遅刻になぜか好意的な声!? 前園真聖の不思議な“許される力”。言い訳せずに謝る姿勢、その背景にある“失敗からの学び”

2020年12月29日 18:00更新

東京ウォーカー(全国版)

Twitterで
シェア
Facebookで
シェア

「ちょっと、ぼーっとしていたら、ソファで目を閉じてました。びっくりしました……」

夜9時収録の仕事に、まさかの“寝坊”で遅刻。11月22日放送の『ワイドナショー』(フジテレビ系)の収録に遅刻した前園(真聖)さん。収録途中にこっそりと登場した前園さんは、MCの東野幸治さんに遅刻の理由を問われ、冒頭の言葉を述べた。

当日、このプチ騒動はTwitterのトレンド入りし、前園さん本人のツイートにも多くの反響が。ちょっと驚いたのが、その大半を好意的なコメントが占めていたことだった。47歳の大人が仕事に遅刻、しかもその理由が寝坊。松本人志さんらを始めとする番組共演者の“上手なイジり”の影響もあるだろうが、どこか、ミスや失敗を許さない風潮の強い中、前園さんのこの不思議な“許される力”のようなものについて、2020年の総括とともに本人に話を聞いてみた。

前園真聖さん撮影=阿部昌也


スポーツの重要性をあらためて感じることのできた1年

――2020年も間もなく終わりますが、前園さんにとって今年はどんな1年でしたか?
【前園真聖】今年はやっぱり、コロナの影響で、僕はサッカーですけど、スポーツが、今まで当たり前にできていたことができなくなってしまい、スタジアムに人が入れなくなるという、これまで経験したことのない1年だったなと思います。Jリーグも開幕がズレましたし、サッカーや野球など、日常に当然のように存在したスポーツがないという状況が不思議でしたし、逆にスポーツの重要性をあらためて感じることのできた1年でもありますね。スポーツって日常に根づいていたんだなということをあらためて感じました。

――仕事への影響はいかがでしたか?
【前園真聖】番組の収録なども1カ月くらい全くない時期がありましたし、収録が再開されてからも、それまでの通常どおりではなく、新しい形になっていますよね。スポーツでいえば、サッカー教室もほとんど開催できなくて、3回だけ。テレビやメディアの仕事をさせてもらっている中で、週末に子供たちと一緒にボールを蹴ることが僕のライフスタイルでもあったので、サッカーができない、ボールを蹴れない、子供たちとサッカーを楽しめない寂しさが1年を通してありました。

――選手の心境についてはどう感じていますか?
【前園真聖】今年はそういう中でシーズンが始まって、リーグ戦もとてもタイトな日程になりましたよね。コンディション調整ももちろんそうですけど、それ以外の、普段の生活も含めて今まで以上に敏感に、すごく慎重にならなければいけない中で相当なストレスがあったと思います。通常であれば、練習と試合に集中する日々の中で、一番リラックスできる普段の生活がとてもストレスのたまるもの、敏感にならなければいけないものになり、それでいてスケジュールがハード。選手にとってはかなりつらい1年だったと思います。

――リラックスできる時間が減りましたよね。オンとオフの、オフのときも気を抜けないという。
【前園真聖】そうですね。家族で出かけたりとか、チームメートや友達に会ったりとか、リラックスできる時間が従来はオフの時間なのに、それが気軽にできないという大変な1年だったんじゃないかなと思います。

【写真】前園真聖さんのフォトギャラリーを見る撮影=阿部昌也

――スポーツ界で特に印象に残っている出来事は?
【前園真聖】ほとんどの競技がなかなか始まらず、オリンピック・パラリンピックが延期になって、サッカーや野球といった、いわゆるプロスポーツの選手たちはリーグ戦が再開されて、その日々が続いて、その延長にオリンピック・パラリンピックがあるので、ある程度、リーグ戦が始まると日常が戻ってきた部分もあると思いますが、ほかの多くの競技では、4年間を集約して目指してきたものが延期になると、コンディション調整もモチベーション調整も大変なケースがたくさんあるので、それが気になっています。1年延期になったことであきらめてしまうケースもあるし、この1年延期は選手への影響がとても大きいと思います。

