全焼した阿倍野のベーカリーが復活!クラウドファンディングで奇跡の再起

関西ウォーカー

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谷町線または阪堺電気軌道「阿倍野駅」から徒歩すぐの場所に、2020年11月13日にグランドオープンした「Boulangerie Show(ブーランジェリー ショウ)」。

谷町線阿倍野駅6番出口から南へ徒歩1分の場所にオープン。駐車場(2台・無料)、駐輪場も完備


本来であれば現在の店舗の東側の通りで、2020年5月9日にオープンする予定だったが、オープン4日前の5月5日、近隣の飲食店による火事でもらい火に遭い店舗は全焼。オープンを断念するしかなかった。しかしパン職人の父と3姉妹は再起をかけ、インターネットで資金を募るクラウドファンディングに挑戦。目標金額の5倍を超える1千万円以上の支援が集まり、見事、復活を果たした。

阿倍野や全国からの応援で頑張ることができた

クラウドファンディングを実施した経緯や1千万円以上の支援が集まった思いなどを、3姉妹の長女でマネージャーでもある高田舞美さんに聞いてみた。

――あべのでオープンすることになったきっかけを教えてください
「父は西宮市でフランチャイズ契約のベーカリーを個人事業主として14年経営していましたが、独立して自分が思う店を作るのが夢でした。そこで私たち娘3人と一緒に、店を持つことを決意。私が住んでいる場所の近くで物件探しをはじめ、たまたま不動産屋さんに紹介していただいたのが阿倍野でした。そこから、火災をきっかけに阿倍野の方々に救われ、ご縁を感じています」

――不躾で申し訳ありませんが、火災で全焼したときの思いはどのようなものでしたか?
「火災当日、父は『早く火をけしてくれ!』と叫んでいたそうです。私はあとから現場へ駆け付けました。悔しい気持ちが一番大きく、泣き崩れました…」

(左から)三女で製造から販売までをこなす麗奈さん、3姉妹の父でパン職人歴約40年のオーナーシェフ・川端正悟さん、長女でマネージャーの高田舞美さん、次女でチーフの優里さん写真提供/Boulangerie Show


――クラウドファンディングに挑戦する経緯や苦労された点は?
「火災当日の夜、インスタでのコメントで『クラウドファンディングがあるよ』と教えていただいたのがきっかけです。初めてのクラウドファンディング挑戦で、わからないことだらけでした。ですので、知り合いの方に、実際にクラウドファンディングをやったことがある人を紹介していただき、たくさんお話を聞いて、アドバイスをもらったりしました。初めてということもあり、資金集めには苦戦しました」

――クラウドファンディングで1千万円以上も集まったときの思いは?
「まさかこんなにもご支援をいただけるとは思ってもおらず、本当にびっくりしました。阿倍野の方をはじめ、全国の方々からご支援と応援のメッセージをいただき、毎日励まされ、オープンするまで頑張ることができました」

渋皮煮マロンデニッシュ240円(税別)などスイーツ感覚で楽しめるちょっとリッチな菓子パンも写真提供/Boulangerie Show

明太子バケット248円(税別)といった総菜パンも並ぶ写真提供/Boulangerie Show


時間をかけて丁寧に仕上げる自家製の天然酵母パンが自慢

さまざまな苦難を乗り越え、多くの人の温かい支援もあって、オープンに至った「Boulangerie Show」。連日大盛況の人気ぶりだ。高田さんに、パン作りのこだわりを聞いてみた。

天然酵母パンは数種の自家製酵母を組み合わせて作る写真提供/Boulangerie Show

北海道産やフランス産の小麦を独自の配合でブレンドしてバケット用の生地をこねる写真提供/Boulangerie Show

パイやクロワッサンなどは軽快な食感になるよう、生地を幾層にも折り込む写真提供/Boulangerie Show


「天然酵母パンは自家製酵母を使用し、グリーンレーズンやバナナ、洋ナシを合わせて種をおこし、リンゴからおこした種と合わせて生地を作ります。そして中種を作り、17時間発酵後に本捏(ほんこね)を行っています。総菜パンとドライフルーツやナッツを使ったパンは、カナダ産小麦の石臼挽粉やライ麦をブレンドした生地をベースに、10種以上とバラエティ豊かに展開しています。

