福寿園の“茶匠”が語る新しい伊右衛門「伝統を守るだけでは衰退していく」
東京ウォーカー(全国版)
ひとつ上の味わいを目指し、緑茶飲料「伊右衛門」が大幅リニューアルされた。
サントリー食品インターナショナル株式会社は、味わいやパッケージを変更した新しい伊右衛門を3月7日(火)から発売開始。福寿園の茶匠が厳選した国産の一番茶の使用量を従来の約2倍に増量し、「深蒸しタイプの一番茶」の味わいを実現させている。
京都の老舗茶舗「福寿園」で3人しかいない“茶匠”の1人である谷口良三氏は、新しい伊右衛門の味わいについて、「一口含めば、最初に爽やかさが口のなかに充満する。口のなかに温かさが出てくると、コクと旨みを感じることができ、最後にフルーティーな香味を感じることができます」と解説する。

味わいの大きなポイントとなっている伊右衛門の茶葉については、谷口氏が2004年の発売当初から茶葉品質の監修を務める。五感を研ぎ澄ませ、茶葉を一目見ればどのように育てられてきたのかがわかる技術による官能審査、目利きで茶葉を見極め、最適なブレンドを施してきた。
今回の新たな味わいについても、「自分の欲しい茶葉を届けてくれる」という調達先との信頼関係のもと、「品質に合わない原料は使用しない」という厳選された良質な国産茶葉の安定供給によって実現させた。
「ひとつ上の、伊右衛門。」がテーマとなり、味わいが向上されているものの、価格は525mlペットボトルで税別140円。茶葉のコストについては、「かなり上がっている」と谷口氏は明かすが、「怖いのはコストを意識するあまり“おいしくない”と言われること」と続けた。
「コストが上がってもよりおいしいお茶を使ってお客さまに評価を頂き、販売量が増えれば十分にカバーできるのではないか、という思いでつくっています」という心意気を見せる。
急須で淹れたお茶からペットボトルのお茶の利用に移行が進む現代。創業227年目の老舗にとっては苦しい潮流かと思いきや、「時代の流れからは逃れられない。ただ、ペットボトルのなかに急須で淹れたお茶の味わいのおいしさがあれば、それはそれでいいのではないか。一方で、それをきっかけにリーフのお茶も飲んでいただければ」という見事な順応ぶり。

谷口氏が「福寿園の歴史を辿っていっても、革新は必要」と語る通り、寛政2年(1790年)の創業以降、アメリカ向けの茶葉輸出や京都駅に直営店を開き卸売りに加えて製造直売を行うなど、時代に合わせた転換を経てきた。
「伝統を守るだけでは衰退していく。伝統のなかにも時代に合った革新は必要で、それにより企業は発展していくだろうと思う」という言葉を体現してきた老舗茶舗の歴史が、日常の緑茶飲料に高級さを感じさせる一本を生んだ。【ウォーカープラス編集部/コタニ】
コタニ
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