水どうD陣×佐久間P「テレビ対YouTubeくだらない」、“面白い番組”本質を語る

2021年5月28日 18:00更新

東京ウォーカー(全国版)

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(左から)藤村忠寿氏、佐久間宣行氏、嬉野雅道氏

「水曜どうでしょう」の番組ディレクター藤村忠寿と嬉野雅道と、元テレビ東京プロデューサー佐久間宣行の対談が、WEB番組「水曜日のおじさんたち」で実現した。この日が初対面だという3人は、番組内で佐久間が会社員を辞める決断をした背景や、コンテンツづくりへの考え方などテレビマンならではのテーマで激論を繰り広げた。テレビのみならず、ラジオやYouTubeなど、年々活躍の幅を広げる3人へ、それでもなお“テレビマン”であり続ける理由やテレビに対して思うことについて、番組終了後に独占取材を行い、存分に語ってもらった。

お化け番組を作った3人の共通点、タレント的発信力をもったテレビマン

藤村忠寿氏(左)と嬉野雅道氏(右)

北海道のローカル番組「水曜どうでしょう」を日本中から愛されるモンスターコンテンツに成長させた藤村・嬉野、「ゴッドタン」や「あちこちオードリー」などの名番組を生み出した佐久間の3名には共通点も多い。それぞれテレビに軸足を置きつつ、YouTubeやラジオ、書籍など、あらゆるメディアで活躍の幅を広げていること。

藤村と嬉野は在籍するHTB(北海道テレビ)のYouTubeチャンネルの登録者数が9万人弱なのに対し、「藤やんうれしーの水曜どうでそうTV」はチャンネル登録者数約40万人。さらにいうと、フジテレビ公式チャンネルは28.6万人登録(5月時点)であり、東京のキー局の公式チャンネル以上の登録者を、地方局のいち社員が抱えているということになる。

佐久間は「オールナイトニッポン0」でパーソナリティーを務め、イベントを実施するとチケットが1万枚以上売れるという異質なテレビプロデューサーだ。いち会社員である佐久間がテレビ東京を退社することがニュースになったのも記憶に新しい。3人には、テレビマンでありながらタレント的活動をしており、個人の発信力を持っているという共通点がある。

まず、お互いの印象を聞いてみたところ、「思考や目指している方向性、何かを作ろうという気持ちは一緒なので、どんどん話をしてみたくなったね。すごく刺激を受ける人で、なるべく長く話したくなってしまって、90分あっという間だったな」(藤村)、「ずっとそばにいてほしい人だな、仲間になってほしい(笑)」(嬉野)と回答。

【写真】佐久間宣行の登場に沸くニコニコ視聴者コメント


一方、もともと「水曜どうでしょう」を見ていたという佐久間は「ずっとテレビで見ていたので“本物だ”という感じでしたね」と感慨深そうに明かした。番組内では、嬉野から「『水曜どうでしょう』のおもしろさってなんですか」と聞かれ、「(水曜どうでしょうから)マネできるところがないかなと何度も見返しました。でも、“ただのおもしろいおじさん4人”だったと気づいてからは、マネするのを諦めました(笑)」と答える一幕や、さらに「『水曜どうでしょう』は、本来編集で捨てるべきところだけで構成された番組」と、その異質さを分析してみせた。

「テレビじゃない仕事」をやる理由

(左から)藤村忠寿氏、嬉野雅道氏、佐久間宣行氏

活躍の幅を広げていく3人だが、テレビのディレクター・プロデューサーとしての肩書きで紹介されることが多い。この「テレビの仕事とテレビ外の仕事のバランス」を3人に聞いてみると、あくまでも軸足はテレビにあるという。

「根っこの部分では、テレビ番組を作る人である、とずっと思っています。いろんな人に無料で届く、知らない人にも偶然届くという“コンテンツとの出会い”があるテレビがすごく好きです。有料番組にはない偶然性は、テレビならではだと思っています。だから、多くの人に届けられるテレビのコンテンツを作りたいという気持ちがブレることはないですね。ただ、もっと珍味で少人数の人にしかわからないであろうけど、自分が作りたいものを作りたいという気持ちもあります。だから、テレビ東京の番組だけでなく、いろいろなお仕事をやらせてもらいたいなと独立したんです」(佐久間)