なかでも『クランベリーとくるみの天然酵母』320円(税別)は、クランベリーのジューシーな味わいとさわやかな甘味が特徴で、クルミのカリカリ食感がプラスされ、女性に人気の商品です。“そのままかぶりつく”のがおすすめの食べ方!1cmにスライスして、トーストしてからバターを塗って食べるのもおいしいです」

モチッと香ばしい天然酵母パンに、クランベリーの程よい酸味とクルミの食感が楽しめる「クランベリーとくるみの天然酵母」320円(税別)


【おすすめ1】幸せ気分になれるアップルパイ

個性豊かなパンの中から、高田さんに一番人気や看板商品など3種とそのおすすめポイントを教えてもらった。

まず1つ目は、一番人気の「幸せのアップルパイ」280円(税別)。香ばしいパイ生地とジューシーなリンゴとのハーモニーが絶妙だ。

「幸せのアップルパイ」280円(税別) ※現在1日200個限定


「パイ生地がとにかくザックザクです!何層にも生地を折り込み、シナモンに漬け込んだリンゴとダマンドクリームを包んで焼き上げた自慢のアップルパイです。紅茶やコーヒーとも好相性なのでおやつにピッタリです」

【おすすめ2】さっそくファンが付くほど人気のカレーパン

続いては、2番人気の「牛肉ゴロっとShowカレーパン」200円(税別)。モチッとした生地にカレーが程よく染み込み、具も大きい贅沢さが好評。

「牛肉ゴロっとShowカレーパン」200円(税別) ※現在1日150個限定写真提供/Boulangerie Show


「外はカリッと、中はモチモチ!牛肉がしっかり入ったカレーを包み込んで揚げています。生地に湯種を使用して、モチモチ食感を作り出しています。軽くオーブンで温めてもおいしいですよ」

【おすすめ3】店名が付いた自信作のバケット

看板商品は、店名を冠にした「Showバケット」290円(税別)。マイルドな風味とモチモチした食感で、毎日でも食べたい一品。そのままでもおいしいが、サンドイッチに使うのもおすすめ。

「Showバケット」290円(税別)写真提供/Boulangerie Show


「『Showバゲット』は父の自信作で、石臼全粒粉やフランス産小麦、セモリナ粉など6種を独自ブレンドし、ストレート法(※)で作り上げたフランスパンです。歯切れの良いクラスト(皮)とモチモチ食感のクラム(内側)が特徴で、優しい甘味が口に広がります」

※ストレート法とは、生地を作る工程でミキシングから成形、焼き上げまでを一気に行う製法。シンプルな製法だが、季節によって温度や湿度が変わるため、生地の扱いが難しく、長年の職人の勘が必要になる。もっちり弾力があり、小麦そのものの風味、香りの楽しめるパンに仕上がるので、フランスパンなどのセミハード系に向いている。

60~70種のパンが贅沢に並ぶ

「贅沢する幸せ」をコンセプトに、バケットといったハード系から食パン、クロワッサン、季節のフルーツをふんだんに使ったものまで、60~70種を朝から順に焼き上げる。焼き上がりの時間は、8:00からは菓子パン全般、調理パン全般、「あべの山食パン」。そして10:00頃から「贅沢『生』食パン」が並び、11:00頃には「Showバケット」、天然酵母のパンなどが揃い出す。昼12:00ぐらいに行くと、ほとんどのパンが出揃い、迷ってしまうほど豊富だ。

入ってすぐのテーブルに「幸せのアップルパイ」や「牛肉ゴロっとShowカレーパン」が並ぶ

ナッツやフルーツが入った天然酵母パンも種類豊富に

季節のフルーツを使ったデニッシュも人気

阪堺電気軌道上町線が走るあべの筋沿いにオープン


辛く厳しい試練を乗り越え、クラウドファンディングによる支援で再起を果たした。

「半年で再建できたのは本当に奇跡です。阿倍野の方たちに支えてもらったからこそオープンできたので、これからも地域密着でやっていきたいです」と高田さんは話してくれた。

取材・文・写真=下八重順子

※価格はすべて税別です。
※1月18日時点の情報です。内容は変更になる場合があります。
※新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大防止にご配慮のうえおでかけください。マスク着用、3密(密閉、密集、密接)回避、ソーシャルディスタンスの確保、咳エチケットの遵守を心がけましょう。

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