中田英寿がシェアしたい“日本の新たな価値”「歴史ある建築物が”会員制ゲストハウスに”『沼津倶楽部』」

2021年6月2日 11:00更新

東京ウォーカー(全国版)

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中田英寿氏が47都道府県を旅して出会った日本の「わざ」と「こころ」。日本のことを知るために47都道府県を巡る中田氏の旅は6年半におよび、移動距離は20万キロになった。その間、訪れた地は約2000に。そこで中田氏は、現地に行かなければわからない、素晴らしき日本があることを知った。

ウォーカープラスでは、中田氏の「に・ほ・ん・も・の・」との共同企画として、珠玉の“にほんもの”をお届けする。

中田英寿
「全国47都道府県の旅で出会ったヒト・コトを、”工芸芸能・食・酒・神社仏閣・宿”に分けて紹介。日本文化を多くの人が知る『きっかけ』を作り、新たな価値を見出すことにより、文化の継承・発展を促していきたい。」

「日本文化を多くの人が知る『きっかけ』を作り、新たな価値を見出すことにより、文化の継承・発展を促していきたい」と語る中田英寿氏


静岡県の東部に位置する沼津市は、伊豆半島のちょうど付け根の部分にあたる。日本一高い富士山と、日本一深い湾・駿河湾に囲まれたこの土地は、まさに自然の宝庫。気候が穏やかで、年間の半分以上は晴れるということもあり、観光名所としても有名だ。沼津駅から車で10分ほど進むと、先ほどまで市街地だったとは思えない静かで穏やかな空間が現れる。それが、沼津有数の宿「沼津倶楽部」だ。

もともとこの宿は1907年にミツワ石鹸二代目社長・三輪善兵衛が沼津市から約3000坪の土地を借用し、千人茶会を行なえるような美しい建物をつくるために設計されたといわれている。第二次世界大戦中には、将校たちの休息所となり、戦後は政治家が集まり話し合いの場としても利用された歴史ある建物だ。2006年秋には、老朽化の進んだ建物を改修するとともに、建築家・渡辺明氏の設計による新館宿泊棟が増築され、会員制ゲストハウス「千本松・沼津倶楽部」として再興された。

沼津有数の宿「沼津倶楽部」


そんな歴史ある沼津倶楽部だが、その中でも和館は、国の登録有形文化財にも登録され、名匠の技術が訪れる者を魅了する幻想的な空間となっている。

屋久杉をはじめとするさまざまな銘木を組み合わせ、独特の削り痕による美しい模様をつくりあげた「なぐり仕上げ」や、細い板材を編み込んだ「網代天井」「竿縁天井」などの伝統的な手わざによる仕上げによりほどこされた室内は、まさに匠の技のショールームと呼んでも過言ではない。現在はレストランやライブラリーとして使用されている。

【写真】国の登録有形文化財に登録された和館


和館に向き合うように佇む建物は、渡辺明氏の最後の作品としても有名だ。建築の外壁は富士川の砂と土を積み重ねた「版築」という技法を使用し、自然の持つ表情を意匠として取り入れている。また、屋根には吉野杉が並べられ、客室のひさしから見える粒ぞろいの断面に思わず見惚れてしまうほど。こうした随所に点在している匠の技も見逃せない。

それぞれの客室は、全8室。2階部分に寝室を配したメゾネットタイプの部屋や、1階に小上りを配した眼前に水盤を望む落ち着きある和室、リビングスペースと独立したベッドスペースを持ち専用の露天風呂が魅力的な洋室スイートなど、バリエーション豊かで、どれも和の伝統とモダンが融合した心地よい空間となっている。

和の伝統とモダンが融合した心地よい空間


旅の楽しみでもある食事は、「走り・旬・名残」を意識した、栃木産の和牛や沼津港直送の新鮮な魚介など、和食をベースにしたモダンなコースとなっている。歴史的な数寄屋造りの建物のなかで、四季折々のこだわり抜かれた料理の数々に酔いしれたい。

宿の近くには、黒松が多く見られる千本松公園や若山牧水の歌碑や井上靖の文学碑などもある。コースマップを片手に、森林浴を兼ねて潮風の中を散策しながら、沼津を愛した文学者の足跡に触れてみるのもおすすめだ。『沼津』という地にまた訪れたくなるような、心も体も癒やされる極上の宿がそこにある。

沼津港直送の新鮮な魚介料理

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