵絵4幅を含め、多くの作品が後期では展示替えになるというから、後期が始まったら、時間をしっかりとってプライベートで訪れたい。前後期で、2度訪れても十分価値のある特別展なので、ぜひ足を運んでみては。

取材・文=吉田英子

※新型コロナウイルス感染症の予防・拡大防止のため、京都国立博物館では初の試みとなるオンラインでの事前予約優先制を導入している。事前に公式サイトから「日時指定券+観覧セット券」を購入したうえで来館を。
※新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大防止にご配慮のうえおでかけください。マスク着用、3密(密閉、密集、密接)回避、ソーシャルディスタンスの確保、咳エチケットの遵守を心がけましょう。

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