今は現場に戻りたいという考えはない。でも、いろいろな立場でサッカーに接することができて幸せ

――サッカーの話でいうと、今年、現役引退した内田篤人選手にインタビューを行いましたね。直接話されて、印象はいかがでしたか?
【前園真聖】ちゃんと話したのは初めてでしたが、本人も楽しんでくれたようでよかったです。現役を終えてどういう気持ちなのかが気になっていたので、まずはそれを確認しました。サッカーから離れて「やっぱり戻りたい」と感じているのか、それとも「ほっとしているのか」を聞いてみたところ、「こんな自由な時間があるなんて」と生活を謳歌していると話してくれました。長く海外でも戦って、ケガにも悩まされていたので、肩の荷が下りたところもあっただろうし、本当にお疲れ様でしたという気持ちになりました。

【前園真聖】中でも印象的だったのが、(UEFA)チャンピオンズリーグやブンデスリーガというトップレベルでプレーしてきた内田選手が、「日本と世界の差は広がった」と言っていたこと。僕自身も普段、海外の試合もJリーグも見る中で、やっぱりレベルの差を感じるところはあって、ただ、そのことをしっかりと言語化する人はあまりいないので、ああいう選手からの「レベルの差がある。逆に差は広がっている」という言葉がすごく説得力もあり、とても印象的でした。

――Jリーグを否定することではなく、世界との距離を正しく表現する言葉ですね。
【前園真聖】そうですね。もちろん、日本のサッカーもJリーグも伸びています。でも、海外も伸びているから、距離が縮まったと思いきや、縮まっていないのではと彼ははっきりと発言していて、インタビューでも内田選手の言葉としてあらためて聞きたかったことでした。

――引退直後の心境といえば、前園さん自身の引退のときはどうでしたか?
【前園真聖】僕もほっとしたほうです。すべてをやりきったというわけじゃないですけど、緊張感やプレッシャーから少し違う場所にいける。最初はすぐに戻りたくなるのかなと思っていましたが、やめると決めてからは意外とすっきりして、次の道を見つけなくちゃという気持ちになったので、引退を決めてからは全く引きずらなかったですね。もちろん、決めるまでは悩みましたけどね(苦笑)。

――内田選手から「前園さんは監督とか、サッカー界にもどらないんですか?」と逆質問もされていましたね。引退後に指導者ライセンスも取得していますよね。
【前園真聖】時間もあったのと、当時は「もしかしたらいつか」というときに資格がないと、と考えて取得しました。ただ、今は現場に戻りたいという考えはないです。生活のリズムだったりが選手と一緒になるのは、もう難しいのかなと思っていますし。でも、いろいろな立場でサッカーに接することができて幸せですし、サッカーがどこかに残っていて、という今の生活は自分に合っていると感じています。

――前園さんは現役後の選手の選択肢を広げた存在とも言えますね。
【前園真聖】そうですか?自分では全く自覚がないですけどね。幸いなことに、メディアに出させてもらって、サッカー教室もちゃんとやれていて、サッカーの番組にも携われていて、そのバランスが自分の中ではちょうどいいというか、結果的にそういう立ち位置だったのかもしれないですね。専門的ではなくても、幅広くサッカーを知ってもらえるようなことも大事かもしれないですし。

前園真聖さん撮影=阿部昌也

――9月には丸山桂里奈さん、本並健治さんの結婚披露で牧師を務めましたね。
【前園真聖】最初は、その1週間前に、マネージャーさんから「桂里奈ちゃんから重大な話で連絡がある」と言われて、「結婚かな?」と。「お相手は誰?みやぞん?」って聞いたら、「違います。本並さんです」と言われて、「まてよ、ドッキリじゃないか?」と最初は勘ぐりました(笑)。牧師を頼まれて、正直、当日まで疑っていました(笑)。

