ジオラマの上で遊ぶ猫たちが呼び水…コロナ禍で窮地の店を救った保護猫との不思議な出会い

2021年4月21日 09:00更新

東京ウォーカー(全国版)

Twitterで
シェア
Facebookで
シェア

鉄道模型を枕に、だらりとくつろぐ“巨大猫”――。そんな光景が繰り広げられる大阪の飲食店「ジオラマ食堂」が話題になっている。鉄道模型を売りにしていた同店は、コロナ禍による苦境のなか、ひょんなことから保護猫を迎えることに。店内の模型で遊ぶ猫の写真をSNSに投稿したところ反響を呼び、保護猫たちはお店の新たな看板になった。そんなジオラマ食堂の一年を、同店オーナーの寺岡直樹さんに振り返ってもらった。

ジオラマを遊び場にする猫たちが話題に画像提供:ジオラマ 食堂 diorama restaurant(@Caferest_bar_Fe)


まるで特撮怪獣、鉄道ジオラマで遊ぶ猫が話題に

線路を走る汽車を前足でつっつく猫、模型の家屋を腕置きにする猫、線路上に陣取ってしまう猫。そんな猫と鉄道ジオラマとの共演が評判を呼んだのが、大阪市天王寺区にあるジオラマ食堂だ。

サラが寝ているため、列車は運休画像提供:ジオラマ 食堂 diorama restaurant(@Caferest_bar_Fe)

線路や駅はもちろん、橋梁や沿線風景まで作り込んだジオラマの中を走る鉄道模型とともに食事ができる同店。そのジオラマの一部分を、猫たちが遊び場として自由に使っているのだ。同店は猫たちがくつろぐ様子をTwitter(@Caferest_bar_Fe)に投稿。なかでも猫が線路に横たわり鉄道を“運休”させてしまった写真は6.2万いいねを数え、「猫怪獣かわいい」「そこからの眺めは絶景に違いない」と好評を集めた。

コロナ禍にやってきた「家族客」

すっかり同店の看板の1つとなった猫たちだが、お店で暮らすようになったのはつい昨年のこと。コロナ禍の最中の出来事がきっかけだった。

2005年にジオラマが楽しめる食堂としてオープンした同店。経営的には苦戦しつつも、地元の子供たちに人気を博したことから、食堂とともにジオラマを活用した児童施設も併設していた。だがコロナ禍によるあおりを受け、児童の数は半減。児童施設側で黒字を出していただけに、窮地に陥ることとなった。

6月、近所の保育園から保護した猫を引き取ってほしいと相談を受け、一匹の子猫を引き取ることに。シンバと名付けた子猫との生活がはじまってすぐ、今度は一匹の成猫が店の中の様子をうかがうように姿を現すようになった。その様子からシンバの親猫ではないかと思っていた矢先、店のそばでその猫の3匹の子供を発見。シンバの兄弟を一緒に過ごさせたいと思った寺岡さんたちは、母猫と子猫たちを店で保護することに決めた。

ジオラマの外でも家族は仲良し画像提供:ジオラマ 食堂 diorama restaurant(@Caferest_bar_Fe)


最初の一匹に「ライオン・キング」にちなんで「シンバ」と名付けたことから、子猫3匹を同作のキャラクター「ナラ」、同じくライオンが主人公の作品である「ジャングル大帝」にちなみ「レオ」「ライア」(※ジャングル大帝のキャラクターは「ライヤ」)と命名。母猫には「サラ」と名付けた。

動物病院で伝染病の検査やワクチン接種をした後は、しばらく3段ケージで過ごさせていたものの、母猫サラは野良猫歴が長く人に慣れていないため、子猫とはケージを分けていた。寺岡さんは、親子をケージ越しであっても触れ合わせたい、そして成長盛りの子猫の行動範囲を少しでも広げてあげたいという思いから、壊されてしまうことを覚悟で子猫たちにジオラマを含むスペースを開放することに決めたという。

猫たちへの反響が希望に。そして市の許可を受けた猫カフェ風に

くぐれるかな?画像提供:ジオラマ 食堂 diorama restaurant(@Caferest_bar_Fe)

子猫たちはすぐさまジオラマを遊び場とし、動く鉄道模型をおもちゃにするように。母猫のサラも人に慣れ、ジオラマにも姿を現すようになった。その様子をTwitterをはじめ、FaceBookやYouTubeなどSNSをフル活用しネットに公開。その光景に癒やされた人たちから多くの反響が届いたことで、「コロナ禍で疲弊していた時期の希望になった」と寺岡さんは話す。

Twitterのフォロワーは1.5万人を越え、昨年の50倍に。日本だけでなく海外のユーザーからもコメントが寄せられることもあるという。さらに反響はネット上に留まることなく、テレビや雑誌でも取り上げられ、ジオラマ食堂の名は瞬く間に全国に広がった。店のことを知った猫愛好家から、病院用にも使われる消毒装置なども送られたという。

トンネルの中に興味津々画像提供:ジオラマ 食堂 diorama restaurant(@Caferest_bar_Fe)


だがその裏では、再びピンチが訪れていた。寺岡さんはあくまで保護猫たちを遊ばせる場所として店内で過ごさせていたものの、そこに大阪市からの指導が入ったのだ。

「営業中、猫をお客様と戯れさせたり見せたりすることは、動物愛護法の「展示業」にあたり、それまでの状態は違法だと言われたんです。大阪市の方からも丁寧に教えていただき、これをクリアするには動物取扱責任者が常駐する必要があることを知りました。また、獣医師などの専門職以外でその条件を満たすには、ペットショップや猫カフェでの半年以上の実務経験が要ることが分かったんです」

実務経験がなかった寺岡さんは、資格を持つスタッフを募集することに。内心では難航すると思っていたが、募集をはじめた翌日にはかなりの応募が寄せられ、その中からすぐさま採用が決定。ジオラマ食堂は晴れて“猫に会える食堂”となった。

営業再開直後のコロナ第4波も…変わらずSNSは投稿

猫山脈!画像提供:ジオラマ 食堂 diorama restaurant(@Caferest_bar_Fe)

3月からお店は時短で営業を再開。さらにYouTubeの動画投稿が収益化され、猫たちのおかげで新たな収入源を得ることにもなったという。

「3月から時短で営業を再開して以来、毎日全国からお客様にお越しいただけるようになり、信じられないほどうれしいです。コロナ禍でお金もないなか、猫家族からいただいたご縁、全国から来る反響や贈り物、感謝にたえません」

4月現在、ジオラマ食堂の営業時間は月曜日から土曜日が17時から21時まで、日曜日は12時から21時まで、祝日は15時から21時まで営業している。同時に、SNSで日々の様子も投稿し続けている。大阪ではコロナ第4波として感染が拡大している今、会いに行くのは難しいが、コロナ終息後はぜひ猫たちとふれあいに同店を訪れてほしい。

この記事の画像一覧(全36枚)

キーワード

カテゴリ:
タグ:
地域名:

おでかけ・旅行に関する動画

特集

ページ上部へ戻る