一方、藤村は「人で成り立っているテレビの仕事が好きなんだよね。始まりは、アルバイト先がテレビ局だったから入社しちゃっただけなんだけど、僕はこういう、人と人で作っていくモノが好きだったんだなって今になって思う。YouTubeを始めたのは若い人たちからすすめられたからだし、舞台をやったのは大泉洋がいた劇団と繋がっていたから。結局、テレビだろうと、YouTubeだろうと人がいるなかで生まれるコンテンツが好きなだけだよ。それがテレビだったり、今の活動につながっている」と分析。

これを聞いた嬉野は「藤村くんは表舞台にいるとか、裏にいるとか意識せず、おもしろいことをやっているもんね」と納得してみせた。

「テレビ VS YouTube」論争はくだらない

嬉野雅道氏

YouTubeやライブ配信アプリなどの広まりにより、個人が容易くメディアを持てるようになった昨今。メディアでは頻繁に「テレビ離れ」が叫ばれ、ネットの動画コンテンツがもてはやされがち。しかし、その一方でテレビで活躍している芸能人がYouTubeに参入する流れが一気に加速し、「テレビに出る人たちのすごさ」が再評価されている風潮を3人は次のように語ってくれた。

「インターネットがインフラとして定着したから、それは人気者も入ってくるよなぁと思いますね。テレビがダメだと言われるのは、単純に“テレビが不便”な結果、場所や時間を選ばずに楽しめるインターネットに流れているだけだと思うんですよ。僕はコンテンツの力や番組のおもしろさは、今でもテレビの作り手が作るものが日本だと一番レベルが高いと思っています。昨年、日本テレビが試験的にインターネット同時放送をしていたのですが、それが定着すればYouTubeとのバランスは解消されると思います」(佐久間)

一方、藤村は「YouTubeも狭いと思うんだよね」とぼやき、次のように続けた。

藤村忠寿氏


「おもしろいものを作ったら、世界中の人がそれを見れるシステムがあることが理想だね。YouTubeをやる人が増え続けて、登録者数や再生回数が増える手法が浸透していっているのを見ると、結局、テレビ民放6局がやっていたような狭い世界での争いを繰り返しちゃう気がする」(藤村)

これを聞いた佐久間は「たしかに、数字獲得のゲーム理論になってしまうと、おもしろさは半減しちゃいますよね」と同意した。

「テレビ離れ」と捉えてはいないと話す両者。藤村は「テレビがちょっと扱いにくい機械になっちゃったっていうだけの話で。僕も佐久間さんも、話しているのはずっとコンテンツの中身の話なんだよ」とまとめ、嬉野、佐久間も頷いた。

「本当に面白いもの」はなんなのか? 入れ物を語るのではなく“コンテンツの中身”を追求したい

佐久間宣行氏

「テレビ離れ」を実感していないと明言しつつ、多様なメディアのコンテンツづくりに取り組む彼らの本質は「おもしろいものを作る」ことだという。

「歳をとったときに、自分がおもしろいと思ったものが売れていてほしいなって思うんですよね。僕が自分の番組におもしろいと思った劇団とか、おもしろいと思った人たちを知名度問わずに呼ぶのは、そういう理由です。かつて福島の片田舎で、おもしろいのを見るのが好きだったいち少年としては、『応援しないとこのバンド解散しちゃう』みたいな、そういうのに近い気持ちが未だにいろいろなことに対してあるんですよ。テレビの番組でも、YouTubeでも、おもしろい人たちに対価があって、続いてくれた方が引退した後も楽しいよなって。それがゴールですね」(佐久間)

「とりあえず、テレビが強いのかYouTubeが強いのか、広告費がどうなのかって言ってるのはもうやめた方がいいよね。何がおもしろいのかちゃんと見ようよ、ということは伝えたいな」と藤村。これを聞いて嬉野が「ガワで語ってほしくないということだよね」と賛同すると、藤村は次のように続けた。

「ラジオもYouTubeも芝居もテレビもやっているけど、テレビはおもしろい、おもしろくないってガワでとらえないもの。もうそれ、そろそろやめないと衰退するよ、本当におもしろいものを見極める力が、みんななくなっちゃう気がする」

これを聞いた佐久間は「ガワで語った方が簡単だし、おもしろさの本質に関するセンスが試されないのでラクですけど、今こそ本当におもしろいのは何かを語りたいですね」と納得し、この日の対談は終了した。

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