サッカー選手の進化のヒントは「左右の目」の使い分け?“究極の気づき”を与える中西哲生の本質的指導法とは

東京ウォーカー(全国版)

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2020〜2021シーズンを中西(左)とのパーソナルトレーニングで始動した久保建英選手(右:レアル・マドリード所属、現在ヘタフェにレンタル移籍中)画像引用:Instagram/n14method

元プロサッカー選手・中西哲生は、スポーツジャーナリストとしての活動だけでなく、トッププロに指導する“パーソナルコーチ”としての顔も持っている。そんな中西が「“第二の久保建英”を発掘する」をテーマにしたプロジェクト 『N14 サマーキャンプ』 を実施する。

“パーソナルコーチ”と聞いて思い浮かぶのは、フィジカルコーチやトレーナーといった領域だろう。実際にプロでありながら個人指導を受けている選手の多くは、自分の身体面のケアや向上がその目的だ。だが、中西は自ら考案した『N14 中西メソッド』を、サッカー日本代表・長友佑都や久保建英といった一流の選手たちに授けてきた。そして現在、中西は選手の技術に特化した個人指導を主にプロを対象に継続している。

年齢は関係なく、技術は成長する!

中西は日頃から「断言します。年齢は関係なく、技術は成長します。技術への概念を変えられる、と言ってもいいです」と強調している。

その中西が今回、自身の『N14 中西メソッド』を育成年代の子供たちに指導する『N14 サマーキャンプ』を開催。これは、選抜された小学3年・4年生と、5年・6年生とともに、実技あり座学ありの3日間を過ごすというもの。

中西は本キャンプについて「僕は選手に答えは伝えません。僕の指導を受け、理解し、そこから選手がどう自らの答えを見つけるか。その一連の方法や重要性を、今回子供たちには体感してもらいたいです」と説明。

では、中西の指導方法は具体的にどんなものなのか…?現在レアル・マドリードの下部組織に所属する“ピピ”こと、中井卓大に実施したレッスンから紹介する。

中西は、中井がグラウンドに出る前に30分もかけて「左右の目の動き」や、股関節など関節の動きを細かくチェック。その後は、身体を横方向に動かしながらボールをタッチする練習、上半身と下半身の動かし方を細かく指導した。

さらに軸足抜き、蹴り足着地のフォームでインカーブ軌道のボールを蹴り、終盤にはアウトカーブのボールも蹴り込んでいった。中井は「キックにも目の動きが関係しているなんて、これまでまったく気にしていなかったですよ」と充実感を語った。

技術向上に必要だった、目の動き

【画像】世界的ビッグクラブ、レアル・マドリ―のアカデミーに所属し、トップチームの練習にも参加している17歳のMF中井卓大選手(左)と中西(右)画像引用:Instagram/n14method

意外な指導法に中井は「テーマは、目線だったんです。もちろん身体の動かし方やフォームの指導もありましたが、今日はとにかく目、でした(笑)」とサッカーでの目線の大切さを痛感。

続けて中井は「自分が顔を横に振って肩よりもさらに背後を視野に入れるときには、右に向いたなら右の黒目を右隅にグッと寄せるんです」と学んだ。そうして「徐々にはっきりと見えるようになって、このトレーニングは驚きでした」とコメントした。

元スペイン代表・シャビに代表されるように、中盤の選手の首振り回数の大事さは知られている。目の動きを意識することで、視野の確保が変わってくるのだ。

中井は「たとえば、僕はこれまで左背後を見るときに右目で捉えようとしていたんですよ。でもそうではなくて、左方向を見るのであれば、左の黒目を左隅に入れる。そうすれば右目では捉えられない位置まで背後が見えるようになります」と学んだ内容を告白。

練習でその点が上達し「背後の視野が、グッと広がります。これ、360度視野でプレーするトップ下とかボランチの選手にとってめちゃくちゃ有効です」と感激した。

さらにインカーブ、アウトカーブのボールを蹴り込んでいた練習でも、目がテーマだった。

「右足で蹴るときは、右目で足元のボールを捉えて、左目はゴール方向を向く。それで足を横から入れてインパクトして、軸足を抜く。今日は目線が先にボールの軌道を追ってしまったときは、シュートがクロスバーの上にいってしまいました」

中西は中井に右足のキックを何度も蹴らせていた。そこにも目が関係している。

「右足キックは左目でゴールを捉えないといけないのに、僕はどうしてもまだ右目で捉えようとしてしまって顔が上がり、身体が開いたシュートフォームになってしまいました。いやぁ、テツさんのトレーニングはホンマに奥が深いです(笑)」

ピピの“言語化力”。そして指導の因果関係

中西は、中井がいま抱える課題を見抜いて最適なトレーニング法を授けた。しかも、単なるテクニック法などではなく、身体の仕組みや動かし方とリンクさせた論理的なアプローチだった。

中西から指導を受けたことで、中井は自らのプレーや課題を言語化できるようになった。中西が非常に整然かつわかりやすく人に伝えることで、指導を受けた側も、学んだものをしっかり自分で理解し、咀嚼し、吸収できるのだ。

中井は「僕なんて、(中西)テツさんの練習をスタートして、はじめは何もできなかったですから。久保(建英)くんと話したときも『はじめは全然できなかった』と言っていました」と回想。

また、中井はこれまでの中西との日々を「正しいプレーフォームを意識する。これもテツさんから学んだ大事なことです」と振り返った。

中井が中西の指導を受け、成長と課題克服を経てスペインに戻ると、レアルのコーチが目を丸くすることもあるという。

このトレーニングから中井はレアルに戻ると、シーズン終盤にはジネディーヌ・ジダン監督(当時)率いるトップチームの練習に参加したことが現地メディアから報じられた。怪我人が多数出たことに伴ってではあったが、ルカ・モドリッチやカリム・ベンゼマといった世界のトッププレーヤーに混ざりながら、中西から受けた論理的な指導をもとに堂々技術を発揮する中井の姿がSNSなどでも発信されている。また現在、スペイン3部を戦うレアルBチームのラウール・ゴンサレス監督にも評価されるなど、今後の期待が高まるばかりだ。

飛び級で参戦するフベニールA(19歳以下)の試合では、癖を修正した右足キックで見事インカーブシュートを決めるなど、確かな結果を出す中井。その影にあるのは間違いなくあの日、中西が施した“目”の指導――。それは『N14 中西メソッド』の理論が、一人の選手の因果を通じて実証された瞬間だった。

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