「ラ・ラ・ランド」が、ら・ら・ら・ラン!と公開中
関西ウォーカー
関西ウォーカーの誌面で紹介する演劇作品以外にも「観てほしい」「観るべき!」という作品を、私、演劇ライター・はーこがレポートするWEB連載「はーこのSTAGEプラス」特別編をお届け!
今回のタイトル、なんのこっちゃ、と思うでしょうが、そんな感じのご機嫌な作品です。アカデミー賞で、監督賞(デイミアン・チャゼル)と主演女優賞(エマ・ストーン)ほか、最多6部門に輝いた「ラ・ラ・ランド」。この「LA LA LAND」って、ロサンゼルス(L.A.)、主にハリウッド地域の愛称だそう。素敵ね。ミュージカル映画だけど、「レ・ミゼラブル」や「オペラ座の怪人」みたく、全編歌って踊って、な作品ではありません。主演2人の感情のおもむくまま、自然ない~い感じで、歌やダンスが盛り込まれてます。
【見どころ1:オープニング】
なんと言っても高速道路の大渋滞から始まるオープニング。車の中の人たちが続々出てきて、ボンネットの上を飛び跳ねるわ、踊りまくるわ、スケートボードも空飛ぶわ。めっちゃ、ご機嫌でカラフル。そして、“え?この群舞、ワンテイクで撮られてるやん!”“え?このダンス、「ウェスト・サイド・ストーリー」の振付やん!”って、気付いてからは気になる部分多し。楽しい、でも、これって…思い出してるヒマなく、楽しい(笑)。このオープニングで、女優志望のミアと売れないジャズピアニストのセバスチャンが、ニアミス的に最悪の出会い。“もう、このオープニング、もう1回見せて!”って言いたいぐらい。ツカミ、最高です!
【見どころ2:物語】
ものすご~く丁寧に2人の恋が描かれてる。そうそう、こうやって2人の思いが徐々に寄り添って、恋に育っていくのよね~って感じで。デートの場所も、映画館、路面電車、街の夜景が美しい丘とか。プラネタリウムのシーンでは、星空を背景に宙乗りでワルツを踊るのよ。な~んてロマンチックなんでしょ!(やってる方は大変でしょうけど)カップルになった幸せいっぱいの2人は、互いに互いの夢を応援する。でも、セバスチャンが意に沿わないままバイトで入ったバンドが売れてしまい…ってところから2人の間に不協和音が…。
夢を抱えてロサンゼルスに出てきた2人の設定はよくあるけど、生活している背景はリアルな“今”。クラシックな懐かしさと今が、絶妙なバランスで混在してる。それは物語だけでなく、この映画全体がそう。古典的なミュージカルのように、全編に色があふれる映像とか、逆に新鮮に映る。
【見どころ3:音楽と歌とダンス】
デュエットダンスは60年代のMGMミュージカルとか、ウディ・アレンの「世界中がアイ・ラヴ・ユー」を思い出すシーンとか、振付もジェローム・ロビンスやフォッシー的なタップダンスとか。ミア役のエマ・ストーンは、14年にブロードウェイで「キャバレー」(サム・メンデス&ロブ・マーシャル共同演出)のサリー・ボウルズを主演した人。その歌の迫力、スクリーンを通して伝わってくる。ミュージカルファンは見逃せない。
で、ミュージカル映画なんだけど、音楽の肝はクラシカルジャズ。セバスチャンが弾くオリジナル曲が、と~ってもいい。そのフレーズが、2人の人生ドラマの要となる。ジャズ好きも絶対に見逃せない。セバスチャンを演じるライアン・ゴズリングは、3か月でジャズピアノを習得。手元アップも代役なし。素晴らしい。
【そして監督の愛】
古きよき映画とミュージカルとジャズを愛するデイミアン・チャゼル監督が、そのオタク度を最大限に発揮し、それらへのオマージュを巧みにコラージュして作り上げた作品。監督のあふれんばかりの愛が、スクリーンを通してこちら側に伝わってくる。トム・ハンクスはじめ、多くのエンタメ界の人たちが賞賛。確かにこの映画、悪いところが一つもない。
ただ、きっともっと長尺だったのじゃないかな。カットされたのでは?と思われる、本編の向こう側にある、2人と周囲の人たちとのドラマが気になる。ラストは、もう少しだけ丁寧に見せてほしかった。2人の感情の余韻に浸っていたかったから。いつか、この作品とまた会えるような気がする。今度はきっと舞台で、ね。
取材・文=高橋晴代(はーこ)
高橋晴代(はーこ)
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