これがホントの「4℃のネックレス」!アンチコメントもTシャツにする尖りまくった作品がSNSで話題に

東京ウォーカー(全国版)

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昨年のクリスマスシーズンにTwitterで白熱した、“4°Cのネックレスプレゼント論争”から着想を得た作品がTwitterで20万以上の“いいね”を獲得するなど、作品を生み出すたびに大反響を得ている南村杞憂さん(@jocojocochijoco)。その作品の数々は、思いもよらないエッジの効いたものばかりだ。

今回は南村さんに、話題になった作品のエピソードや制作裏話などを聞いた。

透明な位牌を手に持つ南村杞憂さん


「透明」に宿る儚さと力強さが魅力の作品たち

幼い頃からものづくりが好きだったという南村さんが大学生の時に出合ったのが、「デジタルファブリケーション」。3Dプリンタを使い、デジタルデータをアクリル板や金属などの素材から切り出して成形する技術のことだ。

「透過銃」。銃には南村さん独自の言葉の羅列が。何が書かれているか、知っているのは南村さんのみ


「恋人に『デジタルファブリケーションの無料体験に行こう』と誘われたのですが、誘われた私のほうがハマってしまいました(笑)。もともとは刺繍などの作品を作っていたのですが、デジタルファブリケーションによって扱える素材が増えたことと、透明のものが好きだったこともあり、アクリル板を使った作品を作り始めました」と語る。

「お気持ちソックス」は、足元から気持ちを伝えられる靴下。「チクチク言葉です。刺繍だけに」と南村さん


そんな南村さんの代表作の1つが「エビデンサック」。「エビデンス(根拠)で殴る」という言葉と「メリケンサック」を掛け合わせた作品だ。2020年2月にTwitterに投稿したところ、2.6万の“いいね”がつく大好評だったそうだ。

「これは完全に思いつきです。『エビデンスで殴る』というネットミーム(ネット上で流行する言い回し)を元ネタに制作しました。言葉遊びが好きなので言葉から着想を得て作品にすることが多く、この作品もその1つです」

「エビデンサック」。透明性は高いが、脆いので実践には不向きだそうだ



Twitter上での討論から誕生した「4°Cのネックレス」

南村さんの作品史上、最も話題となった作品が「4°Cのネックレス」だ。もともとは2020年のクリスマスシーズンに、Twitterで「30代の女性に『4°C』のアクセサリーを贈るのはどうなのか」という討論が始まり、トレンド入りするほど白熱する事態に。この議論を見た南村さんは、またもや「完全に思いつき」で独自の「4℃のネックレス」を作成。Twitterに投稿したところ、24.6万の“いいね”がついて一躍有名に。

「4°Cのネックレス」。道で見かける温度表示板を模したデザインが秀逸

ズラリと並ぶ「4°Cのネックレス」たち。小さいが、どこまでもリアル


このあとも南村さんの勢いは止まらない。この作品のツイートに「それ、本気で面白いと思ってるん?」とコメントがついたのだが、なんと南村さんはこのコメントも「クソリプTシャツ」という作品にしてしまったのだ。こちらも反響を呼び、実際にコメントをした人はこのTシャツを購入したという。

「クソリプTシャツ」。「自分へのアンチコメントは『おもしろく消費してやろう』という魂胆がありました(笑)」と南村さん


南村さんの作品は、オンラインショップで購入することが可能だ。なかでも人気なのが、SDカードをモチーフにした「データリング」、ひらがなを指輪にした「指乗りひらがなリング」などのアクリル製リング。「金属アレルギーの人から『アクリル製のリングはとてもありがたい』というコメントをいただいています」と話す。

「データリング」。「誰かに贈ると記憶に残るプレゼントになるそうです」と、おすすめの1作だそうだ

「指乗りひらがなリング」は、「あ」の字がついた透明な指輪。「ひらがなを懐かせることができます」


アクセサリー以外で人気なのが「ちび透明位牌」。南村さんが独自に編み出した「名前文字化け戒名」をリクエストする人も多いそうだ。

「ちび透明位牌」。位牌に刻まれる戒名はすべて文字化けされたもの。この写真の戒名は南村さんの名前だそうだ


「真面目にふざける」を大切に、さまざまな事象を調理する

南村さんの作品は、「モンティ・パイソン」の精神性から影響を受けているという。モンティ・パイソンとは、約50年前に大ブレイクしたイギリスのコメディ・グループ。ブラックジョークを得意とし、政治や宗教、哲学などさまざまなトピックを扱ったシニカルなコントが有名だ。

「モンティ・パイソンのスタンスから影響を受けつつ、あらゆる事象の前で一歩引いて立ち止まって、『これはどうやったら作品として調理できるか?』を常日頃から考えています。『真面目にふざけて作る』がモットーですね」と笑いながら話してくれた。

「Sit On My Face」。手先が器用な南村さんはEL管の工作も得意だという

「簡易詩情発生装置」。光に照らすと「46」という数字がおぼろげながら浮かんでくる


南村さんに今後の作家活動について聞くと、「自分の作品を売って稼いだお金で、美大や芸大に通うことが目標です。専門的に芸術を学んだうえで生み出す作品は、さらにメッセージ性が上がるのではと考えています。いつか必ず、『アウトサイダー・アート』や『Twitterバズらせ野郎』では済まないところまでたどり着きたいですね(笑)」と、レベルアップへの意欲を見せた。

2021年4月には講談社主催のオーディション「ミスiD 2021」で、世界を常にエッジから問いかける人に与えられる賞「Edge!賞」を受賞した南村さん。これからの作家活動にさらに磨きがかかり、キレが増すこと間違いなし!

取材・文=越前与

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