――牧師役、似合ってましたよ(笑)。
【前園真聖】僕が入ったことで、よりコント感が増してしまったみたいで、結果、みんな信じなくなったようで申し訳なかったなと(笑)。

――前園さんの活動について聞かせてください。SNSの投稿も積極的ですよね。特にインスタグラムはフォロワー11.2万人超え、コツなどはあるのですか?
【前園真聖】コツと呼べるものはないですけど、「やらなきゃいけない」という形になっていないのがいいのかなと思っています。日記みたいな感覚で楽しんでやってます。何回も撮り直したりしてますけど(笑)。ただ、SNSでつながったりとか、そういう楽しみもあるし、もちろん批判的な人もいるかもしれませんが、僕はあまり気にしていないのと、幸いなことに批判的なコメントを受けるケースも少ないですね。まだお会いしたことのない人ともつながれたり、訪れた場所の写真を載せると「僕も行きました」とか「そこの出身です」といったコメントをいただくこともあってうれしいですし、ペットもいるので、日常生活をみんなに見てもらうというか、とにかく楽しんでやっています。

――以前、2013年の“タクシー騒動”での謹慎を経て、復帰のきっかけともなった『ワイドナショー』について話をうかがった際、「あの番組に出られて良かった。松本さんにイジってもらうことで肩の荷が下りた、楽になれた」と言っていましたが、あらためて振り返るといかがですか?番組への出演も長く続いていますね。
【前園真聖】今年は遅刻してしまったので(苦笑)。

前園真聖さん撮影=阿部昌也

自分が悪いときは、子供のときと一緒で、謝る。逃げ道をつくっても、どこかでまた自分に返ってくるから

――今日はその話もうかがいたかったんです。
【前園真聖】夜9時から収録なんですけど、自宅で気づいたのがその20分前。「やばい!」と思って、家にある黒のパンツと白いシャツ、蝶ネクタイをつけて急いで向かいました。番組のスタッフさんは僕がジャージで来ることを期待していたみたいで(苦笑)。本当にあせりました。ただ、松本さんや皆さんがそれを笑いに変えてくれて…。

――メディアでも報じられましたが、SNS上のコメントには好意的なものが多かったですね。
【前園真聖】それは本当に、周りの人たちがそういうふうにしてくれている、それで助かっているだけで、番組スタッフの方や演者の方が僕をうまく扱ってくれているだけ。本当に救われていると思います。

――ミスや失敗を許さない風潮が強い中で、前園さんには不思議な「許される力」のようなものがあるなと感じています。復帰から1年ほどたった当時のインタビューで「仕事への感謝」ということを語ってくれましたが、それをずっと継続していますよね。
【前園真聖】継続というか、特に今年もそうなのかもしれませんが、当たり前のことが当たり前じゃないということを、その事件のときに自分は強烈に感じたので、継続というより、お仕事をいただいたりとか、いろいろなところに呼んでいただいたりとか、必要とされないとできないお仕事ですから、その感謝の気持ち、ありがたいという思いはずっと変わっていないんですよね。あの経験があったからだと思います。仕事が全くなくなって、誰にも信用されなくなって、信頼を回復していくためにやらなければいけないことは、うまくやるとか、いいことをするとか、そういうことよりも、与えてもらったことを一生懸命にありがたくやるということだったので、それは今も変わっていないですね。いろいろな人が動いてくれて、関わってくれているので、そういう人たちへのただただ感謝の気持ちです。ひとりでは何もできないですから。

【前園真聖】それまで当たり前にあったお仕事とかもなくなって、ゼロになって、いや、ゼロというかマイナスになりました。あの経験が僕にとってはすごく大きいです。ひとりでは何もできない。いろいろな人が支えてくれて、皆さんに応援されて自分が成り立つということが本当の意味でわかったので、それは自分の中にずっとありますよね。

――松本さんの印象についてあらためて教えてください。
【前園真聖】すごく気配りができる方で、シャイな方だと思うんですけど、番組でも、ワイドショー的なストレートなコメントではなく、自分の考えを自分なりの表現で語る。気づかされることがたくさんあるし、それでいて、厳しいところは厳しく言ったりとか、自分が出演していなかったとしても松本さんの言葉を聞きたいなと思いますね。とても勉強になるし、楽しませていただいています。

【前園真聖】もちろんマネはできないですし、自分の場合は考えて発言しようとは思ってなくて、わからないときは言葉が詰まってしまうし、いいことを言おうとか、誰かにアピールしたいとか、笑ってもらいたいとか、そういう欲はないですね。自分の言葉で、伝えたいですね。仮に言葉が詰まってしまってもいいやという気持ちで臨んでいます。

――それにしても、遅刻は衝撃でしたね。
【前園真聖】本当にあせりましたよ。僕と連絡が取れない状況だったので、松本さんや演者の皆さんを心配させてしまい、それは本当に申し訳なかったと思います。

――仮病を使えばいいのに、といったコメントもありました。
【前園真聖】でも、それ(仮病を使うこと)はなかったですね。ごまかしはないですよね。

愛されキャラが浸透、前園真聖さんの“許される力”について聞いた。撮影=阿部昌也

――でも、「寝坊しました」って、大人はなかなか言えないですよね。言い訳や取り繕うことは全くしないんだなと思いました。
【前園真聖】それは絶対にないです。それでその場をしのいでも、自分を偽っているからたぶん気持ち良くないですよね。うそや言い訳でその場をしのいでも、ずっと自分の中にもやもやが残るから、謝るべきときは謝ったほうがいいと思います。子供の頃も、ケンカして謝らないままずっとその状態が続くと、それって嫌な時間じゃないですか。最初にきちんとしたほうがいい。自分に非があることであれば、最初に謝る。それがすべてだと思います。

――ただ、怒られたくないからごまかしたり、先伸ばししようとしたりすることってあると思うんですよね。
【前園真聖】自分が悪いときは、子供のときと一緒で、謝る。逃げ道をつくっても、どこかでまた自分に返ってくるからそれはつくらないようにしています。僕の中ではその考えしかなかったです。最初の(タクシーでの一件の)謝罪のときも、取り繕うことはできなかったし、ただただ謝るだけでした。否定や言い訳をすること、その場で何かを懇願したり、お願いしたりすることはしないと決めていました。「いつか戻りたいとか」「できれば」とか、そういう言葉は出さないと決めていました。自分に非があるのであれば、とにかく謝るしかない。それ以外はないので、その場しのぎとか、その先の自分のあわよくばという願いとか、そういうことが頭をよぎるとよくないのではないかなと思います。

――今目の前にある日常が当たり前のものではない、その気持ちがずっと前園さんの中にはあるんだなということがよくわかりました。
【前園真聖】正直な話、それまでは撮影の現場などに行ってもあまり考えていなかったです。自分のことだけやって帰るというか。でも、あれ以来、ありがたみをすごく感じるようになって、技術さんとか、スタッフさんのほうが僕なんかよりよっぽど大変じゃないですか。それが、昔は見えていなかったです。

前園真聖さん撮影=阿部昌也

――今日はありがとうございました。年の瀬ですし、最後に来年の抱負を教えてください。
【前園真聖】オリンピック・パラリンピックがどういう形であれ、個人的には開催してほしいなと思っています。スポーツの世界もいろいろありましたが、観客の皆さんが声を出して応援する姿、それが選手には伝わるので、“通常の形”に早く戻ってほしいなということと、自分の抱負は特にないですけど、全国のたくさんの人にまた会いにいける年になればと思います。

この記事の画像一覧(全6枚)

キーワード

カテゴリ:
タグ:
地域名:

ページ上部へ